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大学の可能性を探る
環境マネジメントシステムの視点から  − 13 −
[FMICS BIG EGG 2005年6月号より]
by  米田敬子

競争的環境下での新しい大学経営
生き活き環境マネジメントシステムーT

 大学の環境マネジメントシステムにおいても、学生も教職員も生き活きと環境配慮行動が適切に行えるシステム構築が望ましい。構成員自ら構築する大学の現状に即したシステムには、構成員や大学環境の独自性が生き活きと反映され、大学経営にプラスの効果、質の向上が結果としてもたらされる。
 環境マネジメントシステムの生き活き度が高いシステムの事例として福岡工業大学と福岡工業大学付属城東高校を調査(2005年5月20日)した。
 福岡工業大学社会環境学部は、人文学科学的側面に重きを置きながら理工学的側面をも視野に入れ、環境問題の解決に貢献することを目標に2000年4月に新設された。
 社会環境学部の使命である環境教育の一層の充実・強化が必要と考え、ISO14001を取得しようとするきっかけとなる。EMSという環境管理制度で、組織構成者である学生、教職員が受身にならず、自ら取り組んでいこう、環境管理について学んでいこうという意から「Educational」のEをとり、「E-EMS」とした。ISO14001の認証を目指すことは、「E-EMS」の標準化・環境合理的な教育研究及び管理運営を目指し、E-EMSの構築を通じ学園の社会的役割の向上を図る。
 2002年11月のISO14001認証取得キックオフ大会 、2003年4月 新入生学外研修 クリーンパーク臨海見学会、2003年6月(2年)ISO特別講義「環境マネジメントシステムの導入に向けて」、2003年11月(1年)ISO特別講義「EMSの導入による環境経営の実践」などの取り組みを経て、2003年12月26日に ISO14001認証取得した。学生主体での取得である。
 「環境ISOって 何やろね?〜ISO14001の「いろは」社会環境学部の取り組み〜」は、原文・原図もすべて学生の手でつくられた冊子である。キャラクターのISO(アイソ)君、環境ISOのメリット・デメリット、環境が虫歯状態になり歯磨きのように自然で習慣化した「環境配慮の作法」を身につけることが大切であると書かれている文面など、学生のアイディア、視点、言葉で作成されている。
 学生環境ボランティア組織であるエコフィットの学内レジ袋使用を減らす活動として、リサイクル用のエコバッグ(繰り返し使用袋)を開発した。使用するたびに10円のスタンプがおされ、このスタンプは売店で使用できる学内通貨となる。
 環境管理組織のほぼすべての会議、部会、内部監査にも学生メンバーは参加している。
 隣接している福岡工業大学付属城東高等学校では2004年9月5日に開催された体育祭において、ゴミの持ち帰り、細かな分別、弁当空箱・残飯の回収などの環境配慮活動を保護者、地域の人々にも協力を要請した。生徒、保護者との一体となった取り組みも評価され、2004年12月にISO14001認証取得した。現在は15分別が実施され、18分別へのチャレンジを計画している。ゴミ削減のための「燃えるゴミ計量カード」には、持ち込み日、氏名、場所・団体、重さの項目が裏紙使用の用紙に記載されている。
 基本理念は「めざす学校像」「めざす教師像」「めざす生徒像」の具現化を図るため、・・・教職員が率先し地域及び地球規模での環境保全の重要性を深く認識し、行動するとともに・・・「志を持ち、社会に貢献できる生徒」を育成するため、教科の学習のみならず、さまざまな学校生活を通じて環境教育を行うである。
 大学の学生食堂「OASIS」は2004年度版「大学ランキング」で学生からの評価全国一位となる。全学部が90%以上の高い就職率であるなど、学生においてのキャンパス生き活き度も高いであろう。
 学生を主人公におき、大学においては環境マネジメントシステムを教育資源として活用している。高校では、高校生の環境配慮活動の実践を通じて環境改善の発信を地域へ行っている。
 これらの仕組みや行動を束ねる職員の力量は高いであろう。大学のISO事務局担当は法人事務局財務部管財課との兼務である。名刺には「For all the students」と印刷されている。「生き活き」を支える彼は環境保全協議会に出席し情報収集、大学環境を通して地域の人々との良い関係性を構築するなどのたゆまぬ努力、夜7時まで行われるエコフィットの学生活動を見守るなど、職員としての使命感をもたれていると感心した。仕事へのモチベーションの高さを持ち、実務に活かし、大学の生き活き度向上につなげている。

引用文献:
『新・世界標準ISOマネジメント』 2003 著者 矢野友三郎他 日科技連出版社
福岡工業大学ホームページ 2005.0605
福岡工業大学付属城東高等学校ホームページ 2005.0605


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