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女子聖学院の行事と父母の一体感

2002年3月13日
by 前田恭子

■ 女子聖学院創立100周年記念事業としてギターリサイタルが開かれた。記念のチャリティー・コンサートということで同校卒業生の村冶佳織さんが出演する。在校生や卒業生と見られる若者も訪れていたが父母の参加がたいへん多く、見る間に満席となり臨時席も用意された。

■ 日本の音楽校にはギター科がないため普通科の女子聖学院で学んだ村治さんは、本人たっての希望で通常の課題を欠席もなく修了し1997年に卒業した。在学中から数々のコンクールで喝采を浴びており、卒業後はスペイン色を増して更にギターの修練に取り組んでいる。

■ チャペルのステージに現れた村冶さんの堂々たる姿が拍手で迎えられると、"バロックから近代への『音楽の流れ』"と題したプログラムが、ヘンデルのソナタから始まった。高校3年生の時にリリースした第3弾アルバム「シンフォニア」に収録されていた曲で、村冶さんは「前より上手くなった表現と、今はできなくなった表現がある」と語った。

■ バッハ、ソルと続き、一曲弾き終わるごとにギターを手に持ち立ち上がって会釈をすると、赤いセーターに裾の長い黒のパンツスーツ姿がひときわ大きく舞台に生える。ソルの「ラルゴとメヌエット」は中学の頃から好きな曲。「在学中はみんなと同じようにに授業を受けました。今は音楽仲間との交流が多いのですが、旧友に逢うと大学のことだったり会社のことだったりと環境は違っていても共感できる同世代の悩みが聞けて嬉しく感じます。先生方の協力もあり変わらず接してくださったことに感謝しています。」

■ 続いてデ・ラ・マーサの暁の鐘。リサイタルは終始マイクを通さずにチャペルの反響を利用した演奏で、夜明け前から段々明るくなっていくトレモロの振動に同調して、客席も深く息を吸い込んでいくように感じられた。ファリヤの粉屋の踊りでは、故意に狂わせた調弦と楽器を叩くことで情熱的な踊りを表現する。力強い演奏に盛大な拍手が贈られ、ここで休憩を挟む。

■ 後半の演奏を前に小倉校長先生のご挨拶が入る。過去15年間の実行委員や歴代事業部員の方々にご起立をお願いし、みんなで拍手を贈って謝意を表した。続けて感謝のスピーチを重ねる校長先生だが、村冶さんがスタンバイ済みで、「そうですか、時間ですか」とステージを下りると、客席から笑いと拍手がこぼれた。

■ 後半は衣装も変わって、黒いシースルーのブラウスに真っ赤なロングスカート。"スペインの心『ロドリーゴの世界』"と題した演奏を展開する。「丘を下りつつ」、から始まり、羊飼いたちは行ってしまう、サンティアゴへの道にて、小セビジャーナからなる「3つの小品」、大背戸亜紀子さんのピアノを伴っての「アランフェス協奏曲」が演奏された。生前に一度逢ったというマエストロへの敬愛に溢れる演奏で、聖学院のチャペルという場にも相応しく思える。盛大な拍手に応えて、アンコールにはマルコム・アーノルドのセレナードが演奏され、リサイタルが終了した。

■ 感動に浸りながら会場を一歩出ると、当日販売されたCDを手に持った多くの人々が既にサイン会の列を作っている。一息ついて登場した村冶さんは、長蛇の列のひとりひとりからCDを受け取ってサインをし、記念撮影にも笑顔で応えていた。

■ 「この学校で学ぶだけでも大変なことが多いだろうに、そのうえギターまで修練していたのだからたいしたものだと思う」と在校生のお父さんが言っていた。昨秋にもオルガンコンサートを観に来て、一昨年の村冶さんのリサイタルにも来たそうだ。

■ 実際に、生徒の大変さもさることながら父母の教育への取り組みにも大変な苦労があることだろう。小倉校長先生は、子供と家庭と学校がそれぞれ協力し合ってこそ互いに良い影響ができると言う。このギターリサイタルの会場でも終始「客席係」「父母会」などの名札を付けてチケットを受け取ったりパンフレットを渡したりする母親、観客を空席に案内する腕章を付けて広報カメラマンを務める父親の姿が見られ、みんなでスムーズに運営している姿にPTAの伝統的な団結を感じる。

■ リサイタルより1週間ほど前には、聖学院小PTA実行委員会の会議に同席させて頂き、任期を終えるPTA会長と新任の会長や各部のみなさんの感想を伺う機会に恵まれた。そこでも聖小PTA実行委員会の方々の輪に、僅かながら触れることができた。

■ 「2年前に会長に就任したときは、聖学院小のPTA会長という大きな看板を背負うことにとても緊張してしまい、最初の挨拶を何と言ったのか全く覚えていません」と語る現会長。前任者から推薦されたり、先生方から声が掛けられたりとの経緯の中、現在実行委員会をされている父母の中には、フルタイムのお仕事を続けながら部長を引き受けた方、兄弟を通じて合計8年間一度も休まずに部会に出席されている方もいる。

■ 年々変わっていく教育事情に対して挑戦し、PTAの協力のもと革命的な活動ができたこと、思いが強すぎて空回りしてしまい周りからブレーキを掛けてもらったことなどを各部の部長さんが順に語る。結婚後今まで家庭から出たことのなかったお母さんや、PTAの会計報告のために初めてワープロ文書を作ったという方もいて様々な苦労もあったようだが、口々に、やってよかった、素敵な方がたくさん居て刺激になった、教育に参加することの大切さを実感した、などの感想が溢れる。

■ 小倉校長先生はここでも、教師と父母は子供たちの成長を願って共に戦う戦友であり、教育とは誇りを持って取り組むべき次世代への責任であると語り、今期の実行委員会の方々とも強い連帯で結ばれたことに心の底からの感謝を表した。出会えたこと、共に分かち合えたこと、常に努力し続けてこられたことに重ねて感謝を表す。お互いの健闘を称える拍手はなかなか鳴り止まない。


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