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大学の可能性を探る
環境マネジメントシステムの視点から  − 7 −
[FMICS BIG EGG 2004年12月号より]
by  米田敬子

大学調査レポート:1−2信州大学
平成16年度「特色ある大学教育支援プログラム」環境マインドをもつ人材の養成
−環境調和型技術者の育成プログラムを通して―

 信州大学は創立55周年、長野県内4地区5キャンパスに分散する8学部と大学院6研究科から構成されるキャンパス分散型総合大学、在籍学生数は11,478名である。(平成16年5月1日現在)信州大学の理念には自然環境重視の教育が謳われており、環境マインドをもつ人材の養成−環境調和型技術者の育成プログラムの目的は、環境調和性の概念を導入し、教育目標は、環境という観点から物づくりの新しい手法を可能にする環境調和型技術者の育成である。
 工学部はISO14001の認証取得では、環境方針の教育目的に環境問題に精通した技術者の育成を掲げ、学生を中心としたシステムを構築している。キャンパス内の地道な環境配慮活動の実践、化学薬品、実験廃液、生協食堂の排水、ゴミ、省エネなどを実務教材として活用し、環境負荷低減活動の実体験を工学部の全学生の環境マインド育成の基盤としている。カリキュラムでは環境関連基礎科目(環境倫理・環境マネジメントシステム)と環境関連工学系専門科目が開設されている。環境内部審査の実務教育では、学生が内部監査実務を通して環境負荷低減のマネジメントの考え方を体感し、具体的に理解できるようにし、内部監査を機能させるため年2回の実施、学生が参加し易い講義の空いている時間帯に実施するなどの配慮をしている。学生の内部監査員は102名(平成16年3月現在)に達し、学生のキャンパス内での指摘事項は実際に是正される。この実務体験を経た学生を対象にISO14001の認証取得した長野県、長野市などの地域や企業と連携し、環境マネジメント実務研修活動の一環として、環境マネジメントインターンシップの実習を実施している。学生が社会的課題を強く意識することで、人間的な成長を促す効果も明らかになっている。

 ISO学生委員会は平成12年に学生有志3人の呼びかけから発足され、活動理念には自主的なボランティア組織として、環境負荷低減に貢献する活動を行うと記されている。現在の主な活動内容は、2、3年生(約千人)への環境ISOガイダンス、内部監査への参加、ゴミ分別表の作成、ゴミ箱の分類、ゴミ分別率調査、環境フォーラム、環境コンテストへの参加、発表などである。また、ペットボトルのキャップ(不燃)とラベル(可燃)の軟質・硬質プラスチックの分別を追加した新しい分別基準を作成し、ゴミ分別ポスター変更、屋外ゴミ箱を7分別に回収整備をおこなった。
 教職員・全学生・生協職員が携帯しているエコキャンパスカードには◎TVや天井灯のスイッチをこまめに切る、◎冷暖房の温度設定、◎朝早くおきて、昼に勉強をして、夜は早く寝る(ライフスタイルの変更)、◎紙使用量の抑制、◎生協食堂では食器の油をふき取ってから流しへ、◎ゴミの自治体・キャンパスの基準での分別廃棄、◎自転車か徒歩通学推進、◎実験廃液等の手順書どおりの取り扱い、◎歩きタバコ禁止が記載されている。
 環境調和型技術者育成プログラムはISO14001のEMS体制で推進している。信州大学工学部長をトップとし、工学部の各学科、各係、生協などの全ての部署の教職員ならびに全ての学生から構成され、環境管理責任者のもと、実行統括責任者が実践的環境教育を統括している。環境委員会にはISO学生委員会の学生もメンバーとして加わり、部会長は総務部会、環境教育部会、化学物質部会は教授、省エネルギー部会、リサイクル部会、排水部会は技官である。
信州大学工学部はPDCAサイクルを活用し、組織と人財を有効に機能させている。大学の理念を前提にした目的、学生を中心とした具体的教育目標の実現にむけて、課題設定は身近な内容であるが、全構成員が実践することにより教育面・実務面ともに螺旋的向上となる。常に学生中心のシステムを維持するため、見直しや配慮が活かされる柔軟な組織体制である。人財輩出機関としての大学の新しい価値創造である「環境マインドをもつ人材養成」を産み、紙・ゴミ・電気などのコスト削減の成果も得るため、ハードとソフトパワーを有機的に機能させるシステム維持には信州大学人の知恵と英知が活かされている。
 教育の成果である、環境マインドをもつ人財が社会的評価を得ることにより、就職率向上にもつながり、学生の学びや実践が積極性を増している。学生が卒業証書を得るにふさわしい、知識や技術、資格と実務能力、実践力を習得し、社会に還元し、さらには社会や個人の生活の質の向上につなげている。


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