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共栄学園中学校 最先端学習 第9回土曜講座 [1]

2002年12月10日
by 吉井千花

■ この第9回から第13回までの土曜講座では、生徒たちの通学路にもなっているお花茶屋商店街を素材として「都市」について考える。

■ 土曜講座が始まってから半年が経過した。これまでの講座での様々な課題を通して、生徒たちはものを見たり考えたりする新たな視点を養い、チームという集団で学習する中で自分の個性や役割に気付き始めている。

■ 今回からは新たにチームを編成し直しての学習となる。一人一人が今までのチームで学んだ経験を持ち寄って、新チームのパワーとすることができるだろうか。


9:00 金子みすゞの詩を読む
■ いつものようにクラスで出席をとった後、スーパーバイザー(SV)から1枚のプリントが配られた。詩人金子みすゞの2編の詩、「積もった雪」と「大漁」を読んで「2つの作品に共通している作者の見方・感じ方について考え、200字以内で表現してください」というのが最初の課題だ。

■ 生徒たちに自分の感性で自由に表現してもらうために、あえてこの課題の意図は何も伝えずに取り組ませる。始めは「何のためにやるの?」「詩って分かんないよ」とざわめいていた教室も、次第にペンを持つ生徒が増え、だんだんと静かになっていく。
■ ラーニングアドバイザー(LA)たちは、生徒が集中できるよう、あまり話しかけずに様子を見ている。1人の生徒がそばにいたLAをつかまえ、「ねえ、『とむらい』ってなに?」とたずねる。「この詩全体を通して読んでみて、どんな意味の言葉だと思う?」と反対にLAから聞かれて「なんだかあまり良くない意味・・・かな?」と自信がなさそうに答える。「とむらいっていうのは、お葬式のことだよ」と聞いてまた何やら書き始める。
■ 文章の量の差はあるものの、どの生徒も自分なりに感じたことを書いてくれたようだ。全員の書いたものを集め終わってから、SVからちょっとタネ明かし。「みんな、この問題はどうだったかな?実はこれは、十年以上前の東京大学の入試問題です。」「えーうそ!」「こんなの出るの?」と生徒たちはちょっと興奮気味になる。「みんなにも、東大の入試問題が解けるんだよ。もちろん入試問題はこれだけではないけど、でもただ暗記したりするだけが勉強じゃないよね。自分の感じたことを表現するという勉強も大切にして下さい。」

■ この課題では、東大の入試問題にチャレンジすることで生徒に自信をつけさせ、学習意欲を持たせるという目的の他に、もう2つの目的があった。まず、1人で集中して考えさせること。7月のツインリンクもてぎでのプログラム以降ずっとチーム学習が続き、自分の気持ちをストレートに表現できる場が少なかったこともあり、この課題で自己の内面とじっくり向き合う時間を持たせた。

■ もう1つは、前回(第8回)に生徒6人が行ったプレゼンテーションのテーマと関連して、金子みすゞの詩に共通している自然や生命に対する畏敬・優しさを読み取ってほしいというもの。前回生徒たちは「差別について」というテーマで考え、発表をしている。ここでもう一度、小さなものや弱いものに対する思いやりに気付き、自分たちのプレゼンテーションを振り返ってもらいたいという目的がある。


9:15 課題発表プレゼンテーション「お花茶屋商店街のシンボルマークを作ろう!」
葛飾シンボル■ 各教室で金子みすゞの課題を終えた生徒たちがPCルームに集まって来て、SVの課題発表プレゼンテーションが始まる。「みんな、これは何か分かるかな?」スクリーンにひとつの文字のようなものが映し出される。「え〜〜〜何?」「カ!」と思い思いの発言が飛び交う中、「知ってるよ。葛飾区のマーク!」と早速正解が出る。

■ 「そう。これはこの学校がある葛飾区のマークです。このマークは、葛飾区の頭文字の"か"と力(ちから)をデザインして、伸びゆく葛飾区をイメージしたものだそうです。このように、団体や運動を象徴するマークをシンボルマークと呼んでいます。今日はみんなで、お花茶屋商店街のシンボルマークを作ってみよう。」

