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〜 ご挨拶 〜

本田技研工業株式会社 総務・法規部長  岡部 信孝氏

 Hondaは創設以来、【夢を実現して社会に貢献する】ことを理念としてまいりました。Hondaの始まりは、本田宗一郎の夢にその端を発しております。本などでご存知のかたも多いと思いますが、本田宗一郎は子供の頃に進駐軍のジープやトラックのガソリン、オイルの匂いにあこがれ、大きくなったら故障している車を直して喜んでもらえるような修理屋になりたい、という思いをきっかけにこの世界に入りました。その後、修理屋からオートバイ製造屋、それから四輪作りに、そしてロボットへと夢が変化し、最近では飛行機、これに関しては現在テスト飛行を行なっております。実は飛行機の機体とエンジンというのは通常バラバラに開発・製造されます。それをボーイングなどが組み立てて飛行機ができるのですが、1社でエンジンと機体を作った会社というのはこれまでに無いのです。それをHondaが実現したというわけなのですが、全ては世の中の人に喜んでもらおう、そういうエンジニアになるのだという、本田宗一郎の夢に原点があったわけです。

 そういったことから、未来を担う子どもたちにも、大きな夢を持ち、自らの夢を実現していくパワーを身につけて欲しいと願い、Honda「発見・体験学習」のプログラムをスタートいたしました。
 このプログラムは、こんな車があったらいいな、こんなシステムに変えたいな、こんなパートナーにいて欲しいな、といったHondaの未来のモビリティのイメージ、つまり【持続発展可能な社会】を創るための新しい価値創造に向けて重ねてきた【試行錯誤の実例】に子どもたちが直に触れ、子どもたち自身の未来創りのヒントやきっかけをつかんでいただきたい、ということを目的としております。この夢の実現のために、多くの先生方とのコラボレーションで活動を進めてきたわけです。

 先日、宇宙飛行士の野口聡一さんが宇宙ステーションから中継で小泉首相、そして選ばれた中学生たちと交信した場面が放送されましたが、その時に野口さんは子どもたちへのメッセージとして【夢を持て、あきらめるな、努力しろ、必ず実現する】、という趣旨のお話をしておりました。あの中継を見ておりまして、私はHondaと同じことを言っているな、と感じました。夢を持て、そして努力しろというのは、我々も子どもの頃から何度も親や先生に言われてきたことだと思いますが、これを実現するのは決して簡単なことではありません。
 野口さんが宇宙飛行士になりたいと夢に思ったのが中学生のころということでしたが、今回宇宙へ行ったのが40代半ばということになりますと、30年間その夢を持ち続けて努力した結果が、地球上の子どもたちとの宇宙ステーションでの会話である、といえると思います。大きな夢になるほど実現には多くの努力が必要になります。
 Hondaでは、夢はいくつも持てという言い方をいたします。1つの夢に向かって突っ走れというのではなく、夢はいくつも持て、大きい夢、小さい夢、たくさん持て、ということを日夜従業員には申しております。そして夢を持ったらそれぞれの夢に【チャレンジする】ことが大切なのだと思っております。このことが、創造性豊かな人間・社員を育てる原動力だと考えております。
 夢を描きますと、今の現実とのギャップを比較してみます。例えば宇宙飛行士になりたいと夢を持ち、今の自分を見たときに足りないものが多くあるわけですね。宇宙の知識、あるいはロケットの知識、アメリカで宇宙訓練を行なうためには英語、あるいは人体学、生物学など色々なことを勉強しなければなりません。この夢と現実とのギャップを我々は【課題】と呼んでおります。そしてこの【課題】を克服することが、努力ということになるのだと考えております。あまりに大きい夢を持ちすぎますと、克服できずに挫折ということに繋がってしまいます。そこで、夢をいくつも持て、その中からチャレンジして課題を克服し、達成していこう、という考えでやっております。

 最近【協働:コラボレーション(英語Collaboration)】という言葉がありますが、Hondaではコラボレーションはもとより、共に創造するという意味で【共創:コ・クリエーション(Co-Creation)】という言葉を使っております。この言葉は辞書には載っておりません。Hondaが作った造語です。
 何かを創っていく上で、1人の傑出した人物が夢を描き、人を使い、それを実現していく、というのもひとつの手法だとは思いますが、異質な生徒たち、あるいは仲間たち、社員たちが集まり、知恵を出し合い、時には喧嘩をしながら新しいものを創っていく、これを共創と呼んでおります。仲良しクラブが集まってものを作るのではなく、むしろ異質な仲間でチームを作らせ、それぞれがお互いの良い部分を吸収して新しい自分を創っていく、そして目的とする夢の実現に向かっていく、というのを共創と定義しております。
 Honda「発見・体験学習」で子どもたちが行なっているのは、まさに共創そのものです。子どもたちの2泊3日を見学いたしますと、始まったときから、発表して終わるまでの変化の大きさに驚かされます。これはまさに子どもたちの創造力・潜在能力の大きさなのだと思います。最初はだらだらとやっている子どもたちも、徐々に「自分も自分も」と入っていき、想像力/創造力を働かせ、温暖化問題などの解決困難なテーマに対して自分たちなりの解決法を探り出していくという姿は、本当に見ものです。

 本日はこの活動を通じて自らの未来作りへと踏み出した生徒の皆様に、自分達の未来を自らの言葉で語っていただきます。また、ご指導いただいた先生方にはプログラムの狙いや生徒達の成長についてお話していただきます。実践に基づくお話が子どもたちの本能や潜在能力を伸ばそうとお考えの皆様にとって新たな一歩のきっかけになれば幸いでございます。


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