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慶應義塾幼稚舎
学校説明会

2002年8月31日(土)13:00〜14:00

スケジュール
(1)13:00〜 舎長挨拶 幼稚舎長 金子郁容先生
(2)13:35〜 施設の概要・教育内容について 主事 アイバ先生より

配布物
慶應義塾の一貫教育2002(総合案内パンフ)、「幼稚舎とはこんなところです」(2002年5月発行)
展示物
なし

販売品
なし

受付記入
なし

 そろそろ夏休みも終わろうとしている土曜日、残暑の厳しいなかたくさんの参加者が集まってきました。今年度の説明会は、7月6日(土)10:00&13:00、8月31日(土)10:00&13:00の計4回開催され、今回が最終回となります。

 お父さま方の姿がたくさん見受けられるのが特徴的なことでしょうか。開始前に校歌などの曲が数曲流されると、いっしょに歌っている声があちこちから聞こえてきました。皆さん卒業生なのでしょうか、懐かしそうに目を細めながら口ずさんでおられる姿が印象的でした。

 以下、先生方の言葉をそのままレポートします。



●金子舎長先生より教育方針について

 まず、最初に重大発表があります・・というのは冗談です。幼稚舎という名前から幼稚園だと思っておられる方がいるかもしれませんので、そういう方はお引き取りを(笑)。
 この幼稚舎は今年で128年目を迎えた小学校。慶應義塾は、小・中・高・大学・大学院までの一貫校となり、幼稚舎からはたいていの場合3つの中学校(普通部、中等部、湘南藤沢中等部)のいずれかへ進学する。
 私も幼稚舎の卒業生。当時、2年生か3年生の時にバスに乗って羽田空港の見学に行ったことがあるが、その時にバスガイドさんがむすんでひらいてなどを歌い、「皆さん大きいですねえ」とやはり幼稚園と勘違いしていた。

 入学試験については話さないが、伝えたいことはすべて本日配布(5月より配布)の「幼稚舎とはこんなところです」に書いてあるので、それを参考にしてほしい。ホームページにも同じことが書いてある。ちょっと堅苦しいが、海外在住で説明会に参加できない方もいるため、できるだけ同じ情報をということでどなたにもこちらの冊子を見ていただいている。よく聞かれるような質問をQ&A方式にまとめてあり、この4月から始まった他の学校の書類にも同じようなQ&Aがあったので、広まればよいと思っている。

 4月に素晴らしいデザインの食堂ができた。細長いテラスがあって、大人ならばそこにビーチパラソルやイスを並べたいところだが、子どもたちはなんとそこで「だるまさんがころんだ」を始めた。長くて細いからちょうどいい・・・けっこう子どもはクリエイティブ。いっしょに遊ぼうと誘いに来てくれるので、おにごっこ、石けり、だるまさんがころんだをやったりしている。元気で活発な子もいれば、そうでない子もいる。いろんな子がいるということに対して敏感でありたいと思う。

 ひとつだけエピソードを紹介したい。朝礼で小さな頃から眼が悪いという話をした。最近は眼の悪い子どもが多く心配しているが、当時は自分くらいしかいなかった。けんかをすると眼鏡を取られてしまうので、逃げてばかり。眼が悪いとスポーツもおっくうになり、少し引っ込み思案になってしまった話をした。子どもは、〜できたとか、〜にいけたとか、〜がすごかった、というような話をしたがるが、「できない」「うまくいかない」ということも大事だということを話した。その日か翌日、ある2年生の男の子のお母さんからメールをもらった。その子は目が悪く、眼鏡を作ったが恥ずかしがってかけようとしなかった。それが私の話を聞いて眼鏡をかけるようになったとのこと。とても嬉しかった。私がしゃべるだけでなく、しゃべったことをちゃんと受け取ってくれた。その時はじめてよかったと思った。今まで眼が悪くてよかったと思ったことは少ないが、本当によかったと思った。いろんな子どもがいるということ、そして一方的に何か与えるということよりもこちらが言ったことがまた返ってくる、そこではじめて私の方も嬉しい気持ちがする。小さなことだが、小学校の現場で敏感になりたいと思っていることである。

