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共栄学園中学校 Kyoei&Honda最先端学習 第1回土曜講座

2003年6月26日
by 平出桃子

■ 2003年度、Kyoei&Honda最先端学習土曜講座が始まりました。共栄学園の中学2年生は、年間テーマ「都市と人間」に基づいて「問題を自ら発見し、解決できるリーダーシップ育成」を目標に、様々な学習体験を行っていきます。今回は土曜講座1年間の導入として、コミュニケーションを通して自己と他者の理解を促進することを目的に学習を進めました。


8:50 授業開始
■ 各クラスごとに出席の確認を行いました。SVやLAが教室に入ってくると「先生がたくさんいる!」という驚いた生徒の声が聞こえてきました。これから1年間共に学んでいく生徒たちを目の前にして、SVも少し緊張気味の様子。「みなさん、おはようございます!これから出席を取ります。名前を間違えてしまったらごめんなさい。」名前を呼ばれると元気よく返事をする生徒もいれば、恥ずかしそうに手を上げる生徒もいました。

9:00 生徒によるスタッフ紹介 〜チーム分け・インタビュー〜

■ PCルームに生徒が集まると、「せまい!」「なにするの?」と友達とおしゃべりを始めました。LAは生徒たちが全員座れるように誘導していました。SVが前に立ち、生徒たちに問い掛けました。「みんなこれから何をやるか知っている?」「遊ぶ!」という生徒の元気な返答に「うん、ある意味そうかもしれないね。」と笑顔で返すSV。

■「みんなは新しいクラスになれたかな?新しい友達の名前も覚えた?」「もちろん!」「さすがだね。この教室には学校の生徒でも先生でもない人たちがいます。彼らはこれから1年間、みんなと一緒に行動するLAです。そこで今日は、みんなにLAの紹介をしてもらいたいと思います。9つのチームに分かれたら、LAにインタビューしましょう。楽しいLA紹介をしてくださいね。」
■仲の良い友達同士、同じチームになりたがる生徒が多くいました。LAも一緒にチーム作りを手伝います。チームに分かれたら、インタビュー開始です。聞いたことを忘れないように、メモ用紙が配られました。質問をメモに書いてからインタビューしようと考えている生徒に「書いていたら時間が少なくなってしまうよ。直接聞いて、質問と答えを書く。同時進行がいいと思うよ。」とLAがアドバイスしていました。

■どのチームも、インタビューが思うように進みません。ここでSVが「友達の紹介をしてみましょう。」と生徒にマイクを手渡しました。「あなたの友達を、みんなに紹介してください。」マイクを突然手渡された生徒は戸惑いながらも、友達の紹介を始めました。隣りに座っている友達の顔を見ながら、「彼の良いところは・・○○に似ているところです!」まわりの生徒たちから笑い声が起こりました。「ありがとう!君は視覚的に友達の良いところを捉えているね。次は他の子にチャレンジしてもらいましょう!」

■別のチームの生徒にマイクを手渡すと、みんな恥ずかしいのか、自分はやりたくないと、隣りの生徒から生徒へとマイクが手渡されていきます。最後に手渡された生徒は、覚悟を決めた様子で、友達の名前を紹介し「彼女の好きなところは、かわいくて、松田聖子のものまねがうまいところです。」と大きな声で発表してくれました。「みんな友達の良いところを捉えていますね。短い時間の中で、LAの良いところを見つけてください!では、インタビューを再開してください。」

■LAが側にいるため緊張しているのか、恥ずかしいのか、なにを話して良いのか考え込む生徒や、友達とふざけあう生徒もいました。なにを質問しようか迷っている生徒に、LAがやさしく「なんでも聞いていいよ。」と声を掛けていました。「結婚はしているか?」「え〜そんなプライベートなことも聞いていいのかな?」と小声で話していると、「結婚していると思う?ってことは何歳に見える?」とLAが生徒に問い掛け、質問しやすい雰囲気を作っていました。

