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六甲学院レポート[5] 六甲学院のエピソード―数々の価値ある言葉―

2002年3月8日
by 葛原 怜

■ 六甲学院の制服はなぜ金ボタン付きの学ランではないのか。それは六甲学院ができた頃にさかのぼるが、あの制服は海軍の制服をモチーフにデザインされたのである。神戸港に近いからという理由もそこにはあるのだろう。しかしそれ以上の理由が存在していた。六甲学院では『man for others』を『人のために死ねる』と訳す。つまり海軍のように自分の命を捨てられる覚悟があることを示している。だから校長はこう言う。『その制服を着るときは誇りをもて』と。

■ 実は、六甲学院は校内にいる時は制服を着ていない。『校内着』という一見囚人服に似た服を着るのである。別に体操服は存在する。何故あるのかは沢山の理由が存在する。一つとして、学校が山の上にあるため、朝上るだけで汗をかいてしまうからであろう。もう一つは休み時間な汚れることなど心配せずに友人とふざけたりできるからであろう。そういう意味で校内着はとても子供にとってはいいのではないだろうか。

■ ところで、『瞑黙』という言葉を知っているだろうか。『瞑目』ではない。目を閉じるだけではないのだ。六甲学院では至る所で『瞑黙』が行われている。授業の最初と最後、式典の最初と最後。『瞑黙』で始まって『瞑黙』で終わるのだ。では『瞑黙』とは何なのか。簡単に要領だけ言うと、授業時なら委員長が大きな声で『めいもく』と叫ぶと、クラス全員が座った状態で机の上に両手をそれぞれ軽く握って目をつぶる。そこには10秒程の沈黙がある。その沈黙以上の深い世界がそこにある。その意味は単なる授業と休み時間の区切りの明確化だけではない。休み時間やその授業までの自分を捨て、次の時間に新しく生まれ変わるという意味があるのだ。

■ 校長が言った言葉の中にこんな話がある。『君達の巡り合うであろうパートナーは今この瞬間、既にこの地球のどこかに存在する。だからその女性とめぐりあえる日まで自分をひとりの人間として磨きなさい』と。

■ 様々な事実や例えを用いて、様々なことを常日頃から訴えられているのかもしれないが、結局は一人の人間として成長していく上での手がかりになるという意味では、一つにまとめられるのかもしれない。色んな材料を与えられて考えたり、悩んだり、疑問に思ったりするであろう。『なぜなんだ・・・』『何が自分の考え方と違うのか・・・』と悩み苦しむことが、たとえ解決されないことでも意味のあることではないだろうか。

■ 六甲学院という学校は、そういった疑問ばかり浮かんでくる。『なぜ裸・・・』『なぜ耳に髪がかかってはいけない・・・』『なぜ裸を嫌がらなくなってしまうのか・・・』中学1年生で入学した時に疑問を抱いた瞬間、6年間この六甲学院に通う理由が一つできる。考えることや素朴に疑問を感じる事は、教科書をひたすら頭に詰め込むような勉強では得ることはできないだろう。今、子供たちが忘れていることはまず素朴に疑問を持つことであろう。そこから勉強も将来の希望も始まるはずではないだろうか。


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