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大学を考える



大学の可能性を探る
環境マネジメントシステムの視点から  − 14 −
[FMICS BIG EGG 2005年7月号より]
by  米田敬子

競争的環境下での新しい大学経営
生き活き環境マネジメントシステム- 2

 大学のキャンパスについて、キャンパス計画とファシリティマネジメントの視点から、これからのキャンパスマネジメントを探る。
 大学のキャンパスは、勉強や研究の最適の場であるとともに、人づくりや友人づくりにもよい影響が与えられる環境が望ましい。大学への誇らしい帰属意識は、将来にわたる理想や期待などとともに、学生の精神性にも影響を与える。
 建物のたたずまいは、高等教育を精神的な品格や風格が醸し出されることも重要である。総合大学においては、広大な敷地に数多くの建物群を配置し、整然とした道路計画、各学部学科間の相互の関連と順序とを重視した配置計画、これに電力、給排水・暖冷房等の配管配線系統等を確立し、芝生・植樹等の庭園施設、体育運動施設や衛生・厚生等の所属機関を設備し、加えて学寮の設備、その大学をシンボライズするような象徴的な中心構想が加えられ、理想的なキャンパス計画となる。
 これらには景観的美しさと、施設としての一元的なまとまりのよさが大きく影響する。大学運営の点から見ても、施設的に一元化されてよくまとまっているほうが、精神的にも組織的な実質的便利さにおいても有利である。
 大学のキャンパス計画の分類方法として小林は次の四つをあげている。@近似機能による配置:キャンパス内の建物を近似の機能別に配置、構内の電気・ガス・給排水などの付帯設備の配管等も重点的に配列し便利な方法。A全体的統一:大学キャンパス全体をまとめてひとつの有機的な組織として統一的に運営、各教職員や学生たちに全学的な愛校心のような意識を持たせることが目的。B景観美の尊重:大学構内の景観を美しくすることに意を注ぎ、キャンパス内外の景観の美しさが若き学生たちの勉学への意欲を高めるなどの精神的効果を期待した手法。C永年月発展による雑然たるキャンパス:発展を包含するのに充分でなかったために、やむおえず道路や民家をまたいで飛び地に拡張、キャンパス内の建物の建て方や様式などの統一がとれていないなどのキャンパス。
 学生数の増加と高等教育のマス化など、これまでのキャンパス計画は発足当初の構想は貫ききれずに拡張をしいられ、目前の要望を受け入れる事を優先に、つぎはぎのキャンパス整備がなされている現状が多いのではではなかろうか。
 大学経営においては、キャンパスも大学のブランド力、機能戦略などの重要な経営資源の一つである。加えて、施設とその環境を効率的に活用し最大の効果をもたらするファシリティマネジメントは、学生数の減少、競争的環境の激化において必要となる効率経営や付加価値経営に求められる経営活動である。継続的に施設運用に関わる職員の資質とマネジメント能力が問われる。
 「知の拠点」としてのファシリティマネジメントは、「大学組織が教育研究活動のために施設とその環境を総合的に企画・管理・活用する経営活動」である。ファシリティを利用しサービスを受ける学生や教職員、ワークプレイスに満足し生産性を高める教職員らを主役とする。資産の有効活用、ファイシリティコストの低減、投資の適正化を即応させる体制を整え、ファシリティそのものを新しい利益の源とする仕組みづくりである。
 ファシリティの対象となるのは、土地、建物、機関設備、屋外環境、情報機器、実験設備や家具什器、建物は教育、研究施設、図書館、情報処理施設、管理施設、複利厚生施設などに区分できる。加えて大学を取り巻く環境の変化に対応して、生涯学習、ロースクール、eラーニングの施設、また、キャンパスは都市的、公共的な性格をもっており、都市や地域との密接な連携を持つ機能が伴う施設である。
 大学のファシリティで考えるべき品質には、安全性、セキュリティ、機能性、フレキシビリティ、省エネルギーなどがある。建物においては、1981年以前に建設された建物には現行の耐震基準が満たないものも多く補強工事が必要であるなどの、建物の安全上の問題やライフサイクルに関わる情報を総合的に把握し、利用者のニーズや機能劣化に対して十分な管理が必要である。世界水準においても十分な競争力を持つためには、大学環境はファシリティマネジメントの視点、大学屋外も含む環境づくりの視点が重要となる。
 全学的な視点で部局の枠を超えた弾力的な資源配分をおこない、戦略・計画、施設整備、運営維持、評価にかかわる業務を一元的に担当する部署が必要である。教員と職員が相互に補完しつつ、協力する体制づくりも望まれる。
 学生と教職員が共に育まれる知の拠点づくりには、キャンパス環境を長いスパンでとらえ、大学の構成員や地域住民の満足度を高める継続的改善、大学が持つ様々な要素を大学経営戦略とする仕組み創りが必須である。大学のソフト面とハード面をマネジメントする大学職員が重要なキーパーソンとなる。

引用文献:
『大学のキャンパス計画』昭和53年 著者 小林秀彌、彰国社
『ファシリティマネジメント』2004年5月 編者 FM推進連絡協議会、日本経済新聞


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