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大学における環境教育
日本における環境教育は、1950年代より大きくは公害教育と自然教育の二つの流れから、1971年に新学習指導要領に公害教育として制度化された。1980年代より、地球環境問題などの広義の内容が環境教育に提唱されるようになる。1991年に『環境教育指導資料(中学校・高等学校偏)』、1992年に『環境教育指導資料(小学校偏)』、1995年に『環境教育指導資料(事例偏)』の発行により、学校教育における環境教育の具体的なガイドが示された。
1993年には「環境基本法」が制定され、環境教育・環境学習についての基本的姿勢が示された。2000年に見直された「環境基本計画」によると、「環境教育・環境学習は、各主体の環境に対する関心を喚起し、共通の理解を深め、意識を向上させ、参加の意欲を高め、問題解決能力を育成することを通じ、各主体の取組の基礎と動機を形成することにより、各主体の行動への環境配慮の織り込みを促進します。」と示されている。
2003年には持続可能な社会を構築するために、環境保全活動への理解と活動への意欲を高める理念の下、「環境の保全の意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律」が可決・成立した。日本における環境教育は学校教育、社会教育、事業者なり、教育の内容と方法、人材育成も重要な課題となるであろう。
日本の大学における環境教育は、1960年代後半より、国公私立大学における環境冠学部設置から、教養教育を中心とした環境関連授業科目の増加の動向となる。 *12001年において、671大学(国・公・私・放送)のうち、「環境」を冠した学科を設置しているのは、134大学、176学部で199学科ある。
大学生の実態については、吉田らの「環境問題に関する意識」*2アンケート調査では、中学生・高校生・大学生との間に大きな差が見られず、環境に対して何らかの努力をしなくてはならない理想を個々が持っているにも関わらず、状況により自分の現在の意識が影響を受けることが解るとしている。米田の*3、「環境配慮行動・環境関連知識・環境関連意識」アンケート調査では、整備された大学構内は環境配慮行動と環境関連知識に影響を与えるが、住居や地域での環境配慮行動を規定する
要因は、生活に関連する環境配慮意識と環境関連の活動に参加したいなどの意識であるとしている。現代の大学生には、適切な環境配慮行動が主体的に行える実践的な環境教育も必要であると推測される。
大学の教育現場においては、「環境」の学問分野は理系から文科系と多岐にわたり、教授法、変化する社会状況の中での対応策の取捨選択などについては様々な研究や取り組みがなされている。実践的な環境教育のひとつの事例としては、ISO認証取得大学の環境マネジメントシステム(EMS)構築に学生が関わり、自ら必要なことを学び、活動し、実践に生かすことにより、大学構内での環境整備や環境配慮行動については主体的に行動する能力を育んでいる。大学側においても、大学構内の環境整備に学生を参加させることにより、学生の活動への支援体制が強化され、目線の焦点が学生にむけられる。時にはファシリテーターや同志として、学生とのコミュニケーションをとることも必要になる。この関係性において、教員や大学側は今まででは見えなかったキャンパス内での教育資源を、学生より情報を得ることで、より有効な教育資源に変えて、フィードバックできるのではないだろうか。天野は「大学の教育革命で見落とされているのは、『隠れたカリキュラム』の問題であり、キャンパスライフのいろいろなところに埋め込まれ、学生はそこでいろいろなことを学んでいく」*4と述べている。
EMS構築の困難な作業を乗り越えることにより、「見えなかった教育資源」を学習と協働により有効な教育資源とし、マイナス側面をプラス側面に変えることができ、環境整備と経費の削減、学生の能力向上などの成果も得られた。大学と学生の次のステップとしては、学生がより専門性を求め活動する場を広げる、大学の特色や独自性とすることにより大学経営のプラス効果とするである。大学側と連携を保ちながら、講義や講演会を企画する大学生の環境系サークルもすでに活動している。京都精華大学の「自立した学習者による社会貢献の実践教育〜環境マネジメントシステムの構築を通じて〜」は、2004年度文部科学省の特色ある大学教育支援プログラム(GP)に採択された。
いずれにせよ、「共に教育の場の中で育つ存在であることを前提として、この道への歩みは続けられねばならない」*5であろう。
■注記・引用文献
| *1 |
内山 弘美『再び、「大学における環境教育とは?」−大学環境教育研究会ミニシンポジュウム報告その2−』、『SYSNJ Newsletter』7-1、1996 |
| *2 |
吉田 淳、長沼 健、平野 智則「中・高・大学生が持つ環境問題に関する意識」『愛知教育大学教育実践総合センター紀要』第4号、2001、 pp153〜159 |
| *3 |
米田 敬子「大学生の環境配慮行動・環境関連知識・意識についての研究」『社会心理学会第44回大会論文集』、2003、pp.256〜257 |
| *4 |
天野郁夫『大学に教育革命を』、有信堂、1997、p.105 |
| *5 |
稲越孝雄『人間性の教育心理学』、共同出版、1983、p.231 |
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