|
第6回目を迎えた今回の土曜講座は、4日後のツインリンクもてぎでのHonda「発見・体験学習」を前に、HondaのスポーツカーNSXの開発に携った尾崎俊三郎さんに講演をしていただきました。
今回は尾崎さんの講演をヒントに、生徒たちはチームで「コンセプトづくり」に取り組みます。「理想の安全な車」をテーマにコンセプトを立て、イメージスケッチで表現します。
生徒ひとりひとりの想像力から出る「理想の車」を、チームでディスカッションしながらひとつのコンセプトにまとめあげていく作業と、抽象的なコンセプトをイメージスケッチという具体的なモノに表わしていく作業、この2つが今日の課題です。
|
|
 |
| ▲尾崎さんの質問に、積極的に自分の意見を述べていく生徒たち。 |
■尾崎さんが壇上に立つと拍手がおこり、マルチメディアルームが静かになりました。生徒たちの顔を一度見回すと、尾崎さんは生徒たちに質問をしました。
「まず、皆さんは今チームに分かれていると思いますが、チームワークに一番必要なものは何だと思いますか?」この言葉に、生徒の間から「協力!」と即座に声があがりました。「それも大事なことですね。他には?」 今度は少し間があってから「友情!」と意見があがり、それをきっけに「愛情?」「信頼?」「技術?」と声があがり始めました。
|
|
■生徒たちの答えに、尾崎さんは大きくうなずきました。
「今、皆さんが答えてくれたことは、どれも大切なことです。しかし、もっと大事なことを忘れていませんか? チームワークに一番必要なこと・・・・・・それは、みんなが同じ目的に向かうための目標を立てることです。クルマや何か大きなものをつくる時には、それぞれが同じ目標を持つことが大切です。では、今度はこの目標のことを何と言うか解りますか?」
そんな尾崎さんの質問に、生徒たちはお互いの顔を見たり、手にしたノートをめくりながらじっと考え込んでいます。
|
| ■尾崎さんは少し間をおいてから、「この目標のことをコンセプトと言います。チームでどんなものを作るのかをしっかり決めていると、作業を分担して進めても目的からズレることはありませんね?」生徒たちは尾崎さんの顔を見上げて納得したように目を瞬かせました。「それでは、今日は私たちがクルマづくりのために、どんなふうにコンセプトづくりをしているのか、お話ししていきたいと思います」こうして尾崎さんの講演が始まりました。 |
|
■尾崎さんは映像を使って、『何人乗りなのか』『どんなシーンで使われるのか』『スタイルや実用性は?』などコンセプトづくりに必要な要素を、写真を織り混ぜながら丁寧に生徒たちに説明していきます。
|
 |
| ▲スクリーンには実際にHondaのクルマを例にあげ、尾崎さんがそれぞれのコンセプトなどを紹介してくれました。 |
■「それから、クルマには大きさや早さだけでなく、安全性も重要なポイントです」続いてスクリーンに映し出されたのは、事故の実態やグラフでした。
クルマ同士の衝突やクルマと歩行者の接触など、これらの映像を見るといかに事故が多いか、そしていかに安全性が重要かがよくわかります。
|
 |
| ▲Hondaが取り組んでいる安全対策に、生徒たちは時々感心したように声を上げていました。 |
■「私たちはまず、乗っている人や歩行者の安全性、それから衝突回避の方法などを考えます」尾崎さんがそう言って提示したのは、クルマづくりにおいて取り組んでいる安全対策の例でした。
「水に落ちたらどうなると思いますか?」「標高は、どれ位までクルマは走ることが出来ると思いますか?」こうした尾崎さんの質問に、生徒たちは次々に率直な意見を述べていきます。「気温の高さはどの位なら、クルマを走らせることが可能だと思いますか?」こんな質問に、「80度?」という声があがり、「さすがにそれは難しいなぁ」と思わず尾崎さんを笑わせる場面もありました。
|
 |
| ▲「理想のクルマってどんなもの?」と話し合いながら、生徒たちは教室へと戻っていきました。 |
■「クルマづくりは、こんなふうにいろんなこと考えているわけですが、みなさんにはまず「安全」をメインテーマにし、理想の車のコンセプトを考えて発表してもらいます」この言葉に早くも「エアバッグを沢山付けるのはどう?」「障害物センサーは?」と意見が飛び出し、マルチメディアルームがざわめきました。
尾崎さんは「安全性とは事故の回避だけでなく、環境問題や人に怪我をさせない、ということも含めます」と付け加えマイクを置きました。
|
| 9時45分
教室でのディスカッションT 【安全な車を考える。その前に大事なことは?】 |
|
 |
| ▲テーマが“クルマ”という身近なもののせいか、映画やマンガに出てきたクルマを例に出す生徒がたくさんいました |
教室に戻って来た生徒たちは、さっそくチームごとに机を寄せて話し始めました。
■顔を寄せ合った生徒たちは一斉に話し合いを始めました。「やっぱり、空を飛ぶクルマ!