■ 名前や生年月日など一通り質問が終わると、生徒はまた黙ってしまいました。「もっといろいろ聞かないと、発表できないよ。みんなが興味を持っていることは何?」「う〜ん、私はドラマが好きなの。今見ているドラマはありますか?」「"動物のお医者さん"を見ているよ。みんな知っているかな?」「えっなにそれ?いつやっているの?」「漫画が原作なのだけれど、とてもおもしろいよ。」「今度見たいな。じゃあ、好きなタレントは?」先ほどまでの生徒たちの緊張はどこにいったのか、今日初めて会ったとは思えない打ち解けた雰囲気でLAに質問できるようになりました。生徒たちの興味を、上手に引き出すことができたようです。
■ チームで輪になり、左まわりで順番にひとりずつ質問をしているチームがありました。「宝物はなんですか?」という生徒の質問に「いい質問だね。私の宝物は"もの"ではなく"ひと"。家族や友達です。」とLAが答えると「かっこいい!素直に言えるところがいいな。」と生徒たち。「そんなことないよ。」とLAも照れているようです。「そろそろ発表する項目を決めましょう。全部発表するか、いくつかに絞るか。さあどうする?」インタビューの残り時間も少なくなり、他のチームも発表する項目をピックアップし始めました。

9:35 休み時間

■ 1時間目の終了です。緊張が解けた生徒たちは自由に動きまわっていました。SVにナゾナゾを出す生徒、チームのLAと一緒にゲームをして楽しむ生徒など、徐々にお互いの距離が近くなっていきます。


9:45 生徒によるスタッフ紹介 〜発表〜
■ 休み時間が終わり、生徒たちが戻ってきました。「みなさん、LAがどんな人物なのか分かったかな?これからチームごとに前へ出て、発表してもらいます。最初にLA紹介をしてくれるチームはどこでしょう?」「はいっ!」と元気良く手を上げたチームが、「がんばろう!」と声を掛け合いながら、LAと一緒に前へ出てきました。

■1列に並ぶと、メモしたことをひとりずつ発表していきました。「まゆが凛々しい・・」という生徒の視点からみたLAが紹介されると、聞いていた生徒たちから笑いが起きました。SVからは「聞いたことだけではなくて、自分たちで観察したこと、自分たちの言葉が入っていたのが良いね。」とフィードバックがありました。他のチームも続いて発表を行いました。プライベートなことまで質問していたり、「名前忘れちゃった!」と冗談っぽく言ってLAの名札を見直すチームもありました。どのチームもユニークな発表内容でした。相手をよく知るために問いを発すること、またそれを聞く人に分かりやすく伝えるために自分たちの言葉に置き換えて発表することを体験できたようです。


10:15 トリガークエスチョン 〜物体Xの正体〜
■ LA紹介で緊張がほぐれたら、次のプログラムにうつります。ここではチームディスカッションを行います。チームディスカッションはこれからの土曜講座において、基本的な要素となります。今回は初めてのディスカッションのため、発言することも大切ですが、ディスカッションとはどのようなものなのか体験し、全員がディスカッションに参加することを目的としています。また、生徒たちが自由にアイデアを出せるように、正解のない課題に取り組み、自分たちで答えを導き出していきます。

■SVは、不思議な物体を取り出しました。「みなさん、これはなんでしょう??」と生徒に見えるように高く掲げます。不思議な物体は、全部で4つあり、生徒たちの興味を誘います。「次はこのグッズをどのように使うか、みんなに考えてもらいたいと思います。正解はありません。間違えもありません。自由に考えてください。後でチームの考えを発表してもらいます。」各チームにひとつずつ不思議な物体が配られました。

■くるくる丸まっているグッズを選んだチームは、逆さまにしてみたり、丸い部分を伸ばそうと引っぱったりしていました。「見た目、ハンガーっぽくない?」「でもどうやって服を掛けるの?」とLAから指摘され、「う〜ん、ちょっと無理かな。」と諦めた様子。「肩もみ器に似ているけれど・・。」という生徒は、実際に試してみることに。「結構気持ちいいよ。でも違う気がする・・。」「正解はないのだから、肩揉み器でもいいんだよ。材質は何か、なぜ丸まっているのか、幅広く考えてみよう。」
■生徒たちの観察は続きます。「あっ、なにか文字が書いてあるよ!でも英語で読めない。Handyってことは手が関係ありそうだけど。」「もしかしたらメーカー名かな?よし、辞書で調べてみよう!」LAに許可をもらって、教室へ辞書を取りに戻っていきました。残っている生徒たちへLAが「今までの中で、良いアイデアはあったかな?どう?」と問い掛けます。「ものを掛けるものだと思う。」「それはどうして?」「フックに似ているし。フックの代わりにものを掛けるグッズじゃないかな?」と自分たちの意見を伝えていました。

