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横浜隼人高校
琵琶鑑賞会、聞く姿勢への取り組み

2002年3月13日
by 前田恭子

■ 横浜隼人高校2年生の芸術鑑賞を拝見した。筑前琵琶を弾く上原まり氏は、旭会総師範二世柴田旭堂の後継者、柴田旭艶という名を持つ、かつての宝塚の大スターである。

■ 広い体育館にマイクを通しての琵琶演奏と語り。上原氏のオリジナル曲も含め、「祇園精舎」「平家栄華」「南都炎上」「入道死去」「壇ノ浦」「古刹幻想」と唄もの弦ものを披露。曲の解説や平家物語の登場人物に関するエピソード、琵琶のルーツなどの講話を織り交ぜて分かりやすく紹介する。


■ 上原氏の地を這うような低い唄声と、高く響く明るい話し声とを、一息も逃すまいというように姿勢を正してじっと舞台を見据える生徒。この日は4日間続いた試験の最終日で緊張がほぐれてしまった生徒もおり、先生方が注意を促す場面も所々見受けられた。

■ だが琵琶の演奏は、ただ淡々と物悲しく響くのではなく、細く小さく爪弾いたり津軽三味線のように「ジャンジャラ」と大きく鳴らす、早く遅くの抑揚の渦である。次第に生徒たちが引き込まれ会場は静まり返る。

■ 目を瞑って細かく爪弾いていると思えばいきなり「バチン」と大きく撥を当て眼を見開いて訴える。この気迫。じっと見ている者にはしっかりと届き、頭を垂れて俯いていた生徒も時折顔を上げて演奏をじっと見つめる。演奏が終わり拍手が鳴り始めるとすぐに切り替えて講話が始まるので、とたんに大きな拍手がやむ。

■ 平家物語に登場する様々な人物の生き様を順に語りながら、「自分の運命に気付いた瞬間に、その重さから逃れることのできなくなった平清盛の哀れな生涯から、人生の悲哀を感じて、自分の運命に立ち向かう勇気を見出して欲しい。」と生徒たちへのメッセージが綴られた。


■ 最後に、初めて演奏するという「もののけ姫」を弦のみで奏でる。琵琶の表現の多様さに圧倒されて背筋を伸ばす生徒たち。


■ 演奏後は、「宝塚をやめて琵琶を始めたとき、源氏と平氏への見方は変わりましたか?」という生徒からの問いに上原氏は「以前は源氏の方が好きだったけれど、平家物語をやるようになって平家の方がずっと人間的に優しいのだと思って、平家の味方になりました」と答え、宝塚時代のエピソードも交えてマリーアントワネット役の名台詞を披露すると、最前席に陣取った保護者からも盛大な拍手が溢れた。去年の保護者会に特別な繋がりがあってこの琵琶鑑賞会が実現したとのことで、保護者のみなさんにもご大変なご苦労があったようだ。


■ 講師を盛大な拍手で見送った後、先生方は生活態度にメリハリを付けることを説いた。生徒たちはそれに応えて背筋を正し顔を上げる。相手の気持ちになって聞く姿勢を持って欲しいと先生方は望んでいる。

■ その日、別に開かれていた1年生のカナダ研修結団式でも、あらためて団長となる先生の口から言葉を変えて先ほどと同じ内容が繰り返された。「ちゃんと聞いているかな?気を緩めずに、せっかくの機会なのだからまずは何を学ぼうという目的意識を持ってください。そして疑問や興味を常にぶつける努力をして欲しい。」

■ とにかく気が付きさえすればスポンジのように吸収力のある時期だ。「何かのチャンスを見付けて常に学び取って欲しい」という先生方の願いは強い。



上原まり(うえはら・まり)本名・柴田洋子。1947年(昭22)5月23日生まれ。兵庫県神戸市出身。68年に「マイ・アイドル」で宝塚初舞台。花組の娘役トップとして「ベルサイユのばら」のマリー・アントワネットの名演などで人気を博した。1981年の退団後は琵琶奏者として世界でも活躍、現在は生涯学習講座などの講演も行っている。


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