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東急線・みなとみらい線で通える私立中高一貫校、合同説明会

2008年3月14日
by 川頭 邦晴

 2月20日、21日の両日、東急線・みなとみらい線沿線の私立中高一貫校18校が集まり合同説明会が開催されました。様々な合同説明会の中でも、具体的な「交通アクセス」というユニークな視点で集まった18校。説明会や個別相談会などで保護者と接する中で、校風・進学実績に次ぐ「交通アクセス」への関心の高さを実感されている現場の先生方ならではの発案です。「保護者の方は学校選びにおいて、できれば乗り換えが少ない方が良いと思っているが、沿線に通える学校がどの程度あるのかは意外と把握されていない。」そんな現場の声に応え、保護者や受験生により学校選択の可能性を広げてもらおうと、実現されました。横浜・渋谷の2会場で開催することによって、受験生にとっては離れた地域の情報を得る良いチャンスとなったことでしょう。

 また、2月は中学受験生にとっては新学期スタートにあたります。「スタートのこの時期にこそ、学校選びの機会がほしい」という要望に応え、平成20年度入試後、もっとも早い合同説明会として開催されました。

 会は、先生方によるパネルディスカッションと個別相談会の二本立て。パネルディスカッションでは、いくつかの切り口から各校の教育実践の違いを見ることができます。また、これまで漠然と「遠い学校」といったイメージから選択肢に上っていなかった学校についても、個別相談ブースでじっくりと話を聞くことができます。

 交通アクセスの利便性を生かして学校選択の幅を広げるだけでなく、個々の学校の中身もしっかり伝えられるようにと企画実施されたこの説明会の様子を、パネルディスカッションの様子を中心に紹介していきます。

参加校:全18校(50音順)

鷗友学園女子中学校 大西学園中学校 小野学園女子中学校
神奈川学園中学校 実践女子学園中学校 昭和女子大学附属昭和中学校
聖セシリア女子中学校 洗足学園中学校 玉川聖学院中等部
戸板中学校 東横学園中学校 トキワ松学園中学校
武相中学校 森村学園中等部 八雲学園中学校
横浜女学院中学校 横浜雙葉中学校 立正中学校


●『開会の挨拶』 鷗友学園女子中学校 清水校長先生


 2月15日に文部科学省から新しい学指導要領の案が提示されました。改正された部分を見ると私立中高一貫校がこれまで当然のように取り組んできたことの多くが記載されています。

 ご存じのように私立学校はそれぞれが建学の精神に基づき教育実践を行っていますが、それと同時に様々な意味で先進的な取り組みを行っております。こういった私学の取り組みを見て公立が後を追っているという実情はこれからも続くのではないでしょうか。

 では具体的に私学はどのような取り組みを行っているのでしょう。それを知っていただくためには具体的にいくつかの学校に足を運んでいただかなければなりませんが、そういう意味でこの合同説明会が存在するのだと思います。どうぞ各ブースを積極的に訪れ、質問していただきたいと思います。パネルディスカッションも企画されていまので、それぞれの学校の個性を感じ取っていただければと思います。

 しかしそれで全ての学校の内容がわかるわけではありません。是非この会をふまえて各学校を訪ねていただき、ご自身の目で感じていただきたいと思います。最近ではマスコミも大学入試の結果などを取り上げるようになりました。そこには多くの数字が並んでおり、その順位で各校を選択するような見方が無いわけではありません。しかしこういうものに踊らされてはいけない。手前ごとで恐縮ですが、昨年鷗友学園からは芸大に5名の生徒が進学いたしました。しかしそのことを積極的に取り上げるマスコミはありません。東大は総合大学という形をとってはいますが、芸術の学科は存在していないのです。しかしそういう一部の切り口だけで語られてしまう。マスコミの視点だけを見て学校を選択してはならないと考えています。

 私たちには個性があります。
 昔よく読んだ詩で、金子みすゞさんの「私と小鳥と鈴と」という有名な詩があります。

 「わたしが両手を広げても
 お空はちっとも飛べないが
 飛べる小鳥はわたしのように
 地べたを早くは走れない」
 という言葉で始まり、
 「鈴と小鳥とそれからわたし
 みんな違ってみんないい」

と締めくくられている詩です。それぞれの学校に対してご理解を深めていただき、皆様の持つ不安と疑問を、希望とやる気に変えていただければと思います。



●パネルディスカッション「現場教育から語る学校選びのイロハ」

コーディネーター

森村学園中高等部 藤原先生
パネラー  立正中学高等学校 幸先生
  玉川聖学院 清水先生
  昭和女子大学付属昭和中学校 小西先生
  実践女子学園中学校 松下先生
  鷗友学園女子中学校 大内先生


 コーディネートされた森村学園の藤原先生も、各校のパネラーの先生方も全員が入試広報として、前線にたって各校の魅力を保護者や子供たちに語ってきた先生方です。そういった現場で受けた質問や、語り手の視点から学校選択の視点として持って欲しいポイントや、見るべきポイントが語られるという意味で、これから学校選択に向けて各校を回っていくことになる保護者にとって貴重な視点となるのではないでしょうか。

 パネルディスカッションで提示された視点は大きく分けると以下の4つになります。

1 日程や試験科目、合否判定などの入試の枠組みにはどのようなものがあるのか
2 各校において学力形成がどのように実践されているのか
3 どのような活動に力点を置いた情操教育がなされているのか
4 学校と家庭の連携をどのようにとっていくべきか

