| 第六章 多摩地域での大学コンソーシアムの提案
(一)
これからの日本が巨大で強力な中央集権主義をやめて小さな政府を目指すとすれば、しっかりとした「地方」を構築しなければならない。日本が画一的なキャッチアップ型の経済発展を目指していた時代は強力な中央政府が最も効率的なシステムであった。しかしこれからは新しい「知恵づくり」社会を目指すならば、「自由で個性的なそして想像力に満ちた、自主・自立した地方」の構築が早急に必要なのである。
ヨーロッパを旅行して感ずるのは、小さな国々や地方が独自の言語を持ち歴史と文化を大切に維持・保持し独自の民族国家や民族文化を顕示し高質な社会を築いていることに驚きと羨望を強く抱かせられる事である。そしてその地方文化を作り上げ支えてきた源に教会と大学の存在があることに気付くのである。彼らの「民主主義」もこの地方文化の成熟とともに熟成されてきたものと想像される。言い換えるなら教会と大学がヨーロッパの地域社会を築き上げる「知」の根幹であったし、また現在もそうなのである。アメリカにおいても大学は地域社会の「知」の主要な担い手となっている。一方、日本でも江戸時代には各藩は独自の言葉(方言)や精神風土を築き殖産興業を興して米の増産と共に地方での自立を構築していた。そしてそのころの「知」の根元は藩校と仏教寺院であった。だからこれからの日本の「地方」の確立も地域に密着した大学がその地域の「知」の担い手となって「地域文化」を築き上げねばならないのである。大学の発展も地域の発展なくしてはあり得ないのである。これまでの日本の大学は増え続ける学生の争奪戦にのみ興味を抱き、大学の本来担うべき地域貢献をすっかり忘れていたのである。この大事な役割をしっかりと担えるように、地域社会から信頼される「知」の根幹になって欲しいのである。重ねて言うが地域の発展なくして大学の発展もあり得ないのである。大学が地域に根ざし、地域の発展に貢献する為には地域の抱えるいろいろの問題に正面から取り組んでいく事が必要になる。当然その対応する相手は地域社会即ち地方自治体や地域住民や地域の企業なのである。
彼らと問題を共有し、役割を分担しあって地域の発展に貢献し関わっていく姿こそ、地域社会から真に求められる新しい「大学像」なのである。この様に大学の地域貢献度を深めていくために「大学コンソーシアム」を提案したい。現在の大学にこれらを期待するのは無理があろうから、「コンソーシアム」として実現し易い方法を模索・提案することにした。
そこで一つ、具体的に多摩地域について大学コンソーシアムの可能性を探ってみたい。これらの諸条件は新しい地域活性化の潜在的可能性を十分に秘めている。21世紀の多摩地域を考えるとき、これら大学の地域への貢献度の大小が、「多摩」の未来に大きな変化をもたらす事になるだろう。大学との「大いなる結合」即ち大学コンソーシアムへの期待と誕生そして成長と発展がまさに「多摩の未来」そのものと言えるだろう。
多摩地域での大学コンソーシアム案の何故多摩なのかについては、多摩は企業や研究所の集積度が高く、大学は特に著しい。具体的に場所を特定した方が理解されやすいだろうとの思いだけであり、全国どこでもそこの地域にある大学と企業と行政と住民で考えていって欲しいのである。
「大学コンソーシアム」の具体的なイメージをつくり上げていくために、提携先毎にグループ分けして可能な限り具体的に事業内容や企業体のイメージが明らかになるように進めていきたい。その中には理解されにくいものもあるかもしれないが、21世紀に向けて大切な、重要なプロジェクトとして位置づけた。勿論これらはあくまでも「私案」であることは言うまでもない。皆様方の積極的な「検討」を期待したい。
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