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§21 熱いぜ、仕事への思い!! − あしたをつかめ平成若者仕事図鑑 −

by 岡部憲治
2005/08/29

■ NHKで放送している「あしたをつかめ平成若者仕事図鑑」という番組がある。いわば「13歳のハローワーク」の詳細版というところだろうか。

◇ ◇ ◇

■ たまたま見た回が「声優」業だった。アニメをよく見るせいか声優さんの名前はそれなりに知っていたが、どのようなシステムかは全く知らなかった。番組中では新人声優さん自身のナレーションにより、どれだけの生き残り競争が行われてるかが具体的に紹介された。

◇ ◇ ◇

■ 鹿野優以さんというその新人声優さんは所属するプロダクションに10倍の競争率を制して契約に至った。しかし、「ジュニア」と呼ばれ2年以内に「モノ」にならなければそこからは先は解雇されてしまう。
 専属のマネージャーさんがつくわけでもないので、複数いるマネージャーさんにまずは名前と顔を覚えてもらうところから始まる。隙を見ては色々なマネージャーさんに挨拶などをしてコミュニケーションを取る。そして単純に"営業"だけではなく、自分のスキルを売り込むために、色々な役柄の声を自分の好きな小説のキャラクターのセリフでテープに吹き込んで、マネージャーさんに聞いてもらう機会を得ようとする。そのチャンスをつかもうとする姿勢たるや脱帽だ。

◇ ◇ ◇

■ 鹿野さんが「声優」を目指したのは、たった一度の一日体験入学で、ある先生に誉められたことだった。中・高校生の頃はどちらかというとおとなしい目立たない感じの学生生活を送っていたということだが、その一言が「きっかけ」となり「声優」という道を選んだのだ。

◇ ◇ ◇

■ 産業革命以降、「労働」は多様に分化した。初期の分化には男女差によるものが多かったが、近年その差は縮まりつつある。つまり「労働種の分化に対する再認識」が必要な時期が到来したのかもしれない。少子化、ニート、労働力の減少など色々なことが問題視されているが、それは既存の

男女差による労働の分化

という視点から完全に脱却できていないことの証でもあるのではないだろうか。

◇ ◇ ◇

■ 実際、「労働力の減少」で想定されている「労働力」には具体的にどのような職種・業種が含まれており、第一次、第二次、第三次産業というカテゴリーで考えればどの分野に大きく影響するのだろうか? 
 数で考えればどの分野も減るという単純な結論に行き着くわけだが、高等教育への進学率がこれだけ伸びているのであれば特定の職種・業種への偏りが出てくることは十分考えられる。
 イギリスや日本の職人不足、そして急速な発展に伴う中国の富裕層や中間層の目指す職種・業種と第一次産業である農民などの貧困層の差を考えればある程度の推測はつくのだが。
 素人なのでわからないが、統計指標であるGDPを効率的に押し上げるための業種・職種とは何なのだろうか?そしてそのGDPに影響を及ぼす業種・職種に偏りがある場合「労働バランス」の均衡はどのように保たれるのだろうか。

◇ ◇ ◇

■ 「萌え市場が888億円」という試算が話題になったが、鹿野さんのような「声優」という職業を目指す人たちの増減傾向はどうなっているのだろうか? 日本の有力なコンテンツ産業を支える一つの職業「声優」を志望する人たちが増えれば、それは単なる「数としての労働力」以上の意味がある。

◇ ◇ ◇

■ よく、雑誌類で「就職したい企業ランキング」「就職に有利な大学」というのは目にする。また、「就職したい職種(職業)ランキング」に関しては「大学生」にアンケートをとった結果というのも見かける。あたりまえだが、「声優」という職業は大学に行っても有利には働かない。つまり、メディアではあまり取りあげられない傾向なのかもしれない。そういう意味でも、学歴枠にとらわれない「年齢別の職種(職業)ランキング」や「地域別の職種(職業)ランキング」というのをもっと特集してほしいものだ(もちろん、あるのだろうけど大学生がらみに比べればまだまだではないだろうか)。

◇ ◇ ◇

■ 「あしたをつかめ平成若者仕事図鑑」では掲示板があって視聴者からの熱い書き込みや悩みなどが載っている。企画時にどのような年齢を対象に想定して作られたかは知らないがそこには小学生から大学生、20代後半までと書き込みは様々だ。とりあげてほしい職業から、将来なりたい職業を表明したり、なかには再放送を望む先生の声まである。

◇ ◇ ◇

■ 「学力低下」・「労働力減少」・「ニート」などのキーワードを日々メディアで目にするが、効率的な解決策は未だ模索の段階にある。
 だが、掲示板のメッセージにあるような「仕事」に対する熱い思いを実は打ちに秘めている子どもたちが多いのであれば、将来のためにも「天職」と思える職を体験できる機会を学校教育のカリキュラムにどのように埋め込むか。これは必須なのではないだろうか。
 日本でもはじまったドイツのデュアルシステムや海外教育ニュースに掲載されているイギリスの試みなどを見るにつけて、「職業」に対する価値観の変容は否めない。

◇ ◇ ◇

■ つまるところ、世間の

−自分の仕事にプライドがもてるか。そして他者もそれを尊重しているか
−単なる「労働力(者)」として扱っていないか(扱われていないか)
−「仕事」というくくりではどのような職業であれ平等とされているか
−職業選択の自由はそこにあるのか

に対する意識の問題ということではないだろうか。
 「大学→企業」という一見、あたりまえな道筋を全面に押し出すのは容易だが、幼稚園児や小学生に「なりたい職業は?」と聞いて「会社員」と答えられることほどがっくりくることはないだろう。
 だが、成長するにつれてそれがあたりまえになっていく。そしてその道からそれたときに電車の分岐路をかえるがごとくスムーズに他の道へ進めるのか。そのようなある意味、

「多様なロードマップ」

を用意してあげること、そして全ての「職業への敬意」をあらためてはらう必要があるのではないだろうか。
 留学時に様々な職業の人々と知り合う機会を得たが誰しもが将来へのチャンスを切望しながらも、今の職業に対するプライドを持っていたことが強く印象に残っている。言葉で伝えるのは難しいが日本のそれとはだいぶ違う印象がある。

◇ ◇ ◇

■ 昔、「お米は一粒も残すんじゃありません。お百姓さんの努力がこもってるんですから。」なんてことを両親に言われていたが、今も存続しているのだろうか?マータイさんの「もったいない」ではないが、

地球にやさしい=人間の存続≠地球の存続

ということなのだから、「職業への敬意」は実は「地球と人間の共存」において非常に重要な意味を持っているのではないだろうか。


PS 
最近、お気に入りの声優さんは藤原啓治さん。「クレヨンしんちゃん」のパパと言えばわかるだろうか。そのイメージが長年定着していたが、「鋼の錬金術師」のヒューズ中佐や、「ハチミツとクローバー」の花本先生、「エウレカセブン」のホランド、「ケロロ軍曹」のナレーターと役柄がまったく違うにもかかわらずその「声の演技」には脱帽。ヽ(´Д`)人(´Д`)人(´Д`)人(´Д`)ノ〜♪

 

[参考記事・参考放送・参照URL]

毎日新聞:「<「萌え」市場>書籍や映像、ゲームで規模888億円に」より

 

 

あしたをつかめ平成若者仕事図鑑 http://www.nhk.or.jp/shigoto/

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