 その一方で、幼稚舎ではたくさんの切磋琢磨、健全な競争、競い合いの場を用意している。

◆貝がら検定・・・4年生で海浜学校にでかけ、たくさんの貝がらを拾ってくる。幼稚舎の中にも百数十種類の標本があり、貝がらの名前を覚えるというもの。たくさん覚えた子には「貝がら名人」の称号(認定証)が与えられる。毎年3人くらい「貝がら名人」が誕生する。

◆漢字検定・・・検定の会場にもなっており、年3回実施。毎回100人以上が挑戦している。

◆イングリッシュ・プロ・・・4年生以上にCD-ROMとテキストを渡して自分のペースで勉強していけるようにしているプログラム。年に3〜4回テストをして、シールを貼っていっていっぱいになると私と写真を撮って記念にする。これは私にとってとても楽しみなこと。

◆百人一首大会・・・毎年1月に実施。小学校で百人一首をやっているところは珍しいとのこと。毎年50〜70チームくらいで競い、今年は4年生チームが優勝した。

◆けん玉検定・・・けん玉日本一の先生がいて、検定も行っている。

◆なわとび・・・31種目の記録をとる。今年、前とび98分の記録を出して4年生の女の子が幼稚舎記録をぬりかえたばかり。

 このような健全な競い合いの中で、自信をつけることや勝った時に嬉しいということよりも学んでほしいのは、うまくいくことは少ないということ。たくさんある「できなかった」「うまくいかなかった」時に何を学ぶかが大切。
 こうした健全な切磋琢磨の場は、信頼関係がなければ成り立たない。単に勝ち負けになってしまう。信頼というのは難しく、日々の活動からつくりあげるもの。子ども同士、子どもと教員、ご家族の皆さんの中でつくりだすもの。幼稚舎には800人の小さな子どもがいて、大小さまざまな問題がある。幼稚舎は問題がない学校というのではなく、問題がある時にどうやって対応するか、皆でコミュニケーションを密にしながらできるだけ納得のいくような解決策を探るなかで信頼関係をつくるコミュニティでありたいと思う。


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<これよりパワーポイントによる説明>

「幼稚舎のリニューアル」

■伝統と進取の志向

「独立自尊迎新世紀」(掛け軸)
1900年に三田の山で行われた世紀送迎会の時に掲げられた福澤諭吉の書

■変わらないもの、変わり行くもの

  • 受容されている
  • ひとりひとりを長い目で見守る
  • それぞれの力を伸ばす
  • 自分がいることで人の役に立つ
  • 良きものは継承しつつ、新しい試みは勇気を持って取り入れる
    ・・・「慶應義塾の伝統」

■幼稚舎21・・・リニューアル計画

   ★多重クラス編成
   ★けやきホール(食堂)

■食堂・・・新しいパブリックな場

  • 一緒に食べる→教育の新しい次元
  • たくさんの子どもたち・・・幸せな時間
  • 「大人になった気持ち」
  • 自分たちでルールを見つけていく
  • クラスの決まり、食堂の決まり
  • 行列、分別、下膳・・・いろいろやってみる
    <試行錯誤>

■多重クラス編成

   ★少人数化  44人×3クラス → 02年より36人×4クラス
   ★成長段階や学科に応じたクラス編成
  • 少人数クラス(10人台)〜 中高学年<英語>
  • タイプ別編成(20人台)〜 高学年<算数>

■情報(教員2人)ティームティーチング

■例1:英語

  • 1年生より授業
  • インターナショナルスクールとの交流

■例2:算数

タイプ別クラス編成(5・6年生)
どんどんやりたい子
ゆっくりやりたい子

■6年生算数:3クラス → タイプ別5クラス

■例3:情報

■新学習指導要領と「学力低下」

授業時間  公立学校:カット、幼稚舎:多少増加
総合的学習の時間 「情報、英語」従来より総合的アプローチ

■安全対策
「開かれた学校」と必要な警備

  • 複数の警備員が24時間勤務
  • 正門の警備ボックス
  • 始業、下校時の体制
  • 安全ベル設置

■学校教育をめぐる動きと慶應義塾

  • 教育改革への関心、行政の動き、新しい試み
  • 大学制度の改革 法人化
  • 中高一貫校
慶應義塾 独自の方針

●主事のアイバ先生より施設の概要・教育内容について(パワーポイント&ビデオ使用)

