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大学の可能性を探る
環境マネジメントシステムの視点から  − 15 −
[FMICS BIG EGG 2005年8月号より]
by  米田敬子

競争的環境下での新しい大学経営
生き活き環境マネジメントシステム- 3

 日本の風土や歴史に育まれた言葉を、大学での仕組み作りのコンセプトとにし、戦略として活かすことは、万人にもわかりやすく最も効率的であり効果的ではないだろうか。
 桜美林大学の高橋真義教授のブログでは、日経新聞(20050901)の記事について下記のように述べている。「環境保護や節約の観点から消費者の間で最近『もったいない』というフレーズが盛んに使われるが『ビジネスの世界にこそもったいないの精神が大切』と説く。店頭で売れ筋商品を欠品して販売機会を逃した時、全社員が『もったいない』と反省できる企業風土をつくりたいという。『もったいないというのはケチくさい、消極的な思考ではない。無駄を極力省き、かつ販売機会ロスを防ぐ前向きな考え方』と持論を展開する。・・(サークルKサンクス社長の生方清氏)・・・
 子供の頃、お茶碗に一つでも米粒が残っているとお袋は必ず、『もったいない。ちゃんと食べなさい。お米はお百姓さんが汗水垂らして作ったものだから、一粒でも残しちゃ罰が当たるのよ』といいました。−中略− いまや、太らないための極意として最後の一口は残しなさいとまで言われています。
 ISOがどうたら、エコキャンパスがどうたらとか難しいことをいう前に、『もったいない』ことってあったかいことなんだ、おもしろいことなんだという新たな発想で、消えた一言を大学のキャンパスに復活させませんか。『あの大学にいくと、ものを作ってくれた人や自然の恵み、ものの存在に素直に感謝できるようになるんだって』という一言のパブリシティー効果は絶大ですよ。」
 「もったいない」は、有用なのにそのままにしておいたり、むだにしてしまったりするのが惜しいこと。「物的損失」を惜しむ気持ちと、「形には表れない大切なもの」に馳せる感謝と無にしてしまった嘆きの気持ちを一体化した概念です。
 岐阜県は「もったいないという言葉・行動に関する意識アンケート」を実施した。日常的に回答者の88%が「もったいない」という言葉を使い、90%以上が思うことがあるとしたものの、若い世代では低く、県内の小中学校を対象に「もったいない!ごみぜろコンテスト」を開催した。
 ノーベル平和賞受賞者でケニア環境副大臣のワンガリ・マータイさんは「もったいない」の言葉に感銘をうけ、国連の「女性の地位向上委員会」での演説で、日本人は古来よりものを大切にする生活を実践し、心豊かに生きてきたと紹介、世界的な女性によるもったいないキャンペーンを展開し、資源を有効的に利用しようと訴えている。
 循環型社会白書のサブテーマは循環型社会の構築に向けたごみの3Rの推進−"もったいない"を地域に、そして世界に−であり、「限られた資源を無駄にせず、効率的に活用する」の精神をごみの3R(リデュース、リユース、リサイクル)推進に活かそうと提唱している。
 日本の物質フロー(平成14年度)は、20.7億トンの総物質投入量があり、10.4億トンが建物や社会インフラなどの形で蓄積され、1.4億トンが製品などで輸出、4.1億トンがエネルギー消費、5.8億トンが廃棄物等という形態で環境中に排出、循環利用されるのはわずか2.1億トンである。我が国は、総物質・天然資源等投入量の高水準、資源・製品等の流入量と流出量のアンバランス、循環利用量の低水準、廃棄物等の発生量・エネルギー消費量の高水準、「資源採取」に伴って生じる「隠れたフロー」が多いなどの課題がある。
 また、日本全体では平均すると1世帯1日あたり109sの資源を利用(年間39.8トン)、34sの不要物を排出している(年間12.5トン)。最終処分場の受け入れ可能年数は一般ごみで約13年、産業廃棄物で約4年と限界に近づき、新処分場の建設が難しいため、兵庫県高砂市や新潟県巻町などでは「ごみの掘り起こし」がされ、焼却や再資源化して減量し、埋め戻す事業が広がりつつある。
 将来にわたる環境悪化に、事業者は『環境への取り組み」を「企業の業績を左右する重要な要素と戦略」として、事業活動の中に明確に位置づけていく動きが拡大しつつある。
 平成8年に環境省は中小事業者における環境への取り組みを促進するために「エコアクション21」を策定した。国際標準化機構ISO14001規格をベースに、中小企業でも取り組みやすい環境経営システムのあり方をガイドラインとして規定している。自らの事業所の特性を理解し、事業活動の中で環境との関係が深いと考えられる項目を、9つの活動内容から選択する。次に、環境への負荷の自己チェックシート集(事業の規模、環境への負荷の状況、各指標毎の取りまとめ、環境への取り組み)、自己チェックリスト(事業活動へのインプットに関する項目、事業活動からアウトプットに関する項目、環境経営にシステムに関わる項目)から環境負荷項目を選択。環境経営システムを構築するための初期環境レビューを作成し、PDCAサイクルで継続的改善を図る仕組みである。
 「もったいない」の仕組み作りは、人も資源も効率的に動かすことであり、未来を生きる学生がきれいな空気、おいしい水、自然の恵みを享受できるためのキーワードでもある。「もったいない」の仕組みを、人的資源の宝庫でもある大学戦略にも大いに活用したい。

引用文献:
『高橋真義ブログ』 http://www2.obirin.ac.jp/~shingi/ 2005年9月4日
『循環型社会白書』平成17年版 環境省編 株式会社ぎょうせい
『エコアクション21』2004年版 環境省編
『もったいない』2005年 プラネット・リンク、マガジンハウス


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