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競争的環境下での新しい大学経営
生き活き環境マネジメントシステム- 5
大学のミッションを学生教職員と地域住民の教育力や大学と地域の環境の向上につなげた内容で特色GP1件と現代GP2件の採択となったフェリス女学院大学を紹介する。
まずは特色GPに採択された読書運動プロジェクト「フェリスの一冊の本」〜読書の種を蒔く〜である。全学で「一冊の本」を共有し、図書館が主体的に知の発信の中心となる取組みである。本を楽しむ環境を大学の中に作り、授業カリキュラムとの連動、朗読・作曲・演奏などの本を体感する試みの成果により、学生の本の貸出し数は私大平均の3倍となり、教職員・地域住民も読書運動に共鳴した。読書の衰退、本を読まない子供の増加という事態に対して、大学の知の基盤としての役割を活かしている内容である。
現代GPに選ばれた音楽学部の「若い女性の視点からの音楽コンテンツ創造」の取組では、「新時代の音楽文化クリエーター」育成に、女性の感性を大切する伝統を活かした産学連携の新たな教育プログラムである。国際会議等による海外との連携、高大連携によるアウトリーチを通じ、新しい音楽教育のモデルを示す。日本のゲームソフトやアニメ、J-ポップが海外でも注目されており、現代社会の求める魅力的な音楽コンテンツの創造・発信に貢献する役割を大学が果たす内容である。
現代GPに選ばれた―地域に開かれたエコキャンパスと環境情報発信による地域連携―の取り組みは、エコキャンパスを活用した環境教育拠点の発展、インターネットを利用した地域環境の情報発信と共有、環境国際シンポジウム開催を通してグローバルな観点からの地域連携の実践である。
地域全体の温暖化防止対策の活性化を目的に、エコキャンパスを地域に開放して環境教育の拠点とし、環境学担当教員 環境関連授業の履修生(全学部の学生)・総務課・企画・広報課の学内担当者は、神奈川県や横浜市等の自治体、NGO・NPOや地域住民、小中高校、企業(清水建設等)らと連携しながら様々な活動を行い、地域連携型ネットワークを形成する。
地域に開かれた環境教育拠点として、赤い羽根の風力発電、地域参加型ビオトープ、生ごみコンポスト化、太陽熱温水器、壁面緑化、エコ・ビジョン、太陽光発電設備、屋上緑化建設を住民や小中高校生に解放。多様な活動として、地域公開シンポジウムと見学者向けに教材ビデオや見学テキストの製作、神奈川県庁主催「エコタウンかながわ」への出展、 環境教育の教材作り、地域住民に対する「緑環境の価値評価や保全活動への参加意識」アンケート調査、オープンカレッジ夏休み親子体験型講座、研究会 、出張講座等の活動。 新設授業「環境保全行動論」では、地域の緑環境を通した地域住民や区役所との協働、自治体職員や地域住民を学外講師として招いての講演会を企画。音楽学部の教員と学生を中心に「環境」をテーマにした野外音楽会の開催。教員・職員・学生・地域住民が一体となって運営する持続的地域研究センター(仮称)の設置を準備し、地域への環境教育の受付窓口とする。
インターネットによる地域の環境情報の発信により、地域に対して自然、防災、歴史の情報を提供、地域交流の活性化に貢献する。環境情報を各国言語に翻訳、地域の国際交流にも役立てる。
エコキャンパスの中心となるビオトープは2002年本間現学長のゼミ生が研究のためにビオトープを創りたいと大学にうったえかけ、実現したものである。学生の学ぶための動機づけを意識し、学生が動ける仕組みを作ることがフェリス流である。学生が中心となり地道に取組んできたひとつひとつの取組みをGPの申請書に表現した方向づけは職員の役目であるが、結果は学生教職員との協働の成果である。
職員は事務の仕事だけをやっているのではなく、教育機関の一端を担っている教育者でもあると、建学の精神とともに常に大学事務部長は話されているとのこと。フェリス女学院大学の建学の精神は「めいめい自分のことだけでなく他人のことにも注意を払いなさい」新約聖書フィリピの信徒への手紙2 : 4である。"Do not merely look out for your own personal interests, but also for the interests of others." Philippians 2 : 4に書かれている"For Others"(他者のために奉仕する)は、愛と配慮を、単に自分や自分の家族・友人、或いは自国だけに向けるのではなく、見知らぬ他者、異なった文化と歴史をもっている地球の裏側にいるような民族と国家にも向けなければならないと教えている。
厳しい競争的環境において生き残るための秘策は大学のミッション、日常の教育活動、学生教職員の愛校心、地域住民との連携、社会的責任の自覚をカタチにすることである。等身大の戦略を社会的背景、地域の課題と結びつけ、学生教職員や大学の環境を社会的資源として有効に動かせるナンバーワンの仕組みを作ることである。
引用文献:
『フェリス女学院大学ホームページ』 http://www.ferris.ac.jp/ 2005年10月30日
『文部科学省ホームページ』
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/07/05071904/004.htm 2005年10月30日
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