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§31 国有財産による「マルチクリエイティブエリア」の創出 −都市再生から都市創造へ− (2)

by 岡部憲治
2006/1/27

■ 最近、北海道のニセコにオーストラリアからのスキー客が急増しているらしい。記事中には

人口1万6000人の地元・倶知安町(くっちゃん)にこの冬は8000人が訪れそうだ。

と書かれてある。2001年に200人程度だったのが2004年には4000人に急増したのだからその数字にも頷ける。
 南半球にあるオーストラリアは今が真夏。グレートバリアリーフに代表されるような「海」のイメージが強い。が、実はスキーヤーやスノーボーダーも多い。そんな彼ら(彼女ら)がなぜニセコを選んだのか。記事中ではツアー企画をしているオーストラリア人の方が

「ニューヨークのテロやイラク戦争の影響で欧米行きが嫌われた」

と語っている。なるほど。それで 近場で時差もなくパウダースノーな場所 「北海道」となるわけか。
 加えて
−昨季から週2回の直行便が就航したこと
−商店街連合会による「外国人客を意識したサービス」が向上したこと

などがうまく連動して脅威の訪問客数増加につながったのだろう。

 実際、オーストラリア人オーナーのホテルやパブもでき、

豪州資本の不動産開発会社(倶知安町)が4棟(計30戸)建てた部屋に台所がついた分譲型コンドミニアムはすぐ完売した。建設中の5階建て(36戸)の物件も1部屋3千万〜6500万円するが、すでに9割が売れ、新たな建設計画もある。

というのだから、ニセコは今ちょっとした不動産バブルだ。
 これはある意味、ビジット ジャパン キャンペーンで「2010年までに1,000万人の訪日外国人誘致」を掲げ観光立国を目指す日本にとって一つの好事例だ。

◇ ◇ ◇

さて、前回の話(§30)に戻るが日本の多くの場所に点在する広大な山林の国有地。「民営化」ということだけを考えて民間に開放すると「乱開発」というリスクを伴う可能性もある。
 だが、「財政建て直し」と「観光立国ジャパン」を一挙に解決する方策があるかもしれない。
そう、つまり、外国人の観光(あるいはアクティビティー・交流)を主体とした「都市創造」だ。国有地の山林地区を使用して

大量雇用の創出(日本人と外国人の両方)
国内での英語(外国語)活用の場の提供
少子化への歯止め
→一家庭あたり2〜3人の子どもを育てることを前提にした居住空間の再設計
文化交流促進による移民政策への試みの土台作り
最先端科学研究から金融まで含めたセグメント別エリアを見渡すトータルエリア創設による
国益有効フロンティアの開発(発見)

という一石三鳥にも四鳥にもなり得る「マルチクリエイティブエリア」を創り出すことが可能になる。

◇ ◇ ◇

■ 今までだと例えばケインズ理論に基づく、公共事業を中心とした需要の拡大による政策で雇用創出や都市整備などを主体に行ってきた。だが、今のような財政体制でなおかつ「小さい政府」を目指すのであれば今後、日本の隅々までそれを成し遂げていくのは難しいだろう。
 そして少子高齢化の問題が深刻なのであれば、子どもたちの教育が長期的には国の財政に関係してくることは必至だ。ならば、

子どもたちにも恩恵のあるスペ−スを鑑みて「国有財産」をどうするか検討していく

のは必然のように感じる。

◇ ◇ ◇

■ 上記に提起した「マルチクリエイティブエリア」では、当然、英語(外国語)を主体としたある意味、「地球村」だ。
 実際、英語を使う機会は日本国内ではそれほど多いとは思えない。だったら、そのような「地球村」でインターンや企業研修をしたり、他国の学生を呼び入れて文化交流をしたり、あるいは年齢を問わない生涯学習の場を提供したり、様々な観点からも有効活用できるはずだ。
 また、単純に「語学」だけでなくそこには「異文化の流入」による新たな生活観・価値観・コミュニティーが形成されてくるのだから、未だ険しいグローバル化への道のりが確かなものになっていくのではないだろうか。

◇ ◇ ◇

■ 立命館アジア太平洋大学では学生の50%が留学生で教員も50% が外国籍だ。そこで刺激される日本の学生は即戦力向きで就職が厳しかった時期でも内定率が非常によかったと聞いたことがある。就職だけが全てとは言わないが少なくとも他国の人々との接点が多いことはメリットになっているのかもしれない。
 また、韓国のソウル近郊には「英語村」があると聞く。そこの村に入ったらすべて英語によるコミュニケーションだ。日常生活が全て英語であるならば自然と身につくのも早いのだろう。

 もし、そのような環境が大学単位や村単位ではなく、一つの都市全体で存在したらどうだろう? もちろん、「日本語禁止」のようなかばかげたルールは必要ない。そこに大勢の外国人の方がいれば自然とそうなっていくのだがら。

◇ ◇ ◇

■ つまり、

「都市再生」ではなく「都市創造」

だ。一時、「首都移転」なども考えられたが結局はポシャッた。現在の「機能が一点集中しているような状態」からいきなり「ジャンプ」は無理だろう。
 だが、考えなくてはならないのは「過去」ではなく「未来」だ。「ジャンプ」させる必要はない。あくまでも広い目で悠然と長期で見守るスタンスのもと「都市創造」をすべきではないのだろうか。

 

[参考記事・参考放送・参照URL]

朝日新聞:「豪からニセコへGO」より

ビジット ジャパン キャンペーン オフィシャルサイト:http://www.vjc.jp/

地球街角アングル 「英語キッズが未来を担う 〜韓国 過熱する英語教育」より:
http://www.nhk.or.jp/angle/blist/050410_1con.html

立命館アジア太平洋大学: http://www.apu.ac.jp/home/

日経ネット関西版:
「国際協力で大学のグローバル化を進める──立命館アジア太平洋大学学長・モンテ カセムさん」より
http://www.nikkei.co.jp/kansai/now/24695.html
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