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§45 多様性がうむ 新たな傾向 −2007年 中学入試素材文に視る−

by 岡部憲治
2007/03/12

■最近、学力低下は叫ばれるものの、一時、騒がれた「文字離れ」が影を潜めたような気がする。 それが読書なのか、携帯なのか、インターネットなのかどの手段かはわからないが、なにがしか文字(文)に触れている時間が増えたのかもしれない。

◇ ◇ ◇

■以前、 オカベの目§24 −コンテンツのコンバージョン− でも書いたように、日本はコンテンツのコンバージョンがうまく文字⇔マンガ⇔静止画⇔動画⇔アニメ⇔実写とその変幻自在が際立つ。

◇ ◇ ◇

■コンバージョンといえば、少し古い話だが、「戯言シリーズ」の西尾維新さんが集英社から「デスノート」、講談社から「xxx HOLiC」をほぼ同時期にノベライズ刊行(マンガ→文字)したのには驚いた(やっぱり、心惹かれて読んででしまうよなぁ。(〃▽〃) )。

◇ ◇ ◇

■系統は少し違うかもしれないが、「ブギ−ポップは笑わない」からブームが始まったいわゆるライトノベルは今もその人気が絶えない。例えば、大ヒットした「涼宮ハルヒの憂鬱」、安定した人気をもつ「キノの旅」、その他「灼眼のシャナ」、「ゼロの使い魔」など数え上げてもきりがない。
 これらライトノベルの特徴は、やはりコンテンツのコンバージョンが前提にあることだろうか。つまり、「メディアミックス」によるマンガ化・アニメ化・ゲーム化とコンバージョンが行われやすいのだ。

◇ ◇ ◇

■だから、入口がライトノベル(文字)でなくても、もしかしたらマンガから、あるいはアニメから、ゲームから入ってきて、ライトノベルに回帰していくユーザー(読者)が数多く現れてきても不思議ではない。
 どうやらそういう時代が訪れてきたようだ。

◇ ◇ ◇

■10年以上前の話だが、専任講師として国語を教えている頃、保護者会などでよくマンガのノベライズ本を薦めていたのを思い出す。(当時は少年ジャンプや少年マガジンのノベライズ本がはやっていたような。。。)それでも、保護者の方の反応は今ひとつであった。
 確かに、当時、中学入試に出題される文章とそれとではだいぶかけ離れていた。ゆえに、「読書」が苦手な子に「入りやすさ」として、マンガのノベライズ本を読むことを薦めていた。

◇ ◇ ◇

■その頃は、池上嘉彦さん、養老孟司さん、外山滋比古さん、富山和子さん、工藤直子さん、河合隼雄さんらの文章がよく出題されていた。今でも上記の方々の文章は出題されているのだが、最近では重松清さん、あさのあつこさん、森絵都さん、伊集院静さん、池田晶子さん、齋藤孝さん、江國香織さんらの文章が増えてきたような気がする(養老孟司さんはあいかわらず多いが)。

◇ ◇ ◇

■ところが、そんな文章の出題傾向にも少し変化の兆しが見え始めた。以下は今年、中学入試で出題された素材文の作者トップ12だ。

(1)重松清
(2)森絵都
(3)小川洋子
(4)あさのあつこ
(4)高槻成紀
(4)日高敏隆
(7)佐倉統・古田ゆかり
(7)杉みき子
(7)豊島ミホ
(7)茂木健一郎
(7)野村潤一郎
(12)阿部夏丸
(12)工藤直子
(12)石井睦美
(12)川端裕人
(12)草野たき
(12)中沢けい
(12)養老孟司
(12)梨屋アリエ

◇ ◇ ◇

■最近、常連となっているあさのあつこさん。知ってのとおり、バッテリーは映画化、マンガ化されている。最近100万部を突破した「THE MANZAI」シリーズもマンガ化、CDドラマ化され、月間少年シリウス(講談社)では『テレパシー少女「蘭」』もマンガ化されている、。豊島ミホさんの「檸檬のころ」も映画化され今月公開だ。

◇ ◇ ◇

■その他、3月10日にピュアフル文庫から発売された『ピュアフル・アンソロジー 卒業。』は著者:豊島ミホ、大島真寿美、梨屋アリエ、草野たき、藤堂絆、前川麻子、若竹七海 となっている。
豊島ミホさん、草野たきさん、梨屋アリエさんと3人の作品は中学入試の素材文として最近、よく出題されているのを考えればなんとも豪華な集いだ。

◇ ◇ ◇

■で、出版レーベルのピュアフル文庫を調べてみると、ウィキペディアによれば、

ジャイブ刊の文庫レーベル。主に中・高生と青春小説好きの大人を読者対象としており、児童文学とライトノベル、一般文芸の中間的なポジションの作品がラインナップの中心を占める。10代を主人公にした小説を中心にセレクトしているのが特徴で、キャッチコピーは「心にしみる、心がふるえる 珠玉の青春セレクション」。

となっている。

◇ ◇ ◇

■なるほど
○ターゲット層として中・高生
○ターゲット層として青春大好きの大人
○児童文学、ライトノベル、一般文芸の中間的なポジションの作品

これは今までの既存のカテゴリーとは少しちがう。中学入試という切り口で考えると、出題する側の先生達の年齢、嗜好と出題対象となる生徒の年齢、求められる生徒像のエッセンスをふんだんに含んでいる可能性もある。
 また、ピュアフル文庫を出しているジャイブといえば、現在、ポプラ社の傘下でありつつも文庫本だけでなく、マンガやゲーム関連の雑誌・小説などメディアミックスはお手のもの。今の時代を反映した複合的な表現手法を用いて様々な層に"一つのコンテンツ"を提供している。

◇ ◇ ◇

■総じて、今までの"国語"の出題文(素材文)とは背景の違うメディアミックスの可能性を多分にもっている作品、すなわち様々な表現手法で解釈されうる素材が求められているのかもしれない(これだけ様々なメディアがあふれている時代だから当然か)。


ホンマノオト 2007年教務資料を読む(3)〜新しい子ども像の表現(http://honmanote.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/20073_14a2.html

ホンマノオト 2007年教務資料を読む(4)〜新しい子ども像の表現(http://honmanote.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/20074_a9b0.html

でも 今年の入試素材文について語られています。


※1 ライトノベル−中高生を対象とし、漫画やアニメ風のイラストを用いた娯楽小説(Wikipedia より)
※2 どちらかと言えば、児童書専門かと思ってたポプラ社はマンガ雑誌、出してたんですね。

[参考記事・参考放送・参照URL]

西尾維新 DEATHNOTE:http://j-books.shueisha.co.jp/nisioisin/

西尾維新 xxxHOLiC アナザーホリック ランドルト環エアロゾル:http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2135094

涼宮ハルヒの憂鬱 特設サイト:http://www.haruhi.tv/

灼眼のシャナ:http://www.shakugan.com/

ゼロの使い魔:http://www.zero-tsukaima.com/

キノの旅:http://www.kinonotabi.com/top.html

ピュアフル文庫:http://pureful.jive-ltd.co.jp/

JIVE :http://www.jive-ltd.co.jp/

コミックブンブン(ポプラ社刊):http://www.bun-bun.jp/




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