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共栄学園中学校 最先端学習 第8回土曜講座 [3]

2002年11月28日
by 吉井千花

■ 第8回の後半は生徒から男子6人がスーパーバイザー(SV)役を務め、この6人のプレゼンテーションをトリガーとしてチーム学習を行う。2年生の教室と廊下をはさんで向かい側のパソコン教室に生徒たちが集まってくる。これから何が始まるのかは他の生徒たちには伝えていない。発表をする6人だけが、緊張の面持ちで最後の打合せ。

■ 6人が決めたプレゼンテーションのテーマは「差別について」。2週間の準備期間で6人はどのような話し合いをしたのだろうか。準備段階のメモを見せてもらうと、テーマ候補として「人種差別」「教育」「家庭環境」「拉致問題」などが挙がっている。どれも最近の社会問題となっているテーマであり、メディアでも盛んに取り上げられているものばかりだ。せっかくの機会に、このような大切な問題についてみんなで真剣に考えたいという6人の姿勢が伝わってくる。


10:20 生徒からのトリガープレゼンテーション

■ スーパーバイザー(SV)から紹介があり、さっそく6人のプレゼンテーションが始まる。全員が順番にマイクを持ち、自分の担当の部分について語る。

【プレゼンテーション内容】

●差別のおきるわけ
人間は他人をまず外見で判断してしまいがちである。人間の本当の価値は中身にあるのだから、内面をよく見て判断をしなくてはいけない。また、同じ人間に対しても、見る人の考え方・見方・感じ方の違いによって差別が起こる。
●差別は本当に悪いのか
人間は平等に作られているはず。差別は良くない。
●区別と差別の違い
人にはそれぞれ外見や中身に特徴があり、その違いによって区別が生じる。ただし、その区別に上下・優劣をつけて差別をするのは良くない。
●平等に近い世界を作り出すためには
普段生活していると小さい差別は発生するが、その差別は自分達でなくすことができるものが多い。人間にはみな個性があることを認め合えば差別がなくなるのではないか。ただしそれはとても難しいことだ。だからこそ、一人一人が心がけて互いを認め合う気持ちを忘れず常に持ち続けることが大切だ。
今すぐには無理だとしても、自分たちの世代が大人になったときに平等に近い世界になっているように、次の世代に伝えていくことが大事。

■ プレゼンテーションを聞いたあとは、6人から投げかけられるテーマを基にチームごとでディスカッションを行う。「これからみんなに、『自分たちの身の回りにある差別』について考えてもらいたいと思います。普段生活している中で、色々と小さな差別が起こっていると思うんだけど、具体的にどのような差別があるのかをディスカッションして下さい。」

■発表した6人はチームディスカッションには加わらず、二人ひと組になってアドバイザーとして各チームの話し合いの様子を見て回ることになった。「疑問や質問があったら、発表した6人に聞いて下さい。発表した人たちは、みんなのディスカッションを聞いて意見を出してあげてね。」6人の問いかけに対して生徒たちはどのような答えを出してくるのだろうか。


10:40 チームディスカッション

■ 教室に戻ってチームに分かれ、さっそく「身近にある差別」について話し合う生徒たち。差別という言葉はよく聞くが、「身近な差別」というといまいちピンとこないようだ。「人種差別はどう?昔アメリカでは黒人が奴隷として使われていたりしたんだよね。」「そうだね。奴隷じゃないけど、今でも色の違いとかで差別されるんでしょ?日本人って外国で差別されるのかなあ?」人種差別というキーワードには気が付いたものの、生徒たちの実生活においてあまり現実的な問題ではないためにディスカッションが途切れがちになる。

■ LAから、「人種差別は世界中で起こっている重大な問題だけど、みんなの身の回りであまり実感として感じたことがないんじゃないかな。チームで話し合いをするんだったら、みんなが体験として感じたことのある差別について考えてみたらどう?」とアドバイスされると、みんな黙って考え始める。

