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■ 「これ本当に組み立てるんですか?」かなり分解が進んだところで生徒が尋ねる。
「そうだなぁ。」
ふと先生も言いよどんだ。分解作業で授業の半分を楽しく過ごしたが、中学生頃の特に男子は物を壊すことが大得意なのだ。組み立て作業ではペースが落ちると判断し、「よしそれじゃ時間まで徹底的に分解するぞ!」
先生の掛け声で、分解の勢いにさらに拍車が掛かった。
■ 先生と生徒の交互のやり取り。
「インテル入ってる?」「どれ?これ?あ、そうだ。入ってた。」
「PCの部品に金が使われてるのは知っているかな?」「え!どこ?」
「さあて、どこでしょう?」「分かったこれだ!」
「当たり、コレは純度の高い金でできています。今は採掘場で金を発掘するよりも、PCを回収した方が、効率が良いかもしれないよね。今、世界中で流通している金って全部集めても学校のプールぐらいの体積しかないそうなんだ。それをみんなで取り合いしているんだね。」先生がPCから脱線しているうちに、マザーボードもすっかり外れて中身は空っぽになってしまった。
■ マザーボード、CPU、メモリ、RAM、FDドライブ、CD-ROMドライブ、ビデオカード、電源装置、ファン。分解作業を終えた全員が集まると、改めて部品の機能の説明や、違う視点からの問いかけがされる。
「この中で一番高い部品って何だろうね?」「ペンティアムですか?」
「うん、いいね。けれど発売当初からずいぶん値段が下がっちゃったんだよ。最初は高かったのが年々グレードアップして今ではかなりの量が市場に出回っている。価格は普及率に比例して・・・?」「・・・下がってる?」
「そうだね。さっき金の話になったけど、今、金はいくらぐらい?」
不況や戦争で社会不安が高まった時には金の相場が高くなることなど、様々な関連情報が先生、生徒の双方から次々と出てくる。部品の名前を良く知っている生徒もいれば、金相場に詳しい生徒もいる。
■ 「これだけ部品を並べて見てみると何か気付かないかな?」
柳沢先生の問いかけに生徒は「???」と首をかしげる。
「このPCはどこの製品だろう?」「NECですよ。」「それぞれの部品はどうかな?」
よくよく表示を見直してみると外した様々な部品には、NECではない他社のロゴばかりが付いている。
「大きく言えば、これが日本のメーカーの仕事なんだ。資源や発明の少ない日本では、将来この応用製品づくりが君たちの仕事になる可能性が非常に高いんだ。」
■ 同じ仕事も人件費の安い他国で仕上げればコストが削減できること、車の部品もかつては系列会社製だったものが、今は専門的に製造して各社に供給するようになったことなどが説明され、柳沢先生から日本企業の「ブランド」についての概念が語られる。
「同程度の性能をうたっているなら知らないメーカーの商品よりも、少々値が高くてもSONYなどの信頼できるブランドの商品を買うよね?その方が長く使えるはずだと考えられるし、例えば小説の本を買うにしても前に面白かった著者のものなら安心して買うだろう?」という説明に生徒も理解を示す。
■ 既成の知識が格安で各所に散らばっており、それに新しいアイディアや組み合わせを応用して、ブランドの名を付けて売る。柳沢先生はこの「ブランドを売る」ということを「雲をつかむような仕事」だと言う。うまくいけばペンティアムのようにかつて高価だった技術も、大量に安く普及させることもできる。
「こういう仕事をする上で君たちに求められることは一体何だろう?」
「???」
「分からないかぁ。それをこれからの学習で身に付けていくんだよ。」
メールで先生に自己紹介することを今週の宿題に、講座が終了した。
■この授業は97年に「はじめてのコンピュータ」という講座名で、初心者や初級者のコンピュータ・リテラシーの向上を目指してスタートした。98年より現在の講座名「Webページを作る」となり、ThinkQuest@JAPANというコンテストを目標にインターネットの世界でのルールやマナーを学び、教材として利用価値のあるWebページ作りを行っている。
■今年度は受講する生徒全員が家庭で自分用のメールアドレスを持ち、PCにも慣れ親しんで、Webページ学習を進めるにはとても恵まれた環境となった。次週はまだPC室が使えないが、まずは学習テーマを設定することからWebページ学習が始まる。今後Webページだけではなく、国際的なビデオ学習などにも取り組んで臨機応変に学習を組み立てていくそうだ。
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