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多摩大学目黒中学校 学校説明会
特進クラスが引っぱる中高一貫コース

2002年7月3日
by 前田恭子

■ 多摩大学目黒中学校の学校説明会を拝見した。入梅して間もなく小雨の落ちる日で、田村邦彦校長先生からは来場者に感謝の言葉が掛けられる。

■ 多摩大学目黒中学高等学校では、男女共学となって初の卒業生を平成12年度に送り出し、昨年は中高一貫コースとして初めての卒業生を世に送り出した。大学の付属校として学校自体の歴史は長いが、進学校としての実績はまだ浅い。しかし世間の学力低下の懸念に負けずに、確実に力を付けている学校のひとつである。


■ 初めに中学3年の学年主任である菅野先生より、特進クラスが引っぱる形で中高一貫教育の実績が出てきている様子が語られた。

■ 多摩大目黒中では1学年に特進クラスを1クラス、一般クラスを2クラス置く、3クラス編成を採用している。特進クラスは現在中1で20名、中2では昨年の特進入試生と中2からの編入生を合わせて合計38名の生徒が在籍しており、旧課程のままの授業を受けている。この特進クラス自体も昨年度開設したばかりで今年が2年目。特進入試のみでなく、1年生終了時の学力によっても親の了解を得て特進クラスに編入することができ、これが学年全体の学力向上に役立っているそうだ。

■ 中高一貫教育と特進クラスの設置によって学習の進度を上げ、詰め込みではなく無理のないシラバスを組んでの先取り授業を行っている。進度が速くなったことで授業に置いていかれないように、特進クラスも一般クラスも同様に毎週何らかの小テストを行っており、特に数学では週6時間のうち1時間を確認テストに使用している。

■ このような徹底的な確認テストで苦手部分を常にチェックし、成績が悪い場合は指名されて補習での理解を深めることができる。あざみ野にある横浜セミナーハウスでの宿泊研修(スタディーキャンプ)もあり、合宿学習で教師と生徒が一丸となって苦手を克服するなど、理解の促進に真剣に取り組んでいる。より普遍的な実力の向上を目指すために外部各社のテストを学期ごとに用いており、私学対象のPSAT(Preliminary Scholastic Assessment Test)を採用して学力診断の材料としている。

■ 第2・4土曜日を休みとする隔週の学校週5日制で、土曜日は主にクラブ活動にあてており、中高一貫でクラブ活動ができることも魅力のひとつ。今年はワールドカップの影響と、元ヴェルディコーチの和後先生を監督に招いたことからサッカー部に人気が集まった。アニメの影響でテニス部も部員が多いそうだ。

■ 宿題の量は多いようだが、それが「普通」だと指導している。基本は国数英で各30分ずつ、プラス α の学習も入れて1日2時間程度の家庭学習が必要だとしている。宿題やテストの分量など生徒にとっては辛そうな面もあるが、学校は一貫して「楽しくないと学校ではない」という指導をしており、甘やかすことではなく辛さを教える。補習で徹底的に苦手を克服することも、「分かる」ことが「面白い」に繋がることが明らかだからだ。97〜8%を維持する出席率は、学校が楽しいという証明になっていると先生方は受け止めている。

■ 中3次にはオーストラリアへの海外研修があり、そのために通用する英語を身につけるため、中1からチームティーチングを行って、放課後講習にも英検用の講座を設けている。毎週木曜日にはイマージョン英語学習として、2時間ずっと英語だけを使った授業が行われる。「イマージョン」とは「どっぷり漬かる」「浸す」というような意味。

■ 行事に意欲的に手を挙げて参加してくれる生徒たち、学習に積極的に取り組む生徒たち、全ての面で生徒を全面に押し出す教育に力を注いでおり、先生方は常に生徒の意欲を支援している。そのために、たとえ意見の食い違いがあっても、「生徒が何を考えているか」を汲み取れるように努力しているそうだ。

■ 先取り学習などの試みも単に詰め込むのではなく、基礎基本を理解して楽しく学習を進めることを重視している。そういった努力が実って学校が楽しくなったことからか、多摩大目黒には兄弟の入学者が多く、各学年でだいだい10人前後、兄弟と一緒に通っている(または通っていた)という生徒がいる。学校の姿勢が保護者の理解を得ていることが、兄弟入学や高水準の出席率にも繋がっているのではないだろうか?