■ 「僕は学校でいつも差別されてると思うな。だってこの学校って女子が強いんだもん!」と男の子が発言。「確かに元気な女の子は多いけど、それは差別なの?」とLAに問い掛けられると「だって、制服だって違うでしょ!男子はズボンで女子はスカートっていうのも差別だと思う。」「それはさっき言ってた『区別』だよ!」と女子から反対意見が挙がる。

■ ここでしばらく、一般的には男と女とどっちが損をしているのかで話が盛り上がる。「学校だけじゃなくて社会でも男女の差ってたくさんあるよね。発表のテーマは男女差別にしよう!」さっそく模造紙を持ってきてタイトルを書き込む。このチームは普段は男子3人と女子4人だが、男子の1人が欠席、もう1人が発表メンバーでチームに加わらないので、今日は男女比が1:4。たった一人の男の子にはちょっと厳しい状況だ。

■ 「学校ではあまり差別されないけど、社会人になったら絶対男のほうが有利!」と主張する女子たち。「男性のほうがたくさん仕事の選択ができるし、お給料もいいから」「結婚しても男性は仕事を続けられるけど、女性は専業主婦になる人が多い。子供ができたら仕事を辞めなくちゃいけない」「結婚するとき女性は名前が変わってしまう」など、女性に不利な点がたくさん挙がる。男の子に反対意見を促すと、「でも男性はずっと働いて家族を養わないといけないでしょ。家にいるほうがいいよ。」

■ やはりディスカッションは女性が差別されているという方向に進んでいく。「さっき男性のほうが仕事の選択の幅が広いって言ったけど、最近まで女性が圧倒的に多かった仕事もあるよ」とLAがヒントを出す。「仕事の名前に女の人を表す言葉のついた仕事って何があるかな?」しばらくじっと考えるが、答えが浮かんでこない。「ヒントは病院に関係ある仕事です。」「あっ分かった!看護婦さん!」「そうだよね。他にも、幼稚園の先生のことを何て呼ぶ?」「保母さん!そういえば男の人を保母さんって呼ぶのはおかしいね。」

■ 「最近は看護婦や保母の仕事につく男の人も増えているから、呼び方も変わってきています。どういう名前に変わったのかは宿題にするので調べてみてね。」次は男性だけに限定されている職業を考えようとしたが、残念ながらここで時間切れ。各チームでディスカッションした内容の発表にうつる。


11:15 発表
1チーム目の発表
テーマ「大人と子供の差別」
大人は子供に「早く寝なさい」などと言うけれど、夜更かしして困るのは子供。大人は夜遊びをするのにどうして子供はいけないの?大人だからやっていい、子供だからやってはいけないということが多すぎる。
犯罪を起こしても、子供の顔や名前は報道されない。未成年でも悪いことをしているのだから甘やかさないほうがいい。法律をもっと考え直すべきだ。
他にも男女差別、人種差別などたくさん差別が起こっている。差別をなくすには、心の壁を取り除くことが大切だ。
2チーム目の発表
テーマ「男女差別」
社会に出ると、男女の差別がたくさんある。女性は結婚すると専業主婦になることが多く、男性ほど働くことの自由がない。でも、女性だけが差別されているわけではなく、看護婦や保母、スチュワーデスなど女性に有利な職業もある。反対に、男性に有利なものもある。
3チーム目の発表
テーマ「色々な差別」
私たちの身の回りには男女差別・障害者差別・外見の差別などたくさんの差別がある。
男女差別:男性にはできて女性にはできないこと、またその反対もある。出来る、出来ないと決めつけないで欲しい!
障害者差別:交通機関や普段の生活が不便。道を広くしたりエレベーターを作るなどの工夫が必要。
外見・内面の差別:人を見た目で判断したり、性格が悪いなどと悪口を言うのは良くない。その人の良いところを認め、長所を見つけてあげることが大切だ。

■ 3チームそれぞれ、自分たちの身近な問題に気付くことができたようだ。最後に、問題提起をした発表メンバーT君からのコメント。「みんなが身の回りの差別について考えてくれてよかったです。差別の問題はすぐに解決できることではないので、今回の発表をきっかけにこれからこの問題について考えて行けたらいいと思います。
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