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武蔵野女子学院
教諭
講演内容【鈴木定幸先生】

■「ツインリンクもてぎ」における試み
   └--- [ 1 ]前提として
   └--- [ 2 ]従来の教育観
   └--- [ 3 ]武蔵野女子学院の
   └---[ 3 ]「最先端学習に向けての取り組み」
   └--- [ 4 ]スケジュールシミュレーション
   └--- [ 5 ]ツインリンクもてぎを使う理由
・武蔵野女子学院HP


[ 1 ]前提として

 自然は、私達にとっては憩いや観察の場であり、人間と密接につながっていますが、一般的に二種類あると私は思っております。一方はいわゆる前人未踏のアマゾンなどの「脅威としての自然」、もう一方は人工の「人間を介在とする自然」。昔遊んだ山や、フランスの森、イギリスの森というのも実は人工的につくられてきたというのはご存知だと思いますが、環境問題を取り組む上で、私達は必ず技術をいれてきました。「自然に帰れ」というルソーも『エミール』では第五章になると急に社会契約論になります。
 私達の住む日本はもともと江戸時代ははげ山が多く、針葉樹の国だったそうですが、技術開発する上で段々と四季の楽しめる落葉樹の森になっていきました。
 「人間の目から見て美しい自然と、生物の生息しやすい環境は同一ではない」という淡水生物研究所の森下郁子さんの言葉がありますが、自然と技術というのが一体化し、人間が入ってこそ文明国の自然という認識がこれから大事になってくるのではないかと思います。
 

[ 2 ]従来の教育観

 明治時代から考えますと私達の教育観というのは、「教える」という啓蒙主義から始まっています。新カリキュラムでは、「自分達の力で考え生きる力を」といっていますが、これを良く考えてみると文部省からの強制なんですね。結局はそれを点数化しなくてはいけない。またゆとりということもいっていますが、例えば皆様が小学生だったときというのは今のカリキュラムの三割増しでしたが、ではゆとりは無かったんでしょうか。ゆとり学習ということで授業を減らす一方で、2006年度から国立大学センター試験は5教科7科目となります。大学の求めていることと文部省が中高生に求めているものにギャップが出来ている。
 そんな中で私達は一体何を総合学習としてやっていくか、考えていきたいと思います。
 


[ 3 ]武蔵野女子学院の「最先端学習に向けての取り組み」

1.コンセプト
 従来の授業では教師が細かくカリキュラムというプログラムを作った上で、生徒に教えていくというパターンが多いと思いますが、本校は「生徒自らが自分の意志で学んでいく」ということを総合学習で考えています。

2.武蔵野女子学院の環境問題
 この二枚の写真は80年近く経ちます本校の姿ですが、敷地が約3万坪あり、ぐるっと回ると小一時間くらいかかります。右の写真は敷地内の武蔵野の原生林を残した森ですが、私達はここに木を植えて環境を作ってきました。下の写真は通学路ですが、正門から入って3、4分銀杏並木の中を私達は歩くことになります。生徒達はここを歩く間に色々なことを学んで異空間に入っていきますし、又ここは併設する幼稚園に通う子供たちの良い散歩道になっています。
 授業中どこの教室からもこのように木や花を見ることができるので、四季を体験しながら授業を進めることが出来ます。
また本校は浄土真宗西本願寺派の仏教校ですが、宗教の授業の時間では、キリスト教やイスラム教も教え、その中で人間の生死を学んでいくように仕向けています。そして高校三年終わりにレポートなどで意味的な課題を学んでいきます。

 


[ 4 ]スケジュールシミュレーション

 このような環境にありながら「ツインリンクもてぎ」をあえて使いたいのは、サーキットの隣に「ハローウッズ」という森があるからです。(本当は11月の時点で生徒を実際に連れていきたかったのですが出来なかったので、今回は実施例をご提案します。)
 対象は中学二年生くらいで、今回は一泊二日で考えてみましたが、実際には二泊三日以上が望ましいと考えています。「ツインリンクもてぎ」は敷地が大変広く、歩いて回れない距離なので、バスが必要でしょう。



スケジュールはこちら ≫ [ HTML版 / PDF版(5KB)



