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女子聖学院中学校 第55回卒業式・終業式

2002年3月26日
by 前田恭子

■ 高校の卒業式でも歌われた「高き山に」が、広いチャペルにこだまする。20名ほどの在校生からなる聖歌隊が、白い衣を身にまとい、美しいハーモニーで歌い上げる。

■ 総勢205名の卒業生に、ひとりひとり「おめでとう」と声を掛けながら卒業証書を授与する小倉校長先生。卒業証書授与が終わると、3年間の勤勉さの証である皆勤賞と精勤賞を受賞する生徒の名前が呼ばれて賞状が授与される。

■ 皆勤賞は、欠席・遅刻・早退がともにゼロの生徒に、精勤賞は欠席ゼロで、遅刻・早退がともに3回以内という厳しい基準をクリアした生徒に贈られる賞であり、皆勤8名、精勤11名と、その受賞者の多さには感心させられる。

■ 校長先生は「これはひとえにご家庭のご支援の賜物」と、今呼ばれて賞を受け取った生徒の保護者の方々にもその場でのご起立をお願いし、盛大な拍手を贈った。


そこで天国は、10人のおとめがそれぞれあかりを手にして、花婿を迎えに出て行くのに似ている。その中の5人は思慮が浅く、5人は思慮深い者であった。思慮の浅い者太刀は、明かりは持っていたが、油を用意していなかった。しかし、思慮深い者たちは、自分たちのあかりと一緒に、入れたものの中に油を用意していた。

マタイによる福音書 第25章1節〜4節


■ 卒業式の冒頭では聖書が朗読された。この後、花婿はなかなか現れず、10人のおとめたちは待ちくたびれて眠ってしまう。ずいぶん時間が経ってやっと花婿が現れたときには、灯し火の皿に入っていた油は底をつき、5人のおとめは明かりを灯して花婿を迎えることが出来なかった。油を用意していた5人のおとめは、油を継ぎ足しながら待ったために、無事、花婿を明かりの元で迎えることができたのだ。

■ 校長先生は「油断は禁物です。」と教える。華道、茶道に形があるように、この場合は花婿の迎え方にも形があった。迎えの明かりを絶やすことを恐れ、油を用意しておく必要があったのだ。校長先生はご自身の子育ての体験にも触れた。幼な子が暗闇を怖がる気持ち、我が子の絶望的な泣き声が耳に焼き付き、幼な子の「絶望」について考えさせられたこと。「明かりはなくてはならないものです。闇の中では人間は人間として生きていくことができません。」

■ 「みなさん、この明かりというのは『信仰』のことなのです。信仰を守り続けた花嫁は、訪れた花婿を迎え入れることができました。これは大事なことです。心変わりなく、神に対して誠実であり続けることに努めてください。」

■ 信仰とは、ギリシャ語で「ピステス」と言い、「真実」や「誠実」を意味する。またヘブル語では「エムナー」で、真実に根ざした確かなものを意味する。心変わりしない、ふらつかない、形を崩さない、ということは社会においてもなんと大切なことだろう。と校長先生は語る。

■ 「昨日のあなたと今日のあなたが一貫しているからこそ信用されるのです。」勤勉であること、約束を守ること、昨日言った時間に遅れないことなどは、相手によって態度を変えない、「神様に対して正直であること」に通じるのだと校長先生は解いた。

■ 卒業式の内容が終わり、全校の終業式へと続く。

■ 1年生では72名が皆勤賞に輝いた。自分の名前を呼ばれることを予期していなかったのか、とっさに「はい」と返事ができずにおずおずと立ち上がる生徒もあり、校長先生から「返事は大きくはっきり」と注意される場面もあったが、本当にたくさんの生徒たちが毎日の生活を頑張って過している。

■ 成績優秀者も学年ごとに名前を呼ばれ、盛大な拍手が贈られる。「今年呼ばれなかった皆さんも来年こそはと奮起してください。」と先生から声が掛かった。

■ 2つの式が終了すると、卒業生と来賓、在校生が順に退場し、広いチャペルには保護者と校長・副校長先生が残った。

■ 小中学校を終えて、次は高校に進んでいく、この節目は大切な教育の折り返しであり、生徒には達成感を持たせてあげることが重要だと校長先生は言った。「『卒業式』とは教育の仕掛けなのです。今日ご家庭に戻ったら大いにお祝いを言って、たいしたものだと誉めてあげてください。」本人はあまり実感がなく、なんとなく高校に上がるという感覚でいるかもしれない。けれども3年間という限られた中学生活の始めと終わりを意識して欲しい、と校長先生。

■ 中学2、3年生は一番難しい時期で、保護者も家庭で苦労を重ねたはず、とねぎらった後、「でも、その難しい状態があと1年ぐらい続きます。」と親への注意を促し、思わずお母さん方から笑い声がもれる。

■ 「でもそれはいつまでも続くものではなく、皆さんのご苦労に支えられて必ず光が見えてくるのです。この時期を乗り越えて高校3年生ぐらいになると、立派な大人の感覚を持つようになります。今は望みを持って耐えてください。そして、励まし祝福してください。」と家族が揃って祝福することを勧め、ずっと大事にされてきた子どもたちには、叱るよりも誉めてあげるほうが成功率が高いのだと諭した。

■ 「いつのまにかPTAの会合のようになってしまいましたが」と、校長先生。誘惑の多い中学卒業という時期に充分な喚起を促し、あらためて3年間の保護者の労苦と信頼とに感謝を捧げ、今日の卒業式と終業式はすべて終了した。

■ 小学校、高校と、順に卒業式を取材させていただき、最後に中学の卒業式をレポートしたが、校長先生がPTAの会合のようだと言われた通り、厳しく心の緩みを注意する場面やお話が多かった。中学から高校に上がるこの大事な時期に、油断せず心の張りを持ち続けて欲しいとの願いは切実である。


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