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大学調査レポート:1−1信州大学
平成16年度「特色ある大学教育支援プログラム」環境マインドをもつ人材の養成
−環境調和型技術者の育成プログラムを通して―
ISO認証取得大学において、環境マネジメントシステム構築とともに、学生が主体的に活動する環境教育を実践し、大学経営においても有効に戦略展開している事例として、信州大学を2回に分けて取り上げます。
信州大学(国立大学)は昭和24年5月の発足にあたり、当時、長野市にあった長野工業専門学校を前身として、再生日本の産業立国への寄与と、第2次世界大戦中に岡谷,上諏訪地方への工業疎開を契機として興った長野県内の産業への人材供給を目的として創立された。工学部は、戦後、工業立国を目指す再生日本の技術者を養成する目的で創立された。
平成13年5月、信州代大学工学部は国公立大学の学部・大学院としては初めてISO14001 の認証を取得し、地域と連携した環境教育を展開する。平成13年11月15日の調査においては、ISO認証取得にいたるまでには、工学部外の周囲の理解を得るのは困難であり、工学部環境機能工学科の教授達の想い先行型のスタートであろうと推察した。ISO14001をツールとし、学生には工学部の環境基本方針と個人の環境目標を書き入れたカード携帯を義務づけ、自治体、企業、教育機関との交流や活動などの社会に環境マインドを広げる活動の構築がなされていたのが特色であった。
しかし、平成16年度からの中期目標・中期計画では,環境調和型技術者育成プログラムの成果を全学的に展開することが定められ、学長が全学的に環境マインドをもつ人材の養成に取組むことを宣言、全学推進組織として「信州大学環境マインドプロジェクト推進本部」を設置している。
そして、環境マインドをもつ人材の養成−環境調和型技術者の育成プログラムを通して―は平成16年度「特色ある大学教育支援プログラム」に採択された。応募総数534件、採択総数58件である。採択理由には、環境マインドをもつ人材の養成を達成するために、組織における6年間の実施と成果、環境委員会を設置し、教員と学生で連携して推進している点などをあげている。
大学が求められる社会的役割も人材養成のミッシオンも、時代や社会の変化とともに変遷をする。大学が常に存在意義を打ち出すには、次の時代に対応するための先見性を持ち、理念を構築し、組織に位置づけるマネジメント能力は必要である。例えば、国立大学法人化をひとつのチャンスととらえて、組織的なマネジメントシステムを構築していたか否かの違いは、経営的にも長期的な収益性と成長性においての差がでてくるのではないだろうか。
社会や地域の要請に答え、社会的課題の解決に貢献することも、新たな価値創造であり、社会性向上にもつながり、学生獲得の拡大にもつながる。新しい領域を創造し、構築していく作業は大学経営にも求められ、アドミニストレーターが重要なキーパースンとなるのであろう。
しかし、ブルデューは、大学はその時代の要請される文化や価値形成を創造する役目を担う場であるとともに、「学生にとって、勉強するということは、・・・何かを生産できるものとして自分を生産することなのである。」と述べているように、大学は学生の意識を創り、次世代の文化を創造する場でもあるとしている。学生の可能性に投資をし、学ぶ環境を充実させる社会は、持続的な発展が保障されるのではないだろうか。
■引用文献
『遺産相続者たち―学生と文化』ピエール・ブルデュー、藤原書店、1997年、119ページ
『SRI 社会的責任投資入門』谷本寛治編著、日本経済新聞社、2003年
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