■ 「シンボルマークは、一目見て分かりやすい、覚えやすい、そしてマークを見てお花茶屋商店街がどんな場所なのかイメージできるということが大切です。マークを作るためには、商店街についてよく考える必要があります。」

■ 「マークを作る時には、お花茶屋の特徴、どんな歴史があるのか、どんな人が住んでいるか、どんなイメージを持っているか、それからお花茶屋商店街が将来こうなればいいなという未来像なども考えてみて下さい。」

■ シンボルマークの例として、東京都のシンボルやウールマーク、ペコちゃんなどのイラストが映る。「こういうマークをみんな一度は見たことがあると思います。葛飾区や東京都のように、文字をイラスト化してもいいし、ウールマークのようにモノをイラストにもできます。それから、ペコちゃんのように新しいキャラクターを作るのも面白いね。チームで話し合って、個性のあるマークを作って下さい。」


9:30 新チーム発表

■ ここで、今日からの新しいチーム編成が発表になる。LAが担当のチームの生徒の名前を1人ずつ読み上げていくと、あちこちから歓声や悲鳴があがる。今回もクラスの枠を超えてチームが編成されているため、あまり話したことがない子と同じチームになって不安げな様子の生徒もいる。一緒に課題を進めながら、新チーム内で友達との関係や自分の役割をどのように築いていくのだろうか。


9:45 シンボルマークのコンセプトを話し合う
■ さっそく新チームでまとまって、お花茶屋商店街のシンボルマーク作りを始める。イラストを書く前に、どんな意味を持ったマークにしたいのかをワークシートをもとに話し合う。「マークを決めるためにはまず、お花茶屋商店街が将来どんな場所になって欲しいのかという未来像を考えてみよう。さっきの葛飾区のシンボルマークに『力強く伸びていく葛飾区』という意味が込められていたように、みんなのマークにも何かメッセージを入れてね。」

■ 配られたワークシートには、
 * お花茶屋商店街の未来像
 * お花茶屋商店街の・・・
・シンボルは?
・特徴は?
・歴史って?
・好きなところは?
・______?

といった項目がある。一番上の「お花茶屋商店街の未来像」はどのチームも必須で考えるのだが、その他の項目については自由。つまり、お花茶屋商店街の歴史と未来像を取り入れたシンボルでも良いし、商店街の特産品と未来像を結びつけても良い。商店街のどんなポイントに目をつけるかで、チームの特徴が出たシンボルマークが出来上がるはず。

■ チーム9のディスカッションでは、「お花茶屋の未来って、どんなのかな?」とLAが問い掛けると「・・・・うーん」と考え込んだまま答えが返ってこない。いきなり未来像と言われてもあまり浮かんでこないようだ。「じゃあ、10年後のお花茶屋を考えてみようよ。」と言われて「あんまり栄えてないような気がする。」「そんなに変化しなさそう。」とちょっぴり悲観的な意見を口にする生徒たち。

■ 「それなら、現実にどうなっているかじゃなくて、みんなが『こうなっていて欲しい!』と思うことを考えてみようか。」「もっとおしゃれに、綺麗になってるといいな。」と女子から意見が出たり、「京成線の特急が止まる駅になって人がいっぱい来るようになる!」と電車好きな男子から声があがる。
■ 色々と意見が出かかったが、「でもやっぱり変わらないと思う」というのが多数派。「変わらないっていうのも難しいことじゃないかな?他の場所が変わったら、お花茶屋も少しずつ変わってくると思うけど?」とLAが尋ねるが、「お花茶屋だけは時代の影響を受けないで、タイムスリップした街みたいにこのままなんだよ!」という結論に。
■ 次に「お花茶屋商店街のシンボル」について話し合う。「やっぱり共栄学園!」「ラッキー!」ラッキーというのは、生徒たちの通学路にあるタバコ屋さんの犬。人が通るたびにウィンドウから尻尾を振るかわいい犬で、生徒たちもみんなラッキーが大好きなのだ。ここは満場一致で、お花茶屋商店街のシンボルはラッキーに決定。
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