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2002年 早稲田大学政治経済学部AO入試について

2002年3月1日
by 葛原 怜

§1 試験内容

■ 『AO入試』という入試形態が受験生の耳に入るようになったのは急激に増えた2000年、つまり本当につい最近からであり、それがどのようなものであるかということは実はあまり知られていないのが現状であろう。早稲田、立命館などの有名私大や東北、九州、筑波などの国立大など、多くの大学で行われている『AO入試』の形態は小論文、調査書、面接を主軸としたものである。

■ アメリカの大学入試は日本と異なり全ての入試がAO入試で、入学システムも3つある。一つは高校の成績やSAT・ACT等の全米統一テストの結果を用い、さらに面接や小論文を行うもの。二つ目は高校の成績と統一テストが基準を満たすかどうかで判断するもの。三つ目は高校卒業資格のみで入学できるもの。しかし、アメリカのAO入試は統一テストを重視する傾向があるので日本のAO入試より学力優先型であると言える。(http://www.univpress.co.jp/daigaku/ao/ao.htmlから。)

■ 今回、私が受けた早稲田大学政治経済学部の形態は1次試験は『調査書+小論文』という形であった。調査書について簡単に言うと、主に高校生活での勉強以外の活動を書くもので早稲田の場合は志望理由も書かなければならない。小論文の方は英語・日本語・志望理由を2時間ずつ(志望理由は45分)で1000字程度ずつ書かされ、かなりボリュームがあり文章の的確な読解力とそれを紙上に表現する論述力が必要不可欠であるといえる。

■ 問題の方も、『文章の内容を要約しなさい』や『自分の考えるところを書きなさい』など単なる一般的な小論文の質問から、『グラフを見て読み取れることを書きなさい』や規則性を見つけて自分で空欄補充を行う等どこか頭の端を使うような質問まである。文章を要約する力だけでなく、グラフを読み取る数学的な処理能力までも要求されているのである。

■ 2次試験は面接で、3:1(面接官三人と受験生一人)で行われて時間は30分程度。学部によって聞かれることは違うと思うが質問は主に以下の内容である。

  • なぜ本学校、本学部、本学科を選んだか。
  • 高校生活で経験した役職で一番貴重な役職は何か。
  • 大学に入ったら何がしたいのか。
  • 大学卒業後は何がしたいのか。
  • 最近読んだ経済の本は何か。
  • 日本が今まで行ってきた事に対して意見はあるか。これからの日本は?

■ 最後の質問について、私は戦後補償の問題を取り上げた。日本は戦時中現代人が信じられない程の罪を、韓国をはじめとしたアジアの国々に対し犯してきた。無抵抗な人間の大量虐殺や慰安婦の問題。そして、奴隷のように連れてきて低賃金で働かせ続けた在日韓国人の人権問題。挙げればきりがない。それらの諸問題が解決していると思っているのは、おそらく日本人だけであろう。アジアの人々は決して許してはいない。日本の言う補償はそれぞれの国々に一時的に払っただけで、実際被害にあった人々に対しての謝罪や補償金は行われていない。日本政府はその問題については、『済んだ話』と言い張る。同じ敗戦国のドイツは計り知れない額の補償金を被害者に対し払っている。

■ 現在、日本がアジアで孤立しているのもそういった処理が行われていないからという理由は大きいだろう。日本経済の先が見えなくなりつつある今、ASEAN諸国や中国などをはじめアジアの国々は急成長をしている。いつか日本が経済力で追い抜かれた時はアジアの国々から本当の意味で孤立してしまうだろう。そうならぬためには、我々戦後に誕生した者が、過去に日本という国が犯した罪の償いをできる範囲で始めていかなければならないだろう。

§2 感想

■ 調査書について言うならば、評定平均値を書く欄がないだけで、同大学の教育学部の自己推薦と何ら変わりがないのである。さて小論文の方であるが、日本語はA4を8枚程読まされ、文章の内容について平均300字程度を6問、時間内に書くのは日頃から学校や独学で練習していないと、とてもではないが普通の18歳には無理であろう。内容も政党政治、選挙制度、日本経済、環境問題など、俄仕込みの知識では太刀打ちできない。日頃からそういう問題に関心を抱いているか、あるいは意見を持っているかどうかを問われている。

