§7 新しい経済の波
−行動経済学・神経経済学・ニューロマーケティング−に見る学習の未来 |
by 岡部憲治
2005/07/06
■ 最近、行動経済学・神経経済学・ニューロマーケティングという言葉を耳にするようになった。経済は合理性が追求されるわけだが実際はそれで全てが解決できるわけではない。だからこそ、上記のような新しい経済学やマーケティングなどが重要視されるのだろう。人間の行動は思ったほど合理的ではないということか。
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■ しかし、行動経済学で「信頼」が重要研究課題というのは個人的にはアダム・スミスの「神の見えざる手」以来のインパクトだ。多くの経済学者、例えば、ケインズ、シュンペーター、ガルブレイズ、ドラッカーなど色々な人が自分なりの理論を構築しているわけだが、もっとも身近なまさか「信頼」が最先端にくるとは。。。
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信頼関係が社会によって異なり、それが経済成長に大きな影響を及ぼす
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なるほど、まぁ、最もな話だ。
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■ 「信頼」といえば、最近、「人を信頼させるホルモン」というのが確認された。脳内ホルモンの一種「オキシトシン」が働いておりそれが「信頼」を促すというものだ。もしかしたら、このオキシトシンの分泌されやすい文化・社会と分泌されにくい文化・社会があるのかもしれない。
おもしろいのはこの確認に用いられた実験と参考記事のNewsweekで紹介されている実験がほぼ同じだということだ。ずばり「投資ゲーム」を行った時の人間の行動に対する反応をみて判断している。あくまでも「勝ち負け」の枠組みのなかでの反応なのだ。つまり、損得勘定のなかで発生する文脈上での「信頼」ということか。
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■ ニューロマーケティングや神経経済学で要となってくるのはfMRI(機能的時期共鳴影像法)を使用した分析で、実験対象者の脳内の反応をみて意思決定プロセスを特定していこうというものだ。
この方法が進歩すれば今までのマーケティング手法が一気に変わる可能性もあるだろう。なぜなら既存のサンプリングではその場での結果を得ることは出来ても未来の行動予測(すなわち意思決定プロセス)はできないのだから。
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■ いろいろ試した結果で、意思決定後の反応で
−男性の脳は決断後小休止し、相手の判断を待つ
−女性の脳では腹側線条体、前頭前野の一部、尾状核という3つの領域が活動しつづける |
ということがわかった。反応している領域で考えると男性より女性の方が相手の反応を気にする傾向があるらしい。
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■ マーケティング理論であたりまえとなっているフィリップ・コトラーの「コトラーのマーケティングマネジメント 基本編」ではブランディングすなわちブランド戦略が語られているわけだが、とりわけブランドには6つの意味があると述べられている。
1)属性
2)ベネフィット
3)価値
4)文化
5)パーソナリティ
6)ユーザー |
1)〜5)をよく考えて6)のユーザーに訴えかけるというものだが、最近のfMRIの実験結果で
| ブランドへの執着心が自我に関連する領域の内側前頭前野に強く反応が現れることがわかった |
という事実は内側前頭前野に作用する意思決定プロセスを特定する方がマーケティング手法による分析よりもハズレの率を低くするかもしれない。つまり、1)〜5)の決定に要する時間よりサンプルユーザーの内側前頭前野の反応を見たほうが効率的で正確な判断が可能になるということだ。
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■ 海馬などの記憶系機能や脳内化学物質についての脳研究はだいぶ進んできた。様々な状況下でどのような脳内物質が多くなったり少なくなったりするのかを知ることは重要だ。しかし、あくまで「今・ここ」であり「未来」の意思決定プロセスの特定には至らない。そう考えるとfMRIを使用した脳科学の研究は次の段階に進んでいるのかもしれない。
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■ さて、世の記事を見てみると経済・医療という枠組みで語られていることが多いわけだが、これが「学習」というフィールドで考えるとどうなるのであろう?考えてみれば、学校では必ず定期的に健康診断がある。もしかしたら心理テストによる心の健康診断などというものもあるかもしれない。しかし、脳はどうだろうか?
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■ 脳になんらかの障害があるかないか、すなわち健康かどうかという視点ではなく、
という視点で個人差が出で来る可能性もあるかもしれない。仮に入学前にその診断(判定)を生徒全員が行ったら脳差によるクラス編成なども考えられる(意思決定プロセスの差を調整するものとして)。そしてクラスとは一つの集団であり相互作用を促す仕掛けが最初からあれば、ある程度の意思決定プロセスの傾向がわかっているだけにコミュニケーション力を高めやすく相乗効果もうみやすい。
また、先述したように男女の脳では意思決定後の反応が違うようだ。ということは男子だけのクラス、女子だけのクラス、男女混合のクラスではコミュニケーション力の相乗効果に差が出てくるかもしれない。つまり男子校、女子校、共学校では個々生徒の脳差を活かしたクラス編成がより明確に可能になるということだ。
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■ どちらにしても成長段階にある十代の脳内の神経回路をどのように発達させるか。これは学校という機関にとって大きな命題の一つとなるかもしれない。
「何、わけのわからんことを考えているんだ、こいつ。」と思われるかもしれないが、昔はSFの世界だったテレビ電話が今はあたりまえとなっているわけだし、ほんの10年前、20年前ではあり得なかった世界が実際におとずれていることを考えれば
の未来の姿の一つとして、脳の神経回路の定期的発達測定があり得なくもないとも感じる。
とにもかくにも、ニューロサイエンスは学習というフィールドにとって今後も目が離せない分野の一つである。
[参考記事・参考放送・参照URL]
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読売新聞「「人を信頼させるホルモン」確認」より |
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Newsweek 「脳科学がビジネスを変える」より |
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