| 第三章 これからの社会や企業が求める大学の姿
●地域への貢献
これからの大学像のもう一つの柱は大学が今後地域社会に対してどう係わるべきか、又はどの様な貢献ができるのか、更に地域社会の発展のために大学にはどんな役割が待っているのかと言う課題にどう応えるかである。欧米の国や地方、都市や町の発展の歴史を見ると、そこに大学の存在が大きく係わっていることに驚くと共に納得させられることが多い。特にここで検討したいのは地方の大学の地域社会に対する役割についてである。
これからの日本の再生のために地方の時代とか地方分権とか言われているが、確かに日本全体を画一的に開発したり考えたりする時代は終わった。地方や地域が自立し自らが積極的に生き残る術(すべ)を見出さねば日本の再生は難しい。そのために大学が核となって共に発展する道を探し出す努力が必要であり、待たれているのではなかろうか。その具体的イメ−ジは、
●地方、地域のシンクタンク的役割
行政、企業、住民に対しその地域独自の歴史、文化、情報を基調とした独自の他に例のない「アイデア」を提供するシンクタンクの役割が想定される。勿論その地域のデ−タベ−スの構築も分担する。当然その情報は国際的全国的ネットワ−クに抱かれるよう(取り残されぬよう)配慮すべきである。
●地方、地域の共同研究所
地域から発信する「もの」や「サ−ビス」を作り出すため官・学・民、官・学、民・学等の組合せによる共同研究所の成果が期待される。その地方、地域を引き上げるため、ここには人材育成機能も付加される。地方の企業は資金的人材的に独自の研究開発を進めるには弱体であることが多いので共同で対処する必要が互いに確認されグル−プ化されていくであろう。地域の発展の一つにこの研究成果の可否が大きく問われることになる。
●地方、地域の合意形成促進のための役割
日本的民主主義とでも言おうか、所謂総論賛成各論反対しかも自立なき自由、責任なき自治等々が地域行政を「まひ」させている。原点に立って何処に何が必要か等、行政の押しつけでない地域にとって必要な合意形成を作り上げる円卓会議の座長としての役割が真に求められる。その役割は両者に充分な発言を行わせ調整可能なカ−ドをタイミングよく配る事である。大学の中立性と情報の質と量が問われる事になろう。
●地方、地域の環境監査役の核
21世紀に向けての地域行政の柱の一つに良好な環境の維持、回復、監視等保全のための施策が挙げられる。地域の大学が核となって環境の監査役を担っていく。勿論条例など行政に裏付けされたものでなけれならない。
●地方、地域行政のオンブズマンの核
納税者の代行として行政が適切な税金の配分を行っているかを監視するためのオンブズマン制度の核としての役割。単なるあら探しに終わるのでなく地域行政の発展=自立、独自性、発信するものの育成=を促進する目的や機能をも担うものである。
また行政責任のフォロ−としてのアカウンタビリテイ(accountability) について我々はその認識を深めなければならない。それは市民の側から行政の過去の決断や行為について反省や責任を求める行為とでも言うべきものである。つまり、これまで行政は間違いなど起こさないという神話を官民あげて信じ続けてきた。だから過去の行政的判断や決定について反省とか謝罪とか責任をとることなど考えてもみなかった。しかし冷静に納税者として行政を見つめ直すと、いかに多くの間違いだらけの政策を行ってきたことか。しかも行政側はそれの反省や責任についていささかも認めようとしないばかりか言い逃ればかりしている。だから本質的には何も変わらず、また同じ様な間違いを引き起こすのである。オンブズマンのもう一つの重要な役割としてこの行政にアカウンタビリテイ(反省を込めた責任)を追求し「二度と同じ間違いを起こさせない行政」として再生させる大きな仕事が存在するのである。この市民、国民からのアカウンタビリテイの追求なくしてこれからの地方自治や国政の新しい民主的な発展は期待出来ない。オンブズマンの存在理由も大きくクロ−ズアップされるだろう。
更にオンブズマンの役割区分として地域の政治、行政、教育、男女平等、基本的人権の監視等が挙げられる。そしてその役割の基本は問題に係わる当事者間の調整である。その為の関連情報を当事者はオンブズマンに提供する事が前提である。
●地方、地域の国際化の核
地域の国際化にとって最も大切な事は歴史と文化、伝統に支えられた独自性の発掘、創造である。
次に海外との情報、人的交流を促進し人々の交換(ホ−ムステイなど)と具体化していく。これらについて地域の大学が中心になって官民一体で雰囲気作り、実力作り、実績作りへと段階的に進めていくことになろう。勿論言語の問題も大きいが大学が果たすべきこの役割も重大である。
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