■ 共栄中学、最先端学習の第2回目授業が始まった。各教室で出欠を取り、ラーニングアドバイザー(LA)から課題のプリントが配布されると、席に座ってじっくりとプリントを読み始める生徒たち。そのうちに「ね、結局何やったらいいの?」「類推って何?」などと問題に関する声が活発に出始めた。
■ 今回の課題はふたつ。ひとつは課題の論説文を読んで、この文に合うタイトルを付けること。もうひとつは、文中の空きブロックに前後の文脈を生かしたまま100〜200字で自分なりの文章を考え、挿入することである。ひとりひとりが考えて答えを持ち寄り、クラスでひとつの答えに再編集という流れを確認して学習が始まる。
■ 課題の文を簡潔に要約すると、ビジネスの成功のカギとして五感を取り上げ、感性を使った産業の市場規模試算や、成長企業が香りなど五感に訴える広告戦略を展開していること、機能よりも感覚を重視したデザインを採用する傾向や、映像と連動して香りを出す五感通信装置の実験、その技術の応用案などを紹介して、従来の商品広告戦略ではことばと映像によって消費者に訴えていたことに立ち返った後、逆説的に従来と『体感マーケティング』の違いに導いて、この理論の提唱者が消費者について端的に語った文でまとめたもので、プリント2枚に渡る難解な長文である。課題として与えられた空欄には、逆説的に体感マーケティングと従来との違いを述べるような流れになっている。
(原文:「五感生活術 眠った『私』を呼び覚ます」山下柚実著 文藝春秋 690円)
■ しばらくすると文中の語句について「五感って何?」と生徒から声があがり、LAはその質問をみんなに広めた。「みんな五感って分かるかな?」すると別の生徒が「聞く、見るとかそういうヤツ。」と答える。「他には?五感だから全部で5つあるよね?」とLA。鼻で香りを嗅ぐという動作は文中にもあるためすぐに出てきたが後が続かない。「目で見るでしょ?耳で聞く、鼻で嗅ぐ。それから?」とたずねるLA。
■ 「口!」と答える生徒に「そうそう、口はどうする?」とLA。「喋る!」「喋る?そうだね、他に口では?」「???」「食べるんだよ、食べる!」「そうだね食べる、食べるとき何を感じるのかなぁ?」「美味い!」「つまり?」と少しずつ囲い込むと「味?味覚だ!」と生徒から答えが出てきた。味覚という言葉を拾い上げて『覚』という言葉で括ってみると『味覚、視覚、聴覚、嗅覚』と繋がり、触って感じる『触覚』も見つけ出すことができた。これで5つ。この『五感』をキーワードに課題文を読み返す。
■ 考える時間をしばらく取った後、LAが声を掛ける。「文章もちょっとは書けたかな?書けた人?」ところが手をあげる生徒がいない。見回してみると、たくさん書き込んでる生徒もいるのだが、生徒たちにしてみれば答えとなる文章を書き込んではみたものの、なかなか自分の意見に自信が持てない様子である。
|