  • 空から見た幼稚舎 → 本館、記念棟、小体育館、新館21、新体育館、自尊館、自然園(渋谷区と港区にまたがる広大な敷地)
  • グラウンドの大きな2本のけやきの木は幼稚舎のシンボル
  • 7万冊の蔵書
  • 2学級同時に1人1台のパソコンが使える情報教室
  • 新館21にある座席数300強の「けやきホール(食堂)」は今年4月にできたばかり
  • サイエンスミュージアム
  • 50インチのプラズマディスプレイ
  • 光ケーブル

<子どもたちの生活の様子(ビデオの内容)>

  • アサガオの種まき
  • ドラゴンスクール訪問
  • 1年生 遠足(日吉キャンパスへ)
  • 3年生 1泊遠足(長瀞や箱根へ)
  • 4年生 4泊5日海浜学校(館山へ)
  • 働く消防写生会
  • 早慶戦応援
  • 授業(プラズマを利用した漢字の筆順指導)
  • 6年生 高原学校 野焼き
  • 良書展示会
  • 授業(英語:クラスを4分割)
  • 授業(算数:クラスを2分割)
  • 授業(体育:2名の教員で教える。同じ体育館で男子はバスケ、女子はバレーをしている)
  • クラブ活動(ラグビー、卓球、バレーなど20以上ある)
  • 水泳授業(25mと15mプールの2つがあり、卒業までに1000m完泳を目標としている。
    着衣水泳の指導も行っている)
  • 水泳大会
  • 夏休み モホークキャンプ(国際交流)
  • 相撲教育
  • 夏季作品展
  • 最先端の授業(慶應義塾大学 小池教授とのテレビ会議)
  • 図書室(授業としてよく図書室を利用している。絵本だけ集めた「絵本のひろば」もある)
  • 理科室の水族館
  • 遊園地
  • 給食(けやきホールにて低、中、高学年の3分割で食事をする)
  • 運動会(慶應リレー、イギリスからのドラゴンスクールの生徒も参加、だるまはこび、すずわり、棒たおしなど)
  • 音楽会
  • ストローリサイタル
  • シャボン玉名人を呼んで
  • 工藤選手を呼んで
  • 手品教室
  • 落ち葉たき
  • 餅つき
  • かるた大会
  • なわとびの記録づくり
  • 学習発表会(5&6年生女子による舞踊など)
  • 福澤先生ご命日(2月3日)
  • 修学旅行(四国、関西方面)
  • 卒業式


 「伝統」「リニューアル」「進取」、そして「信頼関係」という言葉が印象に残りました。進取とは、今までの慣習にかかわらず、意欲的に新しい事をすること。今回のリニューアルの大きな柱となる「食堂」と「多重クラス編成」は、まさにこの進取によって生み出されたものでしょう。食堂での食事を大人になった気持ちがする≠ニ表現した生徒さんの言葉紹介にフムフムとうなずく参加者の皆さん。きっとうまくできなかったことからたくさんのことを学んでいくに違いありません。

 多重クラス編成も単なる少人数制や習熟度別に分けるのではなく、学科や学年によって編成を自在に組み替えていくものです。たとえば、高学年の算数では、どんどんやりたい子、ゆっくりやりたい子というタイプ別編成となり、進んでいる、遅れているという分け方ではなく、本人がどう進めたいかというその子自身の気持ちを大切にしたものとなっているのです。これこそが独立自尊の伝統といえるのではないでしょうか。こんなところからも自分で考え、決断し、実行していくことの難しさ、大切さを学んでいくのでしょう。

 そして、すべての根底にあるのは信頼関係であると舎長先生は強調されました。いろんな子がいることに敏感でありたいという言葉からも、それぞれの成長をあたたかく見守ってくれていることが伝わってきます。健全な競争といわれる数々のプログラムや行事、最先端授業も個性的で魅力的でした。大学、大学院までの一貫教育はさらに魅力的なものに違いありません。

 幼稚舎のシンボルでもあるけやきの木は、配布された大学院までの総合パンフの表紙を飾るモチーフとなっていました。帰る道すがら、そのけやきの木が「ずっと見守っていますよ」とささやいたような気がしました。

NTS教育研究所 山本真美


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