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女子聖学院 第95回
女子聖学院高等学校 第54回
卒業式[1]

2002年3月22日
by 前田恭子

■2002年3月に女子聖学院のチャペルにて行われた同校の卒業式は、1908年に設立された女子聖学院 普通部にとっては95回目、1948年設立の女子聖学院 高等部には54回目にあたり、今年度は総勢166名の生徒を送り出す。毎月の礼拝や、日常でも多くの聖書の言葉が語られているこの聖学院で、卒業式にあたってさらに多くの感謝の言葉と祈りが綴られ、記念すべき出発の日となった。


イエスは答えて言われた、「『人はパンだけで生きるものではなく、神の口から出る一つ一つの言葉で生きるものである』と書いてある」。

マタイによる福音書 第4章4節

あなたがたは、久しい以前からすでに教師となっているはずなのに、もう一度神の言の初歩を、人から手ほどきしてもらわねばならない始末である。あなたがたは堅い食物ではなく、乳を必要としている。すべて乳を飲んでいる者は、幼な子なのだから、義の言葉を味わうことができない。しかし、堅い食物は、善悪を見わける感覚を実際に働かせて訓練された成人のとるべきものである。

ヘブル人への手紙 第5章12〜14節


■聖書朗読後、祈祷では今日の良き日と、今日まで見守って下さった父なる神様への感謝を捧げた。「今日の日は祝いの日であると共に別離の日。友や師や、子どもであった自分との別れであり、同時に自立への始まりである。見えるものに惑わされず見えない真実に目を向け、愛されることを求めるのではなく愛することができる、自立した女性への始まり。」と、生徒たちの前途を祝し、別れの涙を喜びの涙に変えて祈る。

■卒業生たちは最後の授業で、後輩に贈る言葉を残し、その中には「礼拝を大事にして」というものが多くあったそうだ。校長先生は式辞にのせて卒業生へ問い掛ける。「礼拝において一体何が起こったのでしょうか?」

■校長先生のお言葉では、聖学院で語られた聖書の言葉を、入学後に聞いてすぐに分かったという人はいなくても、聖学院の多くの先生の口を借りて感謝の祈りを常に聴き続けることで、少しずつ分かるようになってきたはず。そしてあるとき導きによって、瞬時に深く分かるときが来るのだという。

■「祈りや感謝の言葉を聴き続けることで、言葉によって心が目覚め、自分の心に問うことを知る。それは『思想を受けとめる』ということなのです。」この思想を受けとめるということは、『味覚を覚える』のと同じ意味で、堅いものを噛み締めて味わうこと。

■今、食の大切さが見直されているが、今の若者は大事にされて軟らかい物ばかりを与えられた結果アゴが退化してしまっている。シジュウカラのヒナ鳥は、自分の頭よりも大きく口を開けて親から餌を受け取る。カイコは夜中にバリバリと猛烈な音を立てて堅い桑の葉を食べ続ける。みんなは聖学院の生活で、このようにバリバリと音を立てて堅いものを食べてきたのだ、と校長先生は解く。

■「この女子聖学院で身に付けた、堅いものを食べ続けることと、その『味覚』を忘れないで欲しい。そして、みなさんが身に付けた味覚をもとに、これからの人生の荒波を乗り越えていって欲しいと思います。」

■かわって理事長先生は、ソルトレイク冬季五輪で5位入賞を遂げたフィギュアスケートの村主章枝選手になぞらえて『形』の話を始めた。

■理事長先生は、オリンピックの選考会を兼ねた昨年12月の日本選手権をTVで観たとき、シューベルトのアヴェ・マリアに合わせて可憐な演技を見せた村主選手に感動し、この曲が持つ宗教的な深さとフィギュアスケートの演技の美しさとの調和について深く考えさせられたそうだ。

■この曲は、昨年の同時多発テロに関連した追悼式典など各国で演奏された、宗教的にも意味深い曲である。日本選手権のショートプログラムにこの曲を選んだ村主選手は転倒してしまったが、フリースタイルで巻き返し見事にオリンピックへの切符を手にして、そのオリンピックでは5位入賞という偉業を成し遂げた。

■「フィギュア」とはfigure、形の意であり、ジャンプ・スピン・ステップなど、技の形のことを指している。技にはそれぞれ決まった形の美しさがあり、その形が崩れると評価が下がってしまう。ショートプログラムでは2分40秒の演技の中に8つの技を展開して形の美しさや表現力の高さを競うのである。

■「『氷上を滑る』という身体的自由を制限された状態で、決まった『形』を『自由』に組み合わせ、規定の時間内で表現することの難しさは計り知れません。けれども、もしこの『形』の規定がなかったらどうでしょう?」と理事長先生は問い掛ける。「すべてが自由になれば『形』が崩れてしまいます。『自由でいて形を崩さない』というのは21世紀の人間の課題でもあるのです。」と卒業生にヒントを投げかけ、それぞれの人生においても「自由」とは?本当の美しさとは何かを考え、自分自身の「形」を表現しながら生きて欲しいと、メッセージを綴った。

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