| §1 モナークStyleの授業 −その1:Reading Buddy− |
by 岩辺みどり (写真・文)
2005/08/25
■ カリフォルニア州、サンフランシスコから南へ車で約2時間のサンタクルーズという街にある公立のオルタナティブ・スクール、モナーク小学校に伺いました。一般的な公立学校のような1人1人の机や規定の教科書のないオルタナティブ・スクールというかたちをとるモナーク小学校の様子を紹介していきます。
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■ モナーク小学校ではクラスは2学年ごとに3つに分けられており、それぞれに名前がついています。1、2年生のEarthクラス、3、4年生のSeaクラス、5、6年生のSky/Galaxyクラスとなっています。様々なバックグラウンドを持つ生徒達が通うモナーク小学校では、性別、障害、人種など1人1人の違いによってできる壁を取り払おうと努力しています。例えば、年齢の壁を作らないこともそのうちの1つです。
毎週月曜日、中休みの後に1、2年生のEarthクラスの生徒達がわくわくした顔で大教室の前に1列に並びます。教師に先導されて、教室の中に入ると、3、4年生のSeaクラスと5、6年生のSky/Galaxyクラスの生徒が待っています。72人の生徒達と教師達の全員が円になって座り、5分程度の全校集会が始まります。列の最初も最後もない円になって座ることで、誰が前に立つのでもなくみんなが平等で話ができるかたちをとっています。学年関係なく誰でも手を上げて意見をいい、教師も上からの立場ではなく全員の中の一人としてわからないことを質問をし、同じようにして生徒から出された質問も一緒に考えます。
それが終わるといよいよ、生徒達が待ちかねていた"Reading Buddy(リーディング・バディ)"の時間が始まります。低学年の生徒と高学年の生徒が2、3人のグループに組まれていて、本を一緒に読むことによって、姉妹、兄弟のような関係を作り上げることを目的としています。教師の合図とともに低学年の生徒達が自分とペアのお兄さん、お姉さんの生徒達のもとへと走り出します。
小さい生徒達は躊躇することもなくお兄さん、お姉さん生徒達のひざの上にすぐ座り、上の子は、髪の毛を結んであげたり、抱っこしてあげたりしながら、一緒に選んだ本を読んであげます。
本を読む場所は自由で、本を持って空き教室を右往左往して自分の好きな場所を探す生徒達の姿が見られます。壁と壁の30センチくらいの隙間に入り込んで本を読む子、机の下で2人でくすくす笑いながら本を読む子、かと思うと部屋のど真ん中にどーんと寝そべって本を読む子もいます。どの子も2、3人グループでほんとに仲良く、そして落ち着いて静かに本を読みます。教室には、数枚の仕切りでセクションが作られてたり、テーブルがランダムに置かれていたりするので、生徒達には本を読むための格好の隠れ家の場所になっているようでした。
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■ 上の学年の生徒には、国語の勉強であると同時に、読みながら「ここに、何が隠れてるのかな?」と新たな話を小さい子に作ってあげる想像力と独創力の力を養うことができます。下の学年の生徒も、話を広げてくれるお姉さんやお兄さんのおかげで新しい言葉や単語を学び、語彙力を養います。
しかし、生徒達は一番上の学年では12、13歳の子もおり、なかなか素直に話をしてくれない子も出てきます。ここで私が訪問した時に気になっていた、集団からいつも離れて1人でいるのを好む一番年上の13歳の男の子がいました。思春期で難しい年頃の彼にとって、7歳の低学年の生徒がいわば「まとわりつく」ような状態になるこのリーディング・バディの時間をどう過ごすのか、私には興味がありました。
満面の笑みでそれぞれのお兄さん、お姉さんのところに走っていく低学年の子ども達を、両手を広げて受け入れる高学年の子ども達の中で、彼は静かに自分のバディの7歳の男の子と一緒にいました。笑顔でとはいかないようでしたが、彼なりのやり方でその子と一緒に本を選び、みんなから少し離れた壁と荷物の隙間のようなところに陣取り、本を読んであげていました。
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■ 1年間同じ組み合わせの子ども達で継続されるので、本当に兄弟のような関係が築かれます。このバディの関係は家族にも応用され、モナーク小学校に新しく入学、編入した子どもの家族は、すでに通っている子どもの家族とペアを組み"Buddy Families(バディ・ファミリーズ)"となります。学校のこと、子どものこと、一般的な質問は、まず自分が組んでいるバディ・ファミリーに相談することになっています。
読解力を培うリーディング・バディも、家族と家族を結ぶファミリー・バディも子ども達に"Social Skill(社会能力)"を養ってもらおうという目的では共通しています。このどちらのバディの関係にも、バディのマッチングや時間の管理などの最低限しか教師は関わらないようになっています。年齢やバックグラウンドの違う人々と話したり、助け合っていく中で、人への接し方やコミュニケーション能力を小さいうちから自然と学んでいくのです。
バディの関係のあり方は決して1つではありません。寝そべろうと、年下の子が年上の子に読もうと、リーディング・バディでの子ども達の関係もスタイルも自由です。ファミリー・バディの関係も、こまめに電話をするのも、困った時だけSOSを出すのも、関係のとり方は自由です。自然と生まれる相手を思いやる気持ちから、これらの関係が築かれているのです。
*2004年にモナーク小学校はクラス編成があり、現在はEarth(就学前年齢)、OceanとSea(低学年レベルに2クラス)、Sky(高学年)の4つのクラス編成になっている。
モナーク小学校 (http://www.monarch.santacruz.k12.ca.us/)
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