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大学を考える



大学再生の可能性をさぐる  
  大学コンソーシアム − 17 − [FMICS BIG EGG 1997年5月号より]
by  鈴木健夫
第三章 これからの社会や企業が求める大学の姿

 具体的な提案(つづき)

4.これからの日本における大学像 (下)  

(10)個性化に対応する大学
 これからの日本にとって大切な創造性を育む為にも個性の尊重、個性化への対応などについて全人的教育を望む。

(11)自主的判断力の蓄積
オリジナルな意見、回答への評価
「まね」をしない風潮、創造力の育成
権利に対し、責任と努力そして大きな負担を担うことの重大さの認識。(権利の主張と義務の遂行並びに責任と負担を車の両輪として一体に考える。負うべき責任と負担があってこそ個性化が行える。)

(12)個性化推進の為の入試制度の改革(偏差値至上主義の見直し)
 現在は大学も学生も本来の「取りたい」「入りたい」者を対象にしていない。偏差値で順番に割り振ってもらっているだけである。この偏差値を目掛けて、小・中・高校生全てが同一価値基準に縛られたゆとりのない青少年時代を過ごしている。知恵を育み、考えること、創造力をかきたてること、自分はこれをやってみたいといった人間性豊かな教育の再構築は、この偏差値から抜け出さない限り到来しないだろう。自分がどこの大学で何を学びたいか、しっかり意見を持ち、入試に向かって努力する様にサポートするのが小・中・高校の教育であろう。今後 は偏差値や知識重視型の入試をやめ、情報収集力、分析、表現力、読解力、創造力、コミュニケーション力等を評価する様な入学者選抜システムを積極的に進める必要がある。 

 ◆大学入試制度の改革(案)

偏差値の評価を薄める。高校3年の後期に一度だけの共通テストを行っている現在の方法を次の様に改める。
(イ) 出題の内容は教科書を中心にどれだけ覚えたかでなく、いかに理解したかに重点をおく。更に教科書外の参考図書をどれだけ多く読み論理性を組み立てられるかを問う。
(ロ) 共通テストは年に3〜5回行い、高校2年から受けられる。自分の実力を早くから知ることが出来て行きたい大学の選別を決めることが出来る。TOEFL やTOEIC のようにいつでも受けられて自分の目指すレベルに自由にチャレンジできる様にする。
(ハ) このテストは入学者選抜のためよりは入学後の適性テストとして位置づける。選抜主体は高校の成績。高校の教育そのものの評価が厳しく問われることになる。小・中・高の教育が一貫して大学へと生かされ、社会に役立つ教育が行えることになる。受験戦争にのみ全勢力を使いはたし「延びきったゴム」になって東大を卒業してくる様な哀れな若者を続出させてはならない。
高校生活(学業成績・クラブ活動・生活態度)や地域社会との係わり(ボランティア活動等)を高く評価する。
大学入試は総合評価のチェックとして位置づける。(評価の多角化)例えば、偏差値、高校の学業成績、生活態度、地域社会でのボランテイア活動、大学の入試成績、これらを
a.これらを同一ウエイトとする。
b.このうちどれか3つにウエイトをおく。
c.このうちどれか1つにウエイトをおく等、大学側の選択が変化に富めば、偏差値の価値が薄れてくる。

(13) 環境の変化に対応する大学
(14) 地球・自然の中での人類の生活を全体のサイクルとして理解し、行動する勇気を学びとる教育の実施。
(15) 社会や地域の環境作りに貢献する。
(16) 環境に対するエゴイズムの排除の為の調査、研究、発表を行う。
・先進諸国と低開発国との間に見られる様に「環境」問題はややもするとエゴイスティックな押しつけを強要する。互いを認め合い協調するポイントを見つけ出す努力こそが、これからの社会を生きていく手段、方策となる。
(17) 持続、継続可能な消費文化の継続的調査、研究、発表、啓蒙を行う。それにより今後の環境に優しい社会づくりがなし得る。
(18) 福祉に対応する大学
 高福祉・高負担社会が近づきつつある中でいかに生産性が高められるか。今後の課題は大きい。
(19) スウエーデン等北欧型社会の検証
 例えば次の様な項目を検証し社会に警告し啓蒙する。
 ・高福祉・高負担
 ・高付加価値商品の開発
 ・互いに助け合うボランティア精神とその活動の普及
 ・個性の尊重と組織の調和
(20) 社会的弱者への配慮や見返りを要求しない愛情、更に素直な行動力を養う教育の実施
(21) ボランティア活動の参加と評価

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