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大学の戦略的環境マネジメントシステム
−大学職員は仕組み作りのキーパースン−
グローバル企業となるトヨタは環境負荷低減のハイブリッドカーを1997年より発売、環境配慮市場への先駆けとした。渡辺副社長(当時)は2000年のインタビューで、「創造的破壊」として、守るべきものと変えなくてはならないものをきちんと識別し、変えなくてはいけないものは勇気を持って変えると語った。守るべきものは「お客様第一主義や現地現物主義」であり、変えなければならないものは「技術や競争状態、過去の成功体験」であると話している。
今後の大学環境においても、「創造的破壊」は 必要とされる。上記を大学に置き換えてみると、守るべきものは「学生第一主義と研究・教育・地域貢献の原理原則主義」、変えなければならないものは、環境マネジメントにおいては、「非効率的な環境整備、固定観念にとらわれた大学環境」を「環境配慮と経費削減を兼ねたエネルギー効率の高い環境整備、多面的・実務的・実利的に機能する環境配慮優先の施設、地域・社会にも有効に機能する施設利用」などであろうか。
日経新聞2004年度環境経営調査で製造業第一位となったリコーにおいて特に意識されたのは、環境対策取り組みの全員参加と継続性である。会社が掲げる環境対策の目標を部門ごと具体的な活動計画をたて評価するなど、目標管理制度に組み込んでいる。環境の視点でモノ作りを見ることは、発想の転換となり、リサイクル部品使用でのコストダウン、長寿命製品開発、中国生産における環境対策実施など、環境対策が報われる社会を想定して、一歩リードした戦略と捉えられる。
環境政策に多額の資金を投入したが、それ以上の経済効果を得ている上記の企業は、社会的責任(CSR)も果たしているといえよう。
「ビジョナリーカンパニー」とは「未来志向(ビジョナリー)の企業」「先見的な企業」と言い換えられ、同業者の間で広く尊敬を集め、大きなインパクトを世に与え、永続的に存在し続けている事業体である。「組織」として長期的かつ普遍的なビジョンを有することで、未来永劫にわたり存続し、長期にわたり業界に君臨し、同業者から尊敬を集める。目標を達成するために未来永劫活動できる企業を作り、組織、仕組みを構築することが求められる。
大学においては、ビジョンの根底としては、「建学の精神」「教育理念」は長期的な目標にあたる。学校法人においての組織の重要性をアピールし、戦略としてさらに具現化する作業が実務担当に求められる。ビジョンを職員に浸透させ、組織に根付かせ、帰属すること自体に誇りをもち、高い目標を掲げ、達成することに充足感を得るような仕組みを作ることも必要である。そのためには、リーダーも組織文化を十分に理解した内部出身がよいとされ、仕組みを知り尽くした人材のほうがよいとの調査結果が示されている。
非営利組織においては、ミッションとそれを実現する組織やリーダーシップは重要である。ビジョナリーカンパニーになるための課題はビジョンの提示・共有、そして仕組みの構築である。仕組みにはハード面では組織・人があり、ソフト面は人事・評価・報酬体系などである。組織や人はその業務内容において適切性が求められ、構成員においても、モチベーションとインセンティヴが必要である。このためには、社会的責任、組織と個人の価値観の共有、自己実現の場の提供、組織への帰属意識などが重要な要素となる。
大学はユニバーサル型教育研究機関としての社会的機能が求められる。教育機関としての人材輩出と施設環境が、より良い社会を築くために機能し、社会から評価を得られるためには、先見性をもち戦略的経営を考えることは重要となる。
生き残り競争に勝つための独自のブランド力構築、質保証を維持するには多額の資金投資が必要となる。学生、教職員、地域、社会のそれぞれにおける満足度を高めること、信頼を得ることは将来にわたる安定的資金獲得に有効な要素となる。
戦略的環境マネジメントシステム構築には、ビジョンの仕組み作りができる、大学文化を熟知した職員がキーパースンとなる。大学職員は、よりよい社会を創る重要な役割を担っている。
引用文献:
『日経ビジネス』、2005年2月14日、日経BP社
『大学経営戦略』、2004年、川原淳次、東洋経済新報社
『図解よくわかるCSR(企業の社会的責任)』、2004年、米山秀隆、日刊工業新聞
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