■ 入学式を迎える新入生、在校生や教師にもいろいろな思いがあるだろう。普通科では26回、国際語科では15回を数える横浜隼人高校の入学式会場に、新入生や在校生、保護者が入場し、式開始10分前になると先生が声を掛けた。
■ 「この10分間を利用して、在校生は自分の入学時を思い起こして欲しい。」この横浜隼人高校で新しい生活を始めるにあたってみんなどれほど緊張したことだろう、一体どんな思いで入学してきたのだったかを振り返る。新入生に対しては、「自分ひとりの力で今ここにいるのではないことを考えて欲しい。」と告げ、学習も生活も家庭のサポートなしにはできなかったことを示唆し、10時から始まる式典に臨む。
■ 新入生は緊張の様子でこの言葉を受け、背筋を伸ばして目を伏せる姿勢も見られる。この会場の静けさに支えられて間もなく壇上に来賓が入場し、予定の10時を2分前にして入学式が始まると、鈴木校長先生は新入生に心よりの歓迎を表して入学を祝い、未来について語った。
■ 「みなさん、これからの21世紀は一体どうなっていくでしょう?広く地球の未来を見据えると、環境問題、国際交流の必要性、科学と情報の目覚しい進歩と、たくさんの課題があり、どれをとってもたいへん難しい問題が山積しています。これからの将来みなさんが漕ぎ出す世の中とは、個人の生き方や瞬時の判断力が問われるとても難しい時代なのです。」
■ 校長先生はこの高校3年間で、様々な問題に対して広い視野を持って勇敢に立ち向かうための健康な心身を養い、自発性を身につけることを新入生に促す。「みなさんが高校生活に取り組むにあたって、勉強を『させられる』と思うことは大変なマイナス要因です。進んでやる楽しさを発見して、苦しいことに直面したときに自分自身の努力で道を切り開く強さを身に付けて欲しいと思います。」
■ 「長年私が本校に関わって思うことは、みんな入学時に、人間として必要なことを万事備えているということです。今まで多くの先輩が、その力を自分の専門やスポーツ、勉学など埋もれた才能にも結び付けて大きく開花させています。どうぞみなさんも自分にもできるんだと信じ、個性を磨いて頑張ってください。己の意志で選んだこの横浜隼人高校の生活に、どうぞみんな積極的に取り組んでください。」
■ 続けて保護者に向け、この学校を選択したことに対して感謝の意を表す。「学校と家庭が車輪の両輪のように協力して歩み寄らなければ、教育というものは決してうまくいきません。学校は生徒ひとりひとりが校訓である『必要で信頼される人となる。』ために必要なことを常に努力していきますので、お互いに協力していきましょう。」
■ 副理事長、同窓会長からも祝辞が贈られて、続く新入生代表からの誓いの言葉には「活躍する場を手に入れることへの期待と、自立し責任を持つことへの不安」という表現が入ると、応えて在校生からは不安を拭い去るように「一度しかない高校生活に悔いの残らぬよう」と激励が贈られ、国際語科の在校生からはジェスチャーを交えての英語のスピーチ。後から日本語の言葉も綴られるが、流れるような英語の発音に新入生からは息を呑むような感嘆の様子が感じられた。
■ ブラスバンド部が演奏しボイストレーニング部が合唱して校歌が紹介されると入学式は終了。クラス担任の先生が紹介され、新入生は教室に戻ってLHR(ロングホームルーム)となり、保護者にはこのままの席でオリエンテーションが開かれる。
■ オリエン前に、歓迎の言葉を贈った2人の在校生が保護者に紹介された。先生は2人の進路にも簡単に触れて保護者に実感を持ってもらうと、英語のスピーチの内容をたずねた。スピーチを贈った国際語科の女子生徒が「これからいろいろな可能性があるので頑張ってくださいという内容です。」と簡潔に答えると、保護者からは自然に拍手が寄せられた。
■ 生徒指導主任の先生からは、入学前のオリエンへの保護者の助力と、それによって無事故で春休みを乗り切れたことへの多大な感謝が表される。しかしさらに5月の連休までは生徒が大変疲労困憊するために引き続き保護者のサポートが必要で、家族の協力なしにはこの時期を乗り切れないことを伝えると、睡眠時間や帰宅時間の把握、食生活への注意を確認。
■ 中でも帰宅時間については、部活動などへの参加や離れ離れになった旧友との交友、行動範囲が広くなったために繁華街へ立ち入る可能性も含めて、日頃の家庭でのコミュニケーションが必要不可欠だということを説き、保護者と学校間の信頼を深めていくためにも、把握できないことや分からないことは学校側に何でもたずねてもらえるよう丁重に願い出た。
■ 教務主任の先生からは、年間に行われるテストの種類や頻度が説明される。家庭での「気持ち良く学習ができる環境づくり」が大切だと断言し、年間や月間の行事予定表に目を通して試験前には家族が協力することを提案。保護者の中には先生の説明を聞きながらメモを取る姿が多い。
■ 学年主任の先生からは、担当する保健体育の最初の授業で、生徒に生まれたときの体重をたずねるという話が紹介された。先日TVで放映された皇室の会見に見られるように、親が子を深く思う気持ちに触れて、自分がこの世に生まれた喜びを感じて欲しいという願いがある。
■ 何人かの生徒は自分が生まれたとき何グラムだったのか知らなかったり、照れて応えてくれないこともあるそうだが、皇太子殿下の言葉を借りれば「地球上に人類が誕生してからこのかた、耐えることもなく受け継がれているこの命の営みの流れの中に」自分の生があることを漠然とかもしれないが感じるきっかけになるだろう。
■ 式前にも先生方は、このセレブレーションが一体どんな基盤の上に成り立っているのかを生徒に考えさせる時間を用意した。授業の中でも度々この「実感」を呼びかけるような試みがなされていることは今後もレポートしていく。
■ 最後に生活上の注意を何点か確認する。「子どもたちの発言にはまだ発展途上の知識で固められ自己中心的であることが多いのですが、多感な時期でもありますから真っ向からの否定はせずに、まずは言っていることに耳を傾けることをお願いします。」生活に密着した様々な注意事項や、在校生の紹介やスピーチが、保護者にとっても我が子のこれからを実感するきっかけになったのではないだろうか。
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