■細長い球体に棒の付いているグッズについてディスカッションを行っているチームでは、「ツボ押し器!」「耳掻き!」「指輪掛け!」など様々なアイデアが飛び交っていました。「待って待って。いろいろなアイデアが出たけれど、そう思った理由も教えて。」とLAが生徒の間に入ります。「私は"指輪掛け"だと思います。この細い棒に指輪を重ねるの。さらに使わないときは、インテリアとしても使えます。」「良いアイデアだね。使用していないときの活用法まで考えるなんて、すごいね!他の人はどうかな?」

■「これ、切れたりするかな?グレープフルーツを切る道具だと思ったのですが・・。こんな感じの使ったことあるよ。」まわりの生徒たちは「カッターには見えないよね。」と批判的な様子。LAは「なるほど、おもしろい意見だね。自分の体験をもとに考えたんだね。」と誉められていました。「棒の先端が曲がっているのはなぜだろう?」「ただのデザインでしょ。」という生徒もいましたが、「ここがポイントなんだよ。」と新しいアイデアを考え始める生徒もいました。

10:30 休み時間
■ 発表の前に休み時間を取ることにしました。休み時間の間も話し合いを続けるチームや、発表の内容をまとめるチームが多数ありました。また、同じグッズを持っているチームのアイデアが気になるようで、他のチームの意見に聞き耳を立てる生徒もいました。「正解はないのだから、自分のアイデアを大切にして。」と再度LAが今回の趣旨を説明していました。

10:40 トリガークエスチョン 〜発表〜

■ 自分たちのアイデアが可能であるか実験をして確認してから発表を行ったチームや、使い方を実演しながら発表してくれたチームなど、各チームとも個性のある発表方法でアイデアを紹介してくれました。それぞれのグッズの特徴をよく観察し、同じグッズでもいろいろなアイデアが発表され、他のチームの発表を聞いている生徒たちからも「おー!」という感心している声や「えーっ?」という不満そうな声が聞こえてきました。

グッズ(1) グッズ(2) グッズ(3)

グッズ(4)

■はじめに、くるくる丸まっているグッズ(1)についてディスカッションを行ったチームの発表が行われました。くるくると曲がっている不思議な物体に、頭を悩ませたチームも多かったようです。フックとしての役目を考えるチームが多くあり、カーブしている部分に手荷物などを掛けて持ち運ぶグッズというアイデアがありました。最初は"ツボ押しグッズ"だと考えていたそうですが、"ツボ押しグッズ"にしては形がおかしいと思い、手荷物を掛ける道具だと考え直したそうです。また、犬の散歩の時に使用する道具だと考えたチームもあります。どのチームも、形や質感に注目し、実際にかばんを引っかけてみたり犬を連れて歩く格好をしてみたりと実演を交えてアイデアを膨らませていきました。

■続いて、球体に棒の付いているグッズ(2)を選んだチームの発表が行われました。最初のチームは、結論に至るまでの過程も説明してくれました。はじめは"耳かき"や"ツボ押しグッズ"だと考えていましたが、"耳かき"はもっと棒が細い方が良いと考え、"ツボ押しグッズ"にするなら太い方が良いと思い、最終的には"アクセサリー掛け"というアイデアに決めたそうです。続いてのチームは、1:みかんのヘタを取り除く道具・2:テコを利用した何らかの道具・3:余分な盛り付けをきれいにする道具・4:ホッチキスの針を取り除く道具、という4つのアイデアを紹介してくれました。テコの原理からヒントを得たアイデアについては、実験をして検証した結果、残念なことに役に立つことがないと判断したそうです。
■次に、石のようなグッズ(3)を選んだチームのアイデア発表が行われ、丸くて穴が開いていることに注目し、"はんこ" "鉛筆立て " "おもり"などのアイデアを紹介してくれました。最終的に"ウィンド・チャイム"という意見にまとまり、どのように使うかをホワイトボードに書いて説明してくれました。見えない部分まで想像して考えており、発想力が豊かなチームでした。続いてのチームは、"おもり" "線香立て" "水草入れ"という3つのアイデアの中から、"水草入れ"ではないかと考えました。理由は、穴が開いているため立てやすく、水槽にも入れやすいからだと思ったそうです。
■最後に、細長くクッションのような弾力があるグッズ(4)を選んだチームの発表が行われました。このグッズを選んだのは、1チームだけでした。このグッズは裏がシールのようになっているので、はじめは肩やくびに張るものだと考えたようですが、靴のかかとに入れるものではないかという提案があり、実験してみたところ、やわらかくて気持ちよく、靴擦れしている人にお勧めの商品だと思い、このアイデアが一番良いと思ったそうです。
■「みなさん、ありがとうございました。ひとつのグッズでもチームによって異なるアイデアがたくさんあって、とてもおもしろかったです。みんなの意見どおりの用途で使っても良いと思うんだけど、もともとはどういう用途のために作られたものなのか、知りたいですか?」SVが生徒たちに聞くと、あちこちから「知りたーい!」という大きな声が上がりました。

