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六甲学院レポート[3] 六甲学院3大イベント-『忍耐』、『友情』、『プライドとは違う誇り』

2002年3月6日
by 葛原 怜

■ どの学校にも年に何回かイベントがあるだろう。体育祭、文化祭、バザー、音楽会、etc・・・。この六甲学院という学校では、体育祭、文化祭、強歩会が主なイベントである。何が他の学校とちがうのかと思うところではあるが、簡単に言うと体育祭と文化祭に関しては一つ一つの準備から運営までが全然他の学校と違うだろう。その準備から運営まで全て先生が関わるところはない。強歩会は簡単に言ってしまうとマラソン大会になってしまうかもしれない。しかし、距離が他の学校よりかなり長いのではないかと思われる。約33km走るのである。

■ その強歩会について詳しく言うならば、時期は2001年までは2月に行われていたが2002年からは11月に変わり、時期的にはちょうど走りやすくなった。早い生徒は2時間程で走ってしまう。制限時間は5時間と決まっており、体力と気力がない生徒は5時間を越えてしまい失格になる。ではこの強歩会はなんの意味があるのか。『たかがマラソン大会』と言ってしまったらそれまでかもしれないが、33kmを完走する事は『たかがマラソン大会』と思っている者にはできないだろう。

■ 自分でペース配分を決めるも、足が途中でつってしまったり、急に横腹が痛くなったりとうまく思い通りにいかなく、歯を食いしばって走らなければならない。一歩一歩自分の足で進む33kmがまるで一つの人生を表しているかのようである。先が見えない道のりを、挫折を繰り返しながら一歩一歩進むことを、この強歩会を通して実感することができるのである。卒業生はこう言う、『将来、長い人生の中でつらい壁に当たった時にあの強歩会で頑張ったことを思い出す』と。

■ 文化祭については一つの特徴として、生徒の組織化がある。一人、選挙によって文化祭委員長が決められて、その下に様々な部署がつく。模喫、警備、広報、総務、同研、ステージetc・・・。それらの部署には主任がいて、自分の部署に所属する役員を指示するのである。パンフレットを作ったり、備品の管理をしたり、それぞれの部署が決められた仕事を遂行していく。

■ そうして、自分たちがき決めたテーマを元に文化祭を作り上げていく。そこでは、当然仲間との意見の食い違いやトラブルがあり、時には妥協し、衝突し、信頼関係の損失もありうる。しかし、2日間の本番が終わったとき、役員達の間には衝突や苛立ちを超えた固い絆が生まれるのである。そこで勝ち得た友情はこれからの人生で必ずや良い形となって表れてくるのである。自分たちの文化祭を自分たちの力だけでがんばっていくことで、やり遂げたあとの達成感は何物にも変えられない宝となるのだ。

■ 体育祭については六甲のスタイルが一番出ているイベントではないだろうか。ここでは数ある競技の中から『総行進』に注目する。体育祭の2週間前から『体育祭準備期間』になり、授業も短縮して2時に終わる。その後5時まで期間中は練習である。この体育祭も準備から運営まで生徒だけで行う。体育祭委員長を選挙で決め、その下に各部署を配置する。演技、企画、競技、警備、救護、広報、総務etc・・・。ここで六甲学院ならではの部署は演技と企画であろう。六甲学院の体育祭で一番お客様が集まるプログラムは『総行進』というものである。ちなみに当然ほとんどの競技は上半身裸、裸足である。この『総行進』も例外ではない。

■ 六甲学院は斜面に立地するため、体育祭を行うグラウンドは敷地の中で一番低いところである。そのためお客様が見るところは、グラウンドより高く、見下ろす感じになる。さてこれをふまえて、『総行進』とは何なのか。それは一言で言うならば、全校生徒1200人で一つの模様を作り上げていくものである。観客の人はその模様を段々になった斜面から見てその美しさに拍手や歓声をあげる。六甲の地形を用いてしかできない一つの競技である。

■ その模様を考えるのが企画と言われるパートである。ただ模様を考えるだけでなく足の歩幅や長さをはかり1200人が模様を描けるように設計するのだからかなり大変である。また、ズレや間違いなどを随時に直していかなければならない。もう一つの演技というパートはその企画が考えた模様を全校生に身体で教え込む。はっきりいうと時期が夏に近い事もあって役員の言うことを下級生は聞いてくれない。

■ 演技役員は毎日声が出なくなるまで、『まっすぐ歩けー!』『喋るなー!』と叫ぶ。それでも本番が近づくにつれて焦りや不安、で苛立ちが隠し切れなくなる。『本番まであと少ししかないんやー!みんな元気よくあるいてくれー!』『お客さんにそんな演技見せるんかー!もっと手を振ってくれや―!』とあちこちでこんな声が聞こえてくる。

■ 全校生徒も本番が近くなると、役員の言葉に答え、自然と足も上がり、手もよく振るようになる。歩いている生徒もお客様に自分が「見られる」ことを意識するようになる。その時やったことがある人にしかわからないかもしれないが、生徒は『どうだ、これが俺の行進だ!これが六甲の総行進だ!』とどこか自分の心の中で叫んでいるのだ。

■ そしていよいよ本番当日、13時。音楽部の演奏と共に体育祭の最大の目玉『総行進』が始まる。最初は全校生1200人が列の縦や横を合わせて12列で毎年決まって入場してくる。約5000人の観客はあまりのその迫力に圧倒されて静まり返り、音楽だけが鳴る。次々に表れる模様に観客は拍手をし、シャッターを必死で切る。歩く生徒は緊張しながらも『魅せる快感』『見られる快感』に胸を張り、誇りを感じて歩いている。

■ 2週間、声が涸れるまで教え続けた演技役員は涙を流して行進を共にしている。そこには肌で感じる感動がある。精一杯頑張った生徒のみが得られる感動が。演技が終了したときに観客からもらえる拍手を求めて体育祭の4ヶ月前から企画した企画役員が経験する感動は六甲学院でしか味わうことのできないものであろう。『伝統』という二文字が生徒に与えるのは感動だけではない。伝統ゆえの重みも与える。その重みは時にプレッシャーとなってのしかかってくるが、最後には生徒の心に、『プライド』とは違う何か大切な『誇り』を置いていくような気がする。


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