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大学の可能性を探る
環境マネジメントシステムの視点から  − 1 −
[FMICS BIG EGG 2004年5月号より]
by  米田敬子

 「ISOを認証取得しました」との電車の大学案内を目にし、「なぜ大学にISOなのか?」との疑問から、大学院での修士論文のテーマに決め、調査を始めたのが2001年の5月です。ISO14001の内部審査員資格を有し、審査員研修を終了しておりましたので、ほぼ半年で14大学の担当者の方にお話を伺いました。日本においては、1998年に武蔵工業大学が最初に認証取得しており、2001年に訪ねた大学は取得後まもない状況でした。研究の先がみえずに不安な日々でしたが、担当の職員の方々に成果をあげてくださいとあたたかく励ましていただき、最後まで頑張ろうとの意を強くしました。卒業後も調査は継続し20大学うかがい、2度目に伺った大学では、担当の方に肩書きがついていたり、新担当者に変わられていたりでした。
 大学経営においては3年前の環境マネジメントシステムと現代の扱いとでは、大学のおかれている状況に合わせて変化をしています。国立大学の法人化、少子化に伴い、5年後、10年後の生き残りをかけての経営戦略は喫緊の課題ですが、他大学に対する相対的優位の奪い合い、学生獲得、経営のスリム化などを克服しながらの手探りの状態ではないでしょうか。また、大学改革が行政改革や規制緩和などの周辺の事情から意味づけされたことにより、社会的基盤における「大学改革」についての要素の伸ばし方を、大学に関わる当事者は大学の方向性・独自性として問われています。ISO認証取得のスタートとしての経費削減や環境配慮のアピールだけでは、有効なツールとしては機能せず、大学の目標達成をより促進する活かし方が求められます。
 組織の様々な要素(人、設備、資源など)を環境側面において規定し、ルール(手順)を与え、システムを構築し、環境保全などの目標を達成するのがISO14001マネジメントシステムです。この様々な要素のとらえ方と、要素を活かし人を動かすシステムを構築できるかが、目標達成を常にプラスの継続的改善に結びつけるポイントです。現状のプロセスを把握し、分析し、明確にしていく作業と管理能力が必要とされます。各大学の創立の理念、歴史をとともに、現在の資産や人的資源なども環境ととらえるトップの認識力や応用力も重要となります。全体を把握し、環境マネジメントの良いプロセスを良い結果に結びつけるマネジメント能力が組織に求められます。
 環境のキーワードはSustainable Development(持続可能な発展)ですが、今後の企業活動の評価においても核として用いられ、CSR(Corporate Social Responsibility・企業の社会的責任)やSRI(Social Responsibility Investment・社会的責任投資)などの社会的責任の果たし方が重要視される傾向にあります。ISOは自主規格の扱いですが認証取得は第三者より評価され、また、システム構築を実践的基盤として様々なシステムに準拠させることも可能であり、活動の社会化を促すベースになります。大学においても同様に、持続的発展を核に社会貢献や地域活性、また産学連携や企業からの寄付行為の可能性につなげるシステムともなります。そして、内部の社会化も期待できます。
 明確に目標を定め、仕事をきっちりとされている職員の方がいる大学は、安定し勢いもあると思います。自らの可能性を広げる大学環境を創ることも実力なのでしょう。そして、分業体制の限界を超え、学生への全体化や大学自体の底上げを築き、経営層や教員・学生・家庭との連携プレーのツールにシステムを活用されています。
 教員や職員の人的資源の流動化に対応するにもマネジメントシステムの構築はロスを省くツールです。大学側の研究・教育・業務のよい環境提供が、よりよい人材を集められるかの一つの指標となり、そのための環境整備も必要条件となるだろうと推測されます。大学における環境マネジメントシステムの実態を調査することにより、大学の可能性を探る視点と環境マネジメントシステムの活かし方のヒントを学ぶことができました。
 各大学のワクワクドキドキするような事例と、職員の方のコメントも頂き、次回より書かせていただきます。

 参考文献:「新・世界標準ISOマネジメント」、矢野友三郎・平林良人、日科技連出版社、2003年


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gracekay@world.odn.ne.jp

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