■「(1)は、もう出ていますね。そう、荷物を掛けて楽に運ぶグッズでした。実験することによって、発見できたことはすばらしいと思います。(2)は、まさにテコの原理を利用しています。惜しかったチームもありましたね。実は缶ジュースのフタを開けるグッズなんです。」「あ〜なるほど。」と生徒たちは納得したようです。テコの原理まで思い付いたチームは少し悔しそうでした。「次のグッズ(3)は生け花の時に使う剣山で、グッズ(4)は靴ずれ防止グッズでした。」

■SVの解説と自分たちの考えが同じだったチームは大喜び、はずれてしまったチームは「ふ〜ん」とあまり興味のない様子でした。「でもね、もともとはそのために作られたグッズだけれど、みんなが出してくれたチーム内の答えも正解です。これからの土曜講座では、今日のように正解のない問題にチャレンジしたり、正解のあるものについても本当かな?と疑問を持って自分たちの考えを持つことに挑戦し続けて欲しいのです。」SVの言葉は難しく、まだよく理解できていない生徒は「えっ?今の意味が分からないよ。」とLAに質問していました。


11:00 土曜講座の趣旨・流れ説明
■ ここで、ESVより土曜講座について説明がありました。「みなさん、発表ありがとうございました。これからの土曜講座ではチームを組んで、調査を行い、発表する、という作業が多くなります。」「ずっとこのチーム?」という生徒の質問に「どうだろうね。このチームかもしれないし、違うチームかもしれないね。」とLAが答えると「ずっと今日のチームだったらいいな。」と少し不安な様子でした。
■続いて今日の土曜講座を振り返りながら、自己評価シートの記入を行いました。自己評価シートとは、自分がどんな形でチームに参加をしたかを振り返ったり、自分のコミュニケーションのスタイルを知るためのものです。はじめての自己評価シートに戸惑う生徒や、分からないことがある生徒は、LAと相談しながら記入していました。
■自己評価シートを回収したら、改めてスタッフ紹介が行われました。LAをはじめ、SVやESVなどが自己紹介していきました。1時間目に生徒によるLA紹介がありましたが、生徒たちは自分のチーム発表だけで精一杯だったため、他のチームのLAについてはよく覚えていないかもしれません。LAは自分の名前と生徒たちとの関わり、チームの感想などをコメントしていきました。
■「準備の時は消極的だったけれど、前に出ると大きな声で発表することができ、とても良いチームでした。」「意見をまとめることに時間がかかりましたが、休み時間も作業を続けてがんばりました。」「元気のある活動的なチームでした。これからのチーム学習に期待しています。」とそれぞれのチームの様子についてコメント。生徒たちは自分のチーム以外のLAにも興味を持っているようで、熱心にLAのコメントに耳を傾けていました。
■スタッフ紹介が終わったら、はじめての土曜講座も残り時間あと少しになりました。「椅子を移動させた人は戻してください!きれいにして終わりにしましょう!」とSVから注意を受けます。「面倒だな〜。」と文句を言いながらも、椅子を元の位置に戻したり、ゴミを片付けている生徒もいました。そして最後は「ありがとうございました!」と気持ちよく、大きな声で挨拶をして終了です。生徒たちは、各教室へ戻っていきました。

■こうして第1回土曜講座は、無事終了することができました。生徒たちにとっては、トリガークエスチョンなど初めての体験が多く、LAや他の生徒とのコミュニケーションに戸惑いを感じた生徒も多かったと思います。しかし、LAは共栄学園の2年生に、様々なものを吸収していく力があると感じたようです。これからの土曜講座を通して、生徒たちがどのように成長していくのか、とても楽しみです。次回はディスカッションに慣れることを目的とした、土曜講座を行います。

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