| 第五章 今、なぜ大学コンソーシアムか
(二)
これまで日本では、殆どの大学が学生にのみ事業的興味を集中させてきたことは明白である。しかしこれからは「企業人教育や地域への貢献、地域開発並びに発展の核」としての役割が期待されるようになり始めた。その主な理由は、大学の資源・資産として次のように指摘できよう。
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大学が保持し蓄積しこれからも集積が予定される情報の質と量及びそれら情報の分析力・評価力に加えて、国際性・信頼性などにおおいに期待されていること。 |
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安定した人的交流が継続できること。 |
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自由な研究時間が割合とりやすいこと。 |
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大学の持つ中立的公平な存在感。 |
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大学から発信するインフォメーションが社会に与える影響の大きさ。 |
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様々な条件に対応したアイデア創出の期待度。 |
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国内、海外に広がる人脈。 |
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図書館など大学の持つ施設やサービスの提供・開放して欲しい旨の要求。 |
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全国または海外を含めて幅広い学生などの出身地との地縁性のストック度。 |
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卒業生の広範囲な活動・知名度。 |
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若いバイタリティや世間の変化のニーズを予見する確かな先見性や期待感。 |
こうして列挙すると、大学の資源・資産に対し社会の期待度が見えてくる。特に学生やOBを資源として見てみると明るい展望すら描けるようになるではないか。以下にその展開を試みてみよう。
大学に集う若者には隠された多くの宝の山が見えてくる。若者たちは、いつの時代にも新鮮なナイーブな感覚で世間を見つめ、彼らなりの解答や反応、不満や評価を、更にはっきりしたニーズを発信している。これは勿論否定的に受けとめれば全く逆のことになるわけである。世界中にあふれている情報は受手がしっかりしたアンテナと受信用チャンネルを持っていないと全く受信されない。
大学はそれ自身が貴重な情報の発信者であるばかりでなく、地域社会、企業、団体、地方自治体などが情報を受信するためのつなぎ手−インターフェース的な役割としての存在が大きく見えて来る。
この役割は単なる物理的機械的な受信装置ではない。そこに確かなソフトウエアを附加して渡してあげることが真に望まれ、求められるのではないだろうか。しっかりと社会というフィールドに根ざした研究や調査やそれに伴う情報には多くの理解者と情報の受信希望者が門前市をなすことになる。
こうした情報の伝達にとどまらず新たな創造の期待とか社会システムやルールの創造への期待が高まってくるのがはっきりと予感できる。更には市場戦略と戦術など・・・。
こうしてみてくると大学を中心とした地域貢献や地域開発並びに発展の方策は、特に日本人的社会観などを下敷きに考えると「大学間のコンソーシアム」や「企業と大学とのコンソーシアム」とか「企業と地方自治体(時には地域住民を含める)と大学とのコンソーシアム」というように、大学コンソーシアムが最も理解されやすい方策として浮上してくるのである。
ここでいう日本人的社会観とは、一人だけで物事を進められない、皆で仲良くやっていくのなら新しい道や橋も渡るに怖くないという感覚を言っている。またコンソーシアムの方が日本人としては「集団的創造力」を発揮できるメリットも大きいとせねばならないだろう。そして大学を社会に向けて開放するとなると、そのニーズの多様さは測り知れないほど窓口が広がることになるだろう。
そのため種々の大学がそれぞれ分担しあい、これからの多様なニーズに応えていくという図式が社会からみてノーマルな方法と理解されるだろう。
これまで述べてきた知恵づくり社会という言葉は、やや偏りが大きかったかもしれない。地域社会の市民レベルからみれば質の高い社会とか信頼性の厚い社会などの先に、所謂、知恵づくり社会がみえてくるのではないだろうか。
一方、管理型社会からネットワーク型社会への移行と以前に述べているが、例えば市民に対し、いつまでも「寄らしむべし、知らしむべからず」式のお役所では市民の「信頼性社会」から程遠い。
充分な情報公開・開示と適切な説明、市民からの意見の汲み取りがなければ、これからの高質な社会の実現はありえない。企業も同じで市民へのわかりやすい情報公開が前提で信頼性が育まれていく。ネットワーク社会とは同じ目的意識を持ち、仲間として認めあえる「コミュニティ」とか「同士型仲間意識」とかの言葉で説明される、ふれあい型社会的概念であって、これまでの日本人的企業観に近い。このコミュニティは発展していくとアソシエーション(会)として、よりどころを求めるようになる。このような新たなコミュニティのきざしは阪神・淡路大地震での多大なボランティアの創出として認知できた。この新集団は非営利的組織の充実・出現を望んでおり、その急速な組織化・法制度化などは大きな雇用の創出になるだろう。
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