| §34 国有財産による「マルチクリエイティブエリア」の創出 −都市再生から都市創造へ− (5) |
by 岡部憲治
2006/3/6
■ ITという言葉も日常となり「次はICTやユビキタスだ」と言葉が飛び交う。ITだけでなく、経済・金融の世界もグローバル化が進み、今までの「競争」から質の転換を迫られている。そんな背景もあってか新たなキーワードとして注目されつつあるのが「知識と知恵」だ。要は
「知識を持ち合って知恵を出しあう」
ことなのだろうが少し拍子抜けのようにも感じる。
知識は「knowledge」「知恵」は「wisdom」。同じ「知」が使われているが英語では全然違う。
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■ ナレッジベース(knowledge base)という言葉がある。「知識の集積」即ち「情報の集積」だ。
マーケティングの世界でも「ヒト、モノ、カネ、情報」と言われているくらいだから「知識」=「情報」は重要なのだろう。
身近なところでは、ノーツやサイボウズやデスクネッツなどのソフトがナレッジベースを構築するためのツールとして頭に浮かぶ。つまり、「情報共有」するためのベースがいまやあたりまえとなっているわけだ。
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■ しかし、ウィズダムベース(wisdom base)という言葉は聞いたことがないし、具体的なソフトも浮かばない。ということは、まだ「情報(知識)から 知恵」を搾り出すためのベースがないのかもしれない。
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■ マイクロソフトの会長、ビルゲイツさんが優秀な人材を集まるエリアを「マグネットエリア」と呼んでいるそうだ。また、ロードオブザリングのピータージャクソン監督はニュージーランドにSFXの最先端の会社をつくり優秀な人材を集めた。結果として、その地域に様々なプラスの相乗効果が生まれた。彼はそれを「マグネット効果」と呼んでいるそうだ。
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■ 要は、「優秀な知(知識&知恵)」をもった人材を集めることにより、他の「優秀な知(知識&知恵)」も自然と集まり、マグネットのように吸着効果が表れ、そこから経済や地域の発展に効果があるということだ。
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■ なるほど。そういう意味では、企業や大学による優秀な人材の確保は、地域ではなく組織体による
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「マグネットエリア」ならぬ「マグネットオーガニゼーション」 |
と呼べるかもしれない。その組織体から地域の発展や経済に波及効果があるのだから。
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■ たしかに、そういう「マグネットエリア」や「マグネット効果」のある地域は
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人口増加→少子化に歯止め→税収増加→公共の福祉の充実→高齢化へ対応 |
という流れが描きやすく、アダムスミスがいうところの
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「Truck, Barter, and Exchange」 |
という要素で都市や経済が発展してきた時代とは違い、
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「Knowledge、Wisdom and Communication」 |
という要素で都市や経済が発展していく可能性を秘めている。
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■ ただ、一つだけ「マグネットエリア」や「マグネット効果」に対して疑問が残る。それを一言で言えば
だ。いわゆるコンピュータ用語のそれだ。
要するに、多くの優秀な人材が引っこ抜かれて(あるいは吸着して)一つの場所に集中していくことによってその場所(ペーストされた場所)は繁栄していくだろう。だが、元の場所(カットされた場所)はどうなっていくのか。普通に考えて衰退していくのではないだろうか。
「カット&ペースト」、すなわちペーストされた先(場所)はそれでよいのかもしれないがカットされた元(場所)には何も残らない。
つまるところ、ある都市の交易が栄えて衰退していったように、人が移動することによって
「都市の繁栄と衰退」
が左右されていくのは今も昔も変わらないはずだ。
[参考記事・参考放送・参照URL]
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NEWSWEEK 2005/12/28 2006/01/04 号より
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