1日目
 まずハローウッズに行って、パソコンなども置いてあるクラブハウスの裏山に生徒たちをあげ、森の案内人などの係の方に簡単に施設を説明していただいた後、一班約5、6人くらいで自由行動にさせたいと思います。ですがそのとき、「ここの森ではこんなことが出来るんだよ」ということは事前には一切言わないで、終わったあとで係りの人に説明していただくのです。一学年200人ですので、寝ている子もいるかもしれない。ただおしゃべりしている子もいるかもしれない。中には係の人に聞いて勉強する生徒もいるかもしれない。それはそれでかまわない。その中で自分が何を見出すか、ということに今回のプログラムの意味があります。
 そして夜には、遊びながらパワーポイントを使ったりしてレポートを作成してゆく。自国の歴史や文化を改めて認識してもらうために外国人の講師を招くということも考えられます。私が以前ツインリンクに行ったとき、ニュージーランド人の夫婦がご一緒になりましたが、対話を深めることで、互いの文化の違いなどを改めて気付くきっかけになりました。
 そして最後にみんなでプレゼンテーションをしあって、お互い刺激を受けあって更に深めていく。


2日目

 私共の学校では朝礼を「朝拝」といいますが、朝食前に山に登りまして、このぐるぐる広場で朝拝をしようと思います。このうずまき上のところは、200人くらい立ったり座ったりできますので、そこで夕方や昼間と違った自然を自分の身で味わってもらいたい。そして次に「アクティブセーフティトレーニングパーク」で組み立てキットの車を自分で作ってサスペンションやブレーキをはずして車の仕組みを学んだり、黄色の盲人誘導ブロックがここにはありますが、そこを歩いてもらったり、技術の面に触れながら社会について学びます。遊びから思考して創造が生まれるわけです。昼食後は自由行動しつつ、「ファンファンラボ」でホンダの技術を見つつ環境の問題に触れる。

事前学習と事後学習

 事前学習といたしましては、一年くらいで簡単な日常英会話やパソコンの基礎について学ぶと更に学びのきっかけが増えることになるでしょう。
 事後学習は「世界からみた日本」や「自分の知る日本文化」や「自己表現と客観表現」などについて学習することなどが考えられます。また何が面白く何がつまらなかったか、何故つまらなかったか、そして次に何をするべきかを、自分で考えてもらうことも必要でしょう。
 
◎ スケジュール ◎

[1日目] [2日目]
7:50   武蔵野女子学院集合(駐車場)   6:30   起床
8:00   武蔵野女子学院出発    7:00   宿舎発
11:00   ホンダもてぎ着    7:20   山にて朝拝(円形状にての集会) 
    バスにてもてぎ一週(施設説明)    7:40   宿舎着 
12:00   昼食    8:00   朝食
12:45   ハローウッズに到着    9:00   宿舎発
12:50   ハローウッズにて説明       自動車作成・障害者の体験・その他
13:10   ハローウッズ出発    10:30   ファンファンラボ見学体験
13:30   山の上で説明    11:50   ファンファンラボ出発
13:50   自由行動    12:00   昼食
15:50   ハローウッズ集合        
16:00   ホテル着        
    入浴山でのレポート作成        
18:00   夕食・レポート提出        
19:00   [1]外国人による自国文化の紹介        
    [2]PCによるレポート発表の作成        
    上記どちらかを検討        
20:00   レポート発表        
21:00   各部屋へ自由時間        
22:00   消灯        
 
[ 5 ]「ツインリンクもてぎ」を使う理由

 私達の学校では前にお話しましたように、緑が多く、生徒達は自分で花を育てたり田んぼを作ったりしていますが、ここを使うことによって、私達の自分の環境を改めて見直すことが出来るのではないかと思います。そしてここが、「自然をそのまま残せば環境問題を解決出来るのか」ということや、「環境と技術の関係」「生態系や地球の認識」「文化の認識」などこれらのことを総合的に考えるきっかけになればと思います。
 それをふまえた上でも一番重要なのは、「生徒自らの課題作りと学ぶ力」でないでしょうか。教えることが教育なのではなく、生徒が自ら発見して学ぶことが必要なのです。今回の指導要領はそのことが考えられていませんが、しかしツインリンクを使うことによってそれが可能になるかもしれません。

 最後にこの言葉で締めさせていただきたいと思います。

「あなたがたの生徒の注意を自然現象に向けさせるがいい。やがてかれは好奇心をもつようになるだろう。しかし、好奇心をはぐくむには、決して急いでそれをみたしてやってはいけない。かれの能力にふさわしいいろいろな問題を出して、それを自分で解かせるがいい。なにごとも、あなたが教えたからではなく、自分で理解したからこそ知っている、というふうにしなければならない。かれは学問を学びとるのではなく、それをつくりださなければならない。かれは頭の中に理性のかわりに権威をおくようなことをすれば、かれはもはや理性をはたらかせなくなるだろう。
(「エミール」第三篇、ルソー・今野一雄訳より)

 ご清聴ありがとうございました。

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