 まず入試の枠組みに関しては、各校で大きく異なる入試日程や、試験科目、合格発表のタイミングなどの概要が示されました。近年活発になりつつある午後入試や、サンデーショックによる入試日程の変動など、基礎情報として抑えておきたいポイントといえます。


 続く学力形成からが、具体的に説明会で抑えて欲しいポイントということになります。各校の先生方の意見からは、大学入試の先にあるキャリアデザインを見据えた学力の育成を掲げる私学と、進学実績というわかりやすい数字を学校の評価とする受け手の意識のズレが見えてきます。

 そこで藤原先生は「わかりやすい基準として見られがちな進学実績ではなく、学力形成のためにどのような切り口で迫っていくのかが大切ではないか」と提案します。

 実際にパネラーの先生方の話からは各校の切り口の違いが見えてきます。

 例えば鷗友学園では「6年間の流れ」が学力形成の切り口になります。試験で落ちたらどうしよう、偏差値が下がったらどうしよう、というプレッシャーの中で受験勉強を続けてきた中学1、2年生には勉強を楽しいものだと感じられるように、ちょっと躓いたときにすかさず声をかける、なるべく達成感を持たせるために小さなことも褒めるといった工夫をします。しかしよく頑張ったね、だけでは成長しきれない場合が出てくる中学2年生の後半くらいからは高度な調査ができるのでは、もっとここを考えてごらんといった声のかけに変化し、与える課題も自分たちで考えたり話し合ったりするなかで自分たちなりに見つけ出すような内容に変化していきます。

 また玉川聖学院では、与えられた命をどう社会のために使っていくのかといった「目に見えない学力」を切り口に、人間関係、環境学習、平和学習、国際学習、そして聖書、家庭科、理科、保健体育などを横断した人間学の授業として実践しています。

 入試結果を基にした徹底的な習熟度別のクラス編成で数学力を育成する立正や、食育をとおして脳の活性化を計るという昭和女子大附属昭和、行事や海外研修など授業外の活動によるモチベーションの向上を重視する実践女子など、 「授業を通して学力形成をしていくことは、私学の基本」としても、その授業をどのような切り口でどのように組み立てていくのかは、各学校の個性となります。

 続く情操教育に関しても同じことが言えます。「学校が心の教育をやらないはずがない。学力形成しかやらないのであれば塾に任せれば良い。」と森村学園の学校説明会で校長先生がお話になった内容を引用し、そのうえでそれを実践する力点をどこに置いているのかに注目すべきだと語られていました。

 これもまた各校の具体例としみていくと、6年間のうちのおよそ3ヶ月にも及ぶ宿泊体験などの学校行事に力点を置く昭和女子大附属、クラブ活動やイベントの企画運営に関わる中で生まれてくる感動を大事にする実践女子。立正では行学二道の理念から、他者に対する親切心や勇気を持て諫められる友人関係、そして感謝の心という行いを大切にしていますし、ミッションスクールである玉川聖学院であれば聖書の時間やクリスチャンの先生方による体験に基づいたお話、ボランティア活動などの「心の教育」を実践しています。いじめなど社会的な問題はどの学校ももちろん抱えています。しかしそれを乗り越えるための、理念に根ざしたこうした実践こそが一つひとつの「私学の個性」となるのです。

 そして最後に語られたのが学校と家庭の連携です。受験生の保護者にとっては、どの学校を選ぶのか、どのように学んでいくのか大きな悩みとなっています。しかしそれを乗り越え、私学に入学した後にも思春期、反抗期といった新たな悩みを迎えます。

 その悩みをどう乗り越えていくのか、そこでもまた各校は具体的な実践を行っています。玉川聖学院では、生徒のことを徹底的に話し合う先生チームと保護者会や学年通信という保護者とのつながりを大切にします。?友学園では保護者と教員の密なコミュニケーションで、親はいやでも大人には自分をぶつけたい、意見を聞きたいという生徒たちの心を正面から受け止める機会を設けています。昭和女子大附属ではPTAの代わりに学校の施設と教員という知的財産を活用し、保護者の学校理解を深める昭和ペアレンツクラブ(SPC)という活動を行っています。

*  *  *

 学力形成、情操教育、学校と家庭の連携。現場の先生だからこその視点から繰り出される多様な切り口での質問から、それぞれの学校の輪郭が浮き彫りになり、各校の個性が明確に伝わってくるパネルディスカッションでした。

 パンフレットやウェブサイトなど、学校選択の情報は無数に溢れていますが、実は「先生同士の対話」の中に、学校を知る大きなヒントが隠されているのではないでしょうか。

 今回のような、学校選択者の視点に立ったユニークな説明会が、今後も増えてくることを期待したいと思います。

*  *  *

 

●【個別相談会】

 個別相談会では、東急各路線ごとに18校のブースが設置され、各校の先生方と保護者の対話の場が設けられました。これまで通学圏内にあったのに、見過ごしてきた学校の魅力を発見するチャンスに、会が終了する14時近くになっても、保護者と各校の先生方との熱の入った対話は続きます。ある先生は「東京エリアの説明会に、通学圏内の学校として本校の名前が掲載されたこと、そこに大きな価値があるのです。」と語られていました。

 


 受験生にとって通学圏が広がるということは、学校にとって新たな受験者層獲得につながると同時に、ライバルとなる学校が増えることにもなります。互いに切磋琢磨しあい、学校の魅力や教育実践のひとつひとつをしっかりと言葉で伝えていこう。そんな先生方の意気込みも感じられる説明会でした。

 



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