■ しかし、この小論文のテストでどれほど生徒の資質が計れるのか疑問を持たずにはいられない。ただ単純に論述力があるだけで逆に合格してしまうように思えてならない。面接も内容的に形式的なものであったように思われた。多くの受験生は面接前にあらかじめ用意した模範解答を必死に覚えていた。『受験生の資質・個性・能力を総合的に評価します』という大学側の言葉もなかなか素直に納得できない。そういった事を目標にするのなら、さらなる選抜方法の検討が必要ではなかろうか。

§3 全般に対するコメント-AO入試のメリット-

■ AO(アドミッション・オフィス)入試は、今までの学科試験では計ることのできなかった、やる気や潜在能力や個性を持った生徒を大学に入れるために作られたと私は解釈している。では、実際AO入試のメリットは何なのか?

  • ペーパーテストでは計れない能力の持ち主を選ぶことができる。
    ⇒上の内容の通りである。
  • 入学までの期間が長く準備がしやすい。
    ⇒多くの人は2・3月に合格が決まりあっという間に大学生活となり、これからの自分についてじっくり考える事無くただ大学生になってしまう。しかし、試験が前年の内に終わるAO入試は将来について悩む時間が許され、大学生活も送りやすいだろう。
  • 学部への適正。
    ⇒AO入試という事もありよくその学部などについて調べているケースが多い。一般入試の場合、大学を選ぶ基準が主に難易度になってしまい、その学校や学部についてよく知らずに入るといった事が起こりやすい。
  • 真の実力を発揮
    ⇒ケアレスミスが大目に見られ本人の実力が発揮しやすい。
  • 大学の質を内部から変えていく
    ⇒一般試験で入った生徒の中でやる気のないような生徒に影響を与えることができる。
  • 大学側が理想としている生徒を選べる。
    ⇒今までの推薦制度の多くは高校側に選ぶ権利があったが、大学側が理想の生徒を選べる。

§4 全般に対するコメント-AO入試のデメリット-

■ 実際は上記のように優れた点ばかりあるのではない。大学側には都合のいい事が多いが・・・。

  • 準備不可
    ⇒どんな準備をしたらAO入試に合格することができるのかという事が見えてこない。普段の生活を問う傾向があるため普段から気を使っていればよいのかという訳でもなく準備が難しい。
  • 合格後の高校の授業
    ⇒合格が一般入試よりも早いため、この先AO入試が増えてくると合格者も増え、特に三学期の授業が成立しなくなるのではないかと懸念される。
  • AO入試と一般入試の狭間で・・・。
    ⇒AO入試の結果がでるまでいまいち集中して一般入試の勉強に打ち込むことができない。特にAO入試の課題が膨大に出されるようだとそれによって一般入試の勉強時間は減ってしまう。
  • 学力の低下
    ⇒多くのAO入試には成績は全く関係していない。確かにそれがAO入試の特徴であるわけなのだがある程度の基準がなければ入ってからが大変であろうし、大学全体の学力の低下にもつながる。
  • 基準の明確性
    ⇒合否の基準が公表されないし、されても非常に抽象的であるためどうして不合格だったのかやどうして合格したのかが定かではない。そのため本当に面接や小論文で計れるのか不安になってしまう。
  • 試験の平等性
    ⇒一般入試ではどんな人でも努力次第で可能性は開けていたが、AO入試は資質や個性を重視するために個人の備わった能力的な問題になり、すべての人に平等ではないのではないかという疑問が出てくる。
  • 不合格者の復帰
    ⇒AO入試に時間を費やしてしまうと不合格だったときに、すぐ一般入試へと切り替えが難しい。

§5 全般に対するコメント-今後の課題-

■ 上記のことを踏まえれば課題は見えてくるので、その他の課題を考えると以下の2つがある。

  • 自己推薦との区別
    ⇒AO入試にも様々あり、アメリカのスタイルを真似たものや、本当に準備が大変なもの、そして自己推薦とあまり変わらないものなどたくさんある。AO入試と自己推薦の区別をもっとしっかりするべきである。
  • AO入試の位置付け
    ⇒自己推薦でもなく、一般入試でもない。では、どういうものなのか?受験生により理解させる為にも更なる定着が必要。

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