| §40 少子化で変わるべき社会 −機会複数制の導入(2) アメリカの大学の場合− |
by 岡部憲治
2006/09/08
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1年に2回や3回の入学チャンスがあった場合、どのようになるのか。自分の経験をもとにアメリカの大学のケースを紹介してみよう。
アメリカの大学の場合、入学機会は年に複数回あり、学年も
という分け方ではなく、
| Freshman・Sophomore・Junior・Senior |
となっている。
一見、同じようだが大きく違うのは取得した単位の数によって呼び名が変わることだ。つまり、「学年」で分けられていないのだ。
◇ ◇ ◇
■例えば、前期にとる単位数を多くしたり、サマーセッション(※1)で単位を取って4年かかるところを3年で卒業することもできる。大学院へ1年早く進級も可能だ。
入学に関しても9月だけと思われがちだが、その前倒しでサマーセッションから単位を取ってそのまま9月から入学もできるし(実質、サマーセッションで入学ということになる)、4月から入学することもできる。また、高校在籍時に成績が優秀ならば大学の単位をサマーセッションに前倒しで取得することもできる。
自分の場合は大学がクォーター制(1学期10週間でFall, Winter, Spring, Summer
の4学期)だったので、入学機会は年4回あった。
ちなみに、学費の面では「学年分け」ではないので「年間いくら」ではなく、「1単位(1unit)いくら」という考え方だ。最近、学費が高くて有名なUSC(南カリフォルニア大学)出身の友人に聞くと1単位あたり1000ドルだそうだ。昔の2倍だ。(汗
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■そして入学機会が1年に複数回あることで決定的に日本と違うのは
アメリカには「浪人」という概念がない
ことだ(※2)。コミュニティ−カレッジなら18歳以上であれば誰でも入学可能だし、なによりトランスファー(編入)制度が充実しているのでステップアップしていくことが可能だ。
例えば、特定の大学卒業をゴールとしているならば、その大学に編入するためにまずは他大学に入学し、好成績をキープしながら編入を目論む。つまり、時をとめず「ステップアップ」していくことができる。
もちろん、いいことばかりではない。いい意味でも悪い意味でも「自由」だから自分から積極的にまわりに関与したり自己管理しない限り「ステップダウン→ドロップアウト」する可能性も十分ある。
◇ ◇ ◇
■学業面だけでなく学費の面でも自己管理が強いられる。例えば、サマーセッション時に1単位あたりの単価が安いコミュニティーカレッジで互換のある単位を取得して学費を浮かせたり、1学期間出席し、次の1学期間は学費を稼ぐために休学、その次の学期にはまた出席するといったことも十分有り得る。
◇ ◇ ◇
■大学側も優秀な生徒がトランスファーで抜けていくのは困るのだが、「Retention
Rank (※3)」としてランキング本に公表されるので、いろいろな面で「充実」させることを余儀なくされる。
つまり、生徒の側も大学の側も「how to survive」が求められるのだ。
◇ ◇ ◇
■自分の経験事例だけでは根拠に乏しいかもしれないが、将来、底上げされるであろう貴重な「人材」をあますことなく活かすには
既存の「大学への入学システム」
をどのように変えるか。重要な課題の一つだと考える。
また、技術職への志望者が減っていることも考えれば、昔のイギリスで起ったポリテクニックの大学昇格のように「専門学校」の「大学昇格」という案も考えられるのではないだろうか。
◇ ◇ ◇
■どちらにしても、日本が
| 「大量生産労働力」から「少量生産労働力」へシフトしていること |
世界が
| 「肉体的労働」から「知的労働」へシフトしていること |
は見逃せない時代の変化だ。その変化に基づいてどのような人材を多く効率的に育成するか。「日本」という枠内で一蓮托生、呉越同舟でやっていかなければならない以上、大変な問題だ。
◇ ◇ ◇
■実際、雇用が不足する状況がこれからも続くのは目に見えている。そうなれば大学のように企業の「青田買い」が急加速するかもしれない。だが、人材のミスマッチがそれで解決されるわけではない。
もしかしたら、「大学」に進学してその先に進みたいのに機会が少ないために道を閉ざされてしまう高校生が多くいるかもしれない。
もしかしたら、高校で開花しなくても大学生になって芽が出、ある分野において目覚しい才能を見せてくれるかもしれない。
そんな可能性を今の「大学への入学システム」でふるいに落としてしまっていたら誰にとってもマイナスではないのだろうか。
◇ ◇ ◇
■それでなくとも、日本の社会は「一度レールから外れるとなかなか復活するのが難しい」と言われることがある。競争社会という面で考えればあたりまえなのかもしれないが、せめてもう少し
−機会の複数制の導入
−「敗者復活」しやすい制度の導入
−ありあまる選択肢の充実 |
などが必要ではないだろうか。
◇ ◇ ◇
■そうすれば、「学力重視」で底上げされた大勢の子ども達が「年1回の入学機会」に悩まされることなく、
その能力を遺憾なく発揮する場を得、様々な選択肢のなかで豊かな社会を創っていってくれると希望を抱けるではないか(というか、願望(笑)) 。
そうでなくとも、フリーターやニートが「レールから外れた」レッテル扱いされ、結局は雇用問題・労働力問題として社会に跳ね返ってきている。
何かを変えなければならない時期に来ているのではないだろうか。
◇ ◇ ◇
■そして
そんな時代だからチャンスが多いに越したことはないのだ。
※1 夏休みの間も授業が行われ単位を取得することが可能。
※2 なかにはアジア系移民が自らの意志で「浪人」することもあるらしいがレアケースである。
※3 どれだけ学生がトランスファーせずに残っているかをパーセンテージで表しているランキング。
[参考記事・参考放送・参照URL]
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