NTS教育研究所NTS教育研究所
ホーム教育を考えよう:大学を考える大学の可能性を探る


大学を考える



大学の可能性を探る
環境マネジメントシステムの視点から  − 9 −
[FMICS BIG EGG 2005年2月号より]
by  米田敬子

環境マネジメントの視点で捉えた 我が国の高等教育の将来像
(中央審議会答申)

 中央教育審議会は平成17年1月28日「我が国の高等教育の将来像」を答申した。新時代を「知識基盤社会」(knowledge-based society)とし、高等教育は、個人の人格形成上も国家戦略上も極めて重要であり、今後は「高等教育の将来像の提示と政策誘導」の時代への移行になると述べている。
 高等教育機関のうち、大学は全体として、(1)世界的研究・教育拠点 (2)高度専職業人養成 (3)幅広い職業人養成 (4)総合的教養教育 (5)特定の専門的分野(芸術・体育等)の教育・研究 (6)地域の生涯学習機会の拠点 (7)社会貢献機能(地域貢献、産学官連携、国際交流)等の各種の機能を併有する。とされている。
 早急に取り組むべき重点施策としては、量的変化の動向、多様な機能と個性・特色の明確化、質の保証、各高等教育機関のあり方、高等教育の発展を目指した社会の役割についてなどの関連施策の「12の提言」となっている。
 そして、高等教育の質の保証を考える上では、教員個々人の教育・研究能力の向上や事務職員・技術職員等を含めた管理運営や教育・研究支援の充実を図ることは重要である。評価とファカルティ・ディベロップメント(FD)やスタッフ・ディベロップメント(SD)等の自主的な取り組みと連携方策等も今後の重要な課題である。とされている。
 ユニバーサルアクセスとしての社会的使命も求められれている。
 答申から、将来の大学においては、日本社会における自律性と特色の明確さが求められ、国際的な競争環境にも生き残る、多岐にわたる機能を活かす様々なマネジメント能力が必要となるであろう。
 環境マネジメントについては、日本のISO認証取得数と、教育機関としての認証取得大学数は世界一である。世界標準のリーダーとなる環境マインドをもつ人材養成輩出を期待したい。
 大学での環境マネジメントシステムの導入にあたり、取得宣言後はしっかりした調査と分析を必要とし、その結果を大学経営の戦略に位置づけ、本来の環境負荷削減や環境配慮の取り組みとともに、大学のミッシオンのひとつとする作業が求められる。
 大学への有効性を高めるためには、実態や理念には即するが、大学の構成員である教職員と学生の社会的評価を得るための、独自性のある環境マネジメントシステム構築ができるかが、一つのポイントである。継続性を持ち、大学運営に関わる人々の英知により創られることが望ましい。
 計画の段階での環境側面の特定、プログラムの策定、システムの見直し、追加などの文書化をベースにPDCAサイクルを回すシステム構築となる。これらの作業には、大学に関わる人的資源を駆使しなければならない。事務局の設置には、文書作成に長けた者、学内組織に通じ、人的ネットワークを有する者、専門的な環境関連の知識を有する者でが必要となる。
 人材輩出機関としての、学生への環境教育的効果も評価される。 
 環境マネジメントシステム構築で最も重要な要素は人的資源である。立派な環境方針であっても、実態が伴わなければ、認証取得を得ることが出来ない。システムだけはカタチをなしていても、競争的環境に生き残る有力な武器とすることはできない。
 大学の活力となる活き活きとしたシステム構築は、構成員により支えられている。システムを有効に活かす人材養成は最も重要な課題である。
 答申内容をより良く具体化し、日本の教育の質の向上につなげる、大学人の頑張りに期待したい。

■参考文献》
 「我が国の高等教育の将来像」(中央教育審議会答申)平成17年1月28日
 『大学のISO14000−大学版・環境マネジメントシステム』、2004、私立大学環境保全協議会
ISO1400委員会
 『SDが育てる大学経営人材』、2004、山本眞一、文葉社


皆さまからの読後の感想をお待ちします。
Email:
gracekay@world.odn.ne.jp

このページのトップへ▲
ホーム教育を考えよう:大学を考える大学再生の可能性をさぐる