ハリー・ポッターに出てきたような」と女子生徒たちが盛り上がっているチームもあれば、すでに「こういう車で・・・・・・」と、男子生徒が紙に絵を描き出すチームもあります。
|
 |
| ▲みんなの意見を上手にまとめていくのは大変な作業。だからこそ頑張らなくちゃ! |
■ラーニングアドバイザー(LA)に「今回一番大事なことは何でしたか?」と聞かれると、生徒たちは不思議そうに「安全なクルマを考えることでしょ?」と答えます。
■LAは生徒たちに向かい「尾崎さんは何と言ってましたか? チームで何かを作るときに一番必要なことは・・・・・・」と問いかけると、生徒の一人がポンと机を叩き「あ!コンセプトだ!」という声をあげました。
|
 |
| ▲次々と模造紙に書き込んでいるチームもあれば、なかなかコンセプトづくりが進まないチームも・・・・・・ |
■コンセプトづくりから始めよう!と、各チームの生徒たちは考え始めました。とは言え、コンセプトとはどんなものなのか、いったいどうやって決めていけばいいのか、見当がつかずに少し困惑した様子。まだ真っ白な紙を前に、鉛筆を手にしたまま考え込んで「コンセプトってどうやって決めればいいの・・・・・・?」と、ディスカッションを始めました。 |
 |
| ▲ひとりずつ理想のクルマを考えてメモし、見せ合いながらディスカッションするチームもありました |
■慣れないコンセプトづくりに、作業はなかなか進みません。そこで、LAからこんなヒントが。「コンセプトづくりのために、まずはどんな目的のクルマにするか決めたらどうかな」すると生徒たちは「勝手に人を避けるクルマってどう?」「そうじゃなくて何人乗りのクルマなのか、とかを決めなくちゃいけないんじゃないの?」「なら、たくさん人が乗れて環境に優しいクルマはどうかな」「じゃあ、排気ガスが出ないクルマがいいよ!」と、次々に意見を出し始めました。 |
| 10時 教室でのディスカッションU 【コンセプトをまとめ始める】 |
|
 |
|
▲積極的に尾崎さんへ意見を求める生徒の姿。
|
■「前に手が付いてて、ぶつかりそうになったら相手の車をつかんで後ろにほうりなげちゃう!」「後ろからクルマが来たらどうするの?」「え・・・・・・っと、エアバックを後ろに付けておく」生徒たちの考える安全対策はどれも個性的で、意見があがるたびチームに笑いが起こることもしばしば。また、中には「雷のエネルギーを使うことは出来ないですか?」と、尾崎さんへ直接質問をしに行く生徒の姿もありました。こうして、このディスカッションをもとに、生徒たちはコンセプトをまとめていきました。 |
 |
| ▲書いては消し書いては消し、ようやくコンセプトがまとまりました! |
■こうして出来上がった内容は、各チームさまざまでした。
・4人乗り
・赤色
・センサーがついている
・羽が生えていて、空をとぶ
・ふわふわしている
・排気ガスを出さない
さらには
・スピード違反できないクルマ
・動物に優しい
・居眠りしている人をたたき起こす
といったアイディアを出していたチームもありました。 |
| 10時15分 教室でのディスカッションV 【コンセプトを決め、イメージスケッチを始める】 |
|
 |
| ▲イメージスケッチに迷っていたら、LAがこんなヒントくれました |
■LAの「コンセプトや、なぜそのコンセプトに決めたのかを考えながら、イメージスケッチを描いてみてください」という言葉に、楽しげにマーカーを手にする生徒たち。コンセプトを書いた紙を横に置き、模造紙に向かって具体的なイメージスケッチを描き始めました。 |
 |
| ▲床に模造紙を広げ、みんなで覗き込んでの作業。前回、前々回と比べて、とてもよく協力しているチームが目立ちました |
■各々が手にマーカーを持って、自由に描いているチームと、役割分担が出来ているのか、一人がリーダーとなって「ここにクルマの絵を描いて、こっちに・・・・・・」と指示しながら順調にイメージスケッチを描いているチームもあります。 |
 |
| ▲尾崎さんに意見を聞きながら、イメージスケッチに取り組んでいくチームたち |
■その一方で、女子生徒と男子生徒の意見が分かれてしまっているチームもありました。イメージスケッチは「となりのトトロ」に出てきた“猫バス”の絵が描かれていました。その様子を見ながら男子生徒たちは不満そうに「絶対おかしいよ」と意見を言っていました。
■LAからは「ただスケッチを描くだけではなくて、チームで考えた安全な車のコンセプトをどうやってスケッチに表現するかが大切です。みんなが描いている車の形や色、ひとつひとつにコンセプトが表わされているかな? 発表の時には、コンセプトをどうやってスケッチに表現したかも説明してもらいますよ」とアドバイスが入ります。
|
 |
| ▲時間を精一杯使い、できるだけコンセプトの内容を書き込もうと奮闘中! |
■「上の方に描かないと、発表の時見えないよ!」「横にコンセプトも書いておいたほうがわかりやすいと思う」と、内容もさることながら、見せるための工夫も忘れません。こうして、2限目は終了。しっかりイメージを描き込もうと、休み時間も一生懸命模造紙に向かっているチームもありました。
|
| [2]へつづく
|