■ 学校説明が終わると、現在中2の生徒が3名登場。菅野先生のインタビューに答える形で自分たちが感じる多摩大目黒の特徴をそれぞれの言葉で語ってくれた。

Aくん(一般クラス・男子)、Bくん(特進クラス・男子)、Cさん(中2からの特進クラス・女子)

菅野先生:
多摩大目黒はどんな学校だと思いますか?まずはAくんからどうぞ。
Aくん:
ごく普通の学校だと思います。休み時間には思いっ切り遊んでいるし、授業でも分からなくなったら質問ばかりして先生を困らせています。毎日2時間の家庭学習を心がけていれば各教科の宿題を残さずやり遂げることができるし、時間が余ればその先の自分の勉強もできるので、宿題はやって当たり前だと思っています。
菅野先生:
クラスの雰囲気なども含めてCさんはどうですか?
Cさん:
私は中2から特進クラスになりましたが、特進といってもガリ勉風ではなく明るく楽しい雰囲気のクラスです。小学校では成績はイマイチだったけれど、中学に入って家庭学習を毎日2時間するように心がけているうちに授業の内容がだんだん分かるようになって、成績も上がってきました。先生に進められて2回目の受験をするような気持で一生懸命頑張ったら中2で特進に入れたので本当に嬉しかったです。
菅野先生:
Cさんはとても頑張り屋さんで面談を何度も繰り返して励ますと、見事に自分の力を発揮してくれました。ほかに学校の面白いところはどこでしょう?
Bくん:
授業を始める前に小話をしてくれる先生がいたり、当てられて思いっきり答えを間違ってしまっても「気合いがあって良い!」と誉めてくれる先生もいて、授業がとても楽しいです。
Cさん:
去年の文化祭では映画を創りました。脚本から全部生徒だけでやったのでとても大変だったのですが、すごく面白かったので今年は去年以上のものを創りたいと思っています。

菅野先生:
本当に大変だったんですけど、やりますか?
Cさん:
はいっ!やります!(先生、苦笑い)
Aくん:
僕は中1のとき数学の成績が悪くて、あざみ野でのスタディーキャンプに呼ばれてしまって朝から晩まで数学を頑張りました。先生が根気強く教えてくれたのでやっと分かるようになり、それからはキャンプには呼ばれなくなってホッとしています。
Bくん:
僕は英語のフォニックス講座を受けています。徹底的に英語をやるという印象を持っていたので、初めは「机に噛り付くような勉強」を想像していたけれど、実際に授業が始まってみると英会話重視の楽しい授業で、2時間ずっと日本語を使えないのは大変だけれどとても面白いと思いました。
菅野先生:
授業以外にはどんなことがありますか?
Cさん:
私は去年の夏休みにオーストラリアでホームステイをしました。先方の家族がとても協力的で、食事のときに日本語で「いただきます」と言ってくれたのが本当に嬉しかったです。みんなが日本のことを勉強してくれたのだから私も頑張ろうという気持が強くなり、いい経験になりました。
Aくん:
僕はサッカー部に所属していますが、最初は体力がなくて夏場の厳しい練習に付いていけませんでした。和後先生の指導で4.5km走を毎日重ねているうちに体力が上がっていって、ベルディのクラブチームとも試合ができたことが嬉しかったです。

■ 紹介を受けた和後昭司先生は、みんなの力が上がってきたので今年は都大会にも行けるのではないかとの力強いコメントをした。このように生徒たちの生きた言葉で先生とのやり取りを見せてくれると、日頃の信頼関係が見えてくるようだ。続いては進路指導部長の荒尾先生から、進路指導改革に関する説明が行われた。

■ 学校の役割は「生徒ひとりひとりが自分の目指す道を進むための支援をすること」と言い切る荒尾先生。そのためには生徒がより多くの大学から進路を選べるような学力を付ける必要があるとし、中高一貫共学校という看板を掲げた初めての卒業生に対し、教師は夏休みも休まず夜8時9時まで生徒に付きっきりで教えていたそうだ。その結果、今まで実績になかった大学への進学が次々と実現し、自校のデータでも4年生大学への進学が飛躍的に増加している。

■ 手づくりの進学教育を施してきた成果が出たことは喜ばしいが、在校生には、「先輩達のように夜遅くまで勉強しないといけなくなる前に、もっと勉強しておこう!」と呼びかけている。早い段階からのスパートがかけられるように、中高一貫コースの中で進学教育の基礎を築き、そのためのシラバスや授業展開を図りながら、より着実なステップを踏むことに力を注いでいる。

■ 明治大のように数学のできる学生を多く取りたいとする大学もある。教科の得意不得意で理系文系の進路を選択する傾向もあるのだが、多摩大目黒では得意科目を基準に行ける所を探すのではなく、「将来何をやりたいのか?」をまず挙げて、そのためにどんな学習を進めるべきか計画することを前提としている。

■ 個々の学力向上と共に放課後にキャリアガイダンスなどのセミナーを開いて、生徒たちの社会を見る眼を養っているが、荒尾先生は今のところ将来の目標設定が甘いと感じているそうだ。目標を持った人間は強いので、「大学の先生に直接聞いてみては?」と生徒にアドバイスするなど、知りたい事柄へ自らコミュニケーションを図り、「自分の将来を考える力」を養って自己実現を果たせるよう指導している。

■ 最近は進路ニーズも非常に広くなっており生徒の相談内容も様々。進路相談では生徒から予約を取って相談を受けるほど、常に相談窓口が一杯の状態だそうだ。チューター制を導入したことで、担任や進路指導以外にも相談できる先生が生徒に付き、個別の対応ができるようになったことも大きな改革となっている。


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