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東京女子学院中学校の英語の授業

2004年1月26日
by 野田 亜矢子

■ 2008年までに、「英語の授業は英語で教えましょう」と文部科学省が働きかけている。また、2006年の大学入試センター試験には、英語のリスニング(聞き取り)の導入が決定している。そのような流れを受け、今年度から東京女子学院では英語改革が始まっている。中学3年間の英語教育を、すべて外国人教師によって、英語で行うというものである。改革が始まって8ヶ月、11月の末に英語の授業を見学することができた。

■ 最初は中学1年生の授業。担当はニュージーランド出身のトーマス先生。まず驚いたのが、トーマス先生の話す(説明する)英語の早さである。通常ならば分からない生徒のために、分かりやすくゆっくりと話すものだが、ネイティブスピーカー同士で話すより少し遅いくらいのスピードで生徒に話しかけている。そして、もっと驚いたことに、生徒がその速さについてきているのだ。

■ 通常、中学に入学して初めて英語の勉強を始めるが、最初から「ネイティブスピーカーによる全て英語で行われる授業」を受けているため、生徒はこれが「あたりまえ」だと感じているようである。宿題の確認をしたあと、さっそく授業に入る。テキストとして「Side by Side」を使ってはいるが、参考資料程度にして、どんどん会話をさせることに重点を置いているようだ。

■ 今日の授業では、お友達と質問をしながら、友達がどういうキャラクターなのか、みんなに他己紹介をするというもの。例えば、こんな具合。

A:
Do you play tennis every day ?
B:
Yes, I do.
A:
Do you study English every day ?
B:
No, I don't.
A:
Do you like physical exercise ?
B:
Yes, I do.

■ 生徒は最初「体育」を英語でなんというのか、分からなかったようだ。友達同士で「体育って英語でなんていうの?」と日本語で相談しあっていたが、すぐにトーマス先生が気づいてくれた。先生は生徒の目線まで下りて、ゆっくりとスペルを含めて説明していた。そして、既に質問している結果を見て、“ What kind of person is she ? ” とAの役の生徒に質問をする。

■黒板には、Active, Athletic, Outgoing, Popular, Shy などキャラクターを表す単語が書かれており、そこから選ぶのだが、A役の彼女はどれが当てはまるのかわからない様子。すると、先生の方から助け舟が出て、“She plays tennis everyday. And she likes physial exercise. ......She is not a shy person.” という風に、選択肢を減らしてくれて、生徒も、“She is an athletic person.” と回答することができた。















■ 次に、中学3年生の授業を見学した。担当は、英語科主任のアン先生。通常の教室ではなく、コンピュータ・ルームで行われていた。今日の授業は、グループで物語を作っていくというもの。テーマは“Ghost Story”だ。

■ アン先生は中学1年生を教えていたトーマス先生よりも、ゆっくりと生徒達に話し掛けている。“Ghost”という単語が何を意味しているのか最初は分からなかった生徒達だが、黒板に震えるような字で“Ghost”と書いたり、まるでおばけのような声で話す先生の声で、理解できたようである。

■ まず、先生からルールの説明があった。“Write your sentence. Remember. Other students will read your sentence so write your best.” もち時間は一人2分間。英語の力も必要だが、何よりも自分の独創性が試される授業である。

■ 物語を作っていく上で使えそうな単語を先生が黒板に書き連ねていく。heard, noise, screamed, ran, scared, felt, cold など。物語なので、動詞は過去形である。先生が現在形で教えて、生徒が過去形に直して言い換えていた。今までの授業だと、昨日は現在形、今日は過去形というように、習う時期がまとまっているが、アン先生の授業では、全て平行で行われているようだ。

■ いよいよ、ノートパソコンのWordを起動して物語作成が始まるが、生徒は始めの一文がなかなか書くことができない。そこで先生の方で、参考文“It was a dark night./ I was walking home last night” を作ってくれた。それをもとに、生徒達はオリジナルの文章を作り始めたようだ。

■ 最初の一文は、簡単にできるのだが問題は次以降の文章だ。先生の“Change the seat, please” の声で席を移動。友達の書いた文章を読んで続きを書いていく。生徒達の頭の中には「日本語だったら、こう書いたら面白い物語になる」という考えがあるのか、ちょっと教室内が静かになった。ただ英語でどう表現すればいいのかが難しいようである。辞書で調べて文章を作る生徒もいれば、直接アン先生に質問してアドバイスをしてもらう生徒もいて、とても活気のある授業となってきた。

■ あるグループの物語が、とてもユニークなものに仕上がった。(生徒の入力した文章のまま掲載。)

I was seeing ghost in the park .
and listening to ghost voices .
Ghost said  "Anne, Anne, Anne."
I think ghost. Do it like Anne ?

アン先生もこれには苦笑い。ここは直した方がいいというのをアドバイスしてよりよい物語にしていた。

■ 他のグループも、どんどん書いており、4人一巡して、二巡目に入ったグループも数多くあった。

















■ スムーズに授業が進んでいるが、こうなるまで、多くの難題を先生方が力を合わせて乗り越えている。今まで日本人教師による伝統的な英語授業を受けていた中学2・3年生への説明・指導、日本とNZの教育や文化の違い、など。毎週英語科の先生で会議を開いて、「どうしたらよい授業・教育を生徒に与えられるのか」「卒業するまでにどのレベルまで英語力がつけば良いのか、またその指導方法はどうしたらいいのか」「保護者や他の教科の先生への説明をどうするのか」など、徹底的にミーティングをしているという。

■ 通常の授業以外にも、Talk Talk という放課後を利用しての「英語クラス」や、学院の卒業生が協力して勉強のサポートにあたる「OG チューター制度」などもあるそうだ。英語科から始まった授業改革が、東京女子学院全体に波及している。現在学んでいる彼女達が社会に出るとき、どんな国際人になって社会をリードしていくのか、とても楽しみである。
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