| §4 大学と大学校 − 韓国学生インタビュー by 岩辺みどり − |
急速に経済発展している韓国は、まだまだ知らないことの多い隣の国です。
今回、日本に勉強に来ている韓国人の日本語学校の学生さんに韓国の教育について、お話を聞きました。 |
■Q.高等教育への進学について教えてください。
高等教育への進学は、大学と専門学校に大きく分かれますが、最近は専門学校を大学と呼ぶようになっています。それは2年間の学校ですが、韓国人は「専門学校に通っている」というのは恥ずかしいので、「大学に行ってる。」というようにしているのです。 簡単に言うと、大学はcollege, 大学校はuniversityです。大学校にはいろいろな大学が入っていて総合大学のような形態です。大学の体系を見ると下のような単位になっています。
大学校 − 大学 - 学府 ? 学科 ? 専攻
例えば、ソウル大学の日本語学科だと以下の通りです。
例) ソウル大学校 ? 文科大学 - 言語学府 ? 日本語学科
これがcollegeである大学の場合だと専攻は特にありませんが、実技を中心とした学校が多いです。大学の場合は2〜3年制、大学校は4年制(医科大は6年制)です。 学生の人数より学校の数が少なくて競争も激しかったのですが、今は新しい大学が次々とできて、若年層も減っているのでどこでも入れるようにはなりました。それでも人気のある大学は決まっていますね。みんなのターゲットは、やっぱりソウル大学校です。ソウル大学校と韓国語で「ヨンゴデ」と呼ばれる2つの大学、延世大学校と高麗大学校が人気ですね。
でもソウル大学は絶対的に上で、空の上のような状態なので、「ソウル大学を出たって。」と聞けば、誰もが「すごいなぁ〜。」といいますね。ヨンゴデ大学は、日本でいえば早慶のような存在かもしれないです。 出身大学での学閥もあります。 ソウル大学はいろんな学部がありますが(表1参照)、医学部は一番難しいですよね。医学部はやはりどこの大学でも難しい学部とされています。
表1: ソウル大学の設置学部
・人文科学(語学,歴史など) |
・経営学 |
・美術学 |
| ・社会科学(経済学,社会学など) |
・歯科学 |
・音楽 |
| ・自然科学(統計学,数学など) |
・教育学 |
・法学 |
| ・農業生命科学 |
・工学 |
・医学 |
| ・看護学 |
・薬学 |
・獣医学 |
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◇ ◇ ◇
■Q.医学部は学費が高いというイメージが日本ではありますが、韓国ではいかがですか?
学費については、学部や学校によって大きく違います。特に専攻によって大きく違い、美術とか音楽は設備費がかかるので高いです。 ソウル大学は国立なので安いですよ。他の学校が1学期に200〜300万ウォンするとしたら、ソウル大学では40〜50万ウォンくらいです。(表2参照)
表2: 韓国の大学の学費
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入学金 |
授業料(半年) |
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|
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| 国公立 |
約50万ウォン |
約150万ウォン |
| 私立 |
約50万ウォン |
約200〜300万ウォン |
| <医学部> |
| 国公立 |
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約200万ウォン |
| 私立 |
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約400〜500万ウォン |
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◇ ◇ ◇
■Q.それは韓国の庶民の収入にとっては高いのでしょうか?
大企業に入った新入社員の初任給は、日本円で月に15〜30万円くらいですね(表3参照)。中には大学出ても15万円以下の会社もたくさんありますよ。韓国では大学を卒業して就職しても、実家から通う人が多いので、その金額でも生活はできます。 会社や学校が離れているときは、一人暮らしをしたりしますが、基本的には結婚するまでは実家から通うのがあたりまえなので、下宿などすると「どうして家を出るの!?」と聞かれてしまいます。
表3: 韓国の平均初任給(年収)
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韓国ウォン |
日本円 |
| <会社員> |
| 中小企業 |
1500万〜1800万ウォン |
170〜180万円 |
| 大企業 |
2500万〜3000万ウォン |
280〜340万円 |
| <公務員> |
| 9級 |
1600万ウォン |
180万円 |
| 5級* |
2600万ウォン |
290万円 |
| 1級* |
4000万ウォン |
450万円 |
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*注:公務員は9級から等級が上がっていくため、5級、1級は初任給ではなく一般的な年収。 |
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■ Q. 韓国の高等教育進学率が90%以上になっていますが(韓国教育レポート§1参照))、どう思われますか?
それは高すぎますね。多分、専門学校が大学として入っているからですね。ただ、韓国には大学にいけないと変な目で見られる風潮があります。入学してやめてしまう人もたくさんいます。日本では、大学に入っていなくても「ああ、そうか。」という雰囲気があるように思いますが、韓国では、高校3年生に対しては「大学に行くの?」と質問することもなく「がんばれ!」といわれます。今は大学がとても多いので、勉強が苦手な人でも入れる大学があります。
そして、また大学のために家族で引っ越す人も多いです。やはり大学はソウルに多いので、韓国の半分くらいの人はソウルの大学に通いますが、残りの半分の人はソウル以外の大学に行きます。でも、それは少し負けた気分がします。もちろん地方にもいい学校はありますが。 社会に出てからも地方の大学出身だと下に見られたりすることもあります。 大学の名前は就職に影響しますね。学閥もありますし。管理職の人と同じ出身大学の人を採用したり、かわいがったりする、ということはよく聞きますね。それと、地縁といって、出身地での派閥もありますね。自分が釜山出身なら釜山の人を自分の部署に集めたりするということも良く聞きますね。
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■Q.日本と韓国を結ぶ、今後の夢はどんなことですか?
私は飲食ビジネスをしてきたので、いつか自分のレストランを持ちたいと思います。日本にするか、韓国にするかわかりませんが。レストランで言えば、日本は海外からの影響を早く取り入れていて、とても勉強になります。例えば、最近日本では東南アジア料理が流行っていますが、多分韓国で次に流行りますね。そうした日本での流行の取り入れ方など学んだことを活かして、どちらかの国で自分のお店を持てたらいいですね。
参照: 『OECD国家の主要統計指標』(2002)
ソウル大学HP (http://www.snu.ac.kr)
インタビュー回答者: キム・ウンジュ さん 1977年韓国生まれ、大学でマルチメディアを学んだ後、大学院でマーケティングを学ぶ。
2001年より飲食ビジネスに携わり、マーケティングを担当。
2006年1月から日本在住。日本語学校の学生として勉強しながら、日本の飲食ビジネスのリサーチやお菓子作りを
学んでいる。
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岩辺みどり
NTS教育研究所フェロー。現:一橋大学大学院生。世界中を飛び回り、各国の教育事情や文化について、実際に行ってリサーチ、レポートしている。GAP YEAR推進派。「人生、常にGAP YEARです。」 草土文化社『子どものしあわせ』に2004年4月より『ミドリのアイ』連載中。
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*韓国教育事情 インタビューは今回で終了です。
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