| §5 ドラゴンと言えば。。。「桜」? それとも 「タイガー」? |
by 岡部憲治
2005/06/27
■ 今回は「タイガー」ということで。(笑
ミーハーな私は、思いっきりはまってしまった。クドカンこと宮藤官九郎さんの脚本ドラマといえば、IWGP(池袋ウエストゲートパーク)からぞっこんだ。よく深夜で再放送している時があったがよせばいいのに見てしまう。まったくもって自制がきかない (- -;)。
興味深かったのはオリコンのインターネット調査で、4月スタートのドラマのなかで中高生〜大学生の学生層での「満足度」1位が「タイガー&ドラゴン」だったことだ。
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■ ドラマの柱は「落語」だ。古典落語とドラマのなかの日常でおきる出来事をシンクロさせてるところに面白みがあり、まさに「脚本」の腕のみせどころな内容だ。学生層では毎回の古典落語の「演目」に新鮮味を感じ、なおかつ落語の知識を得ることができる一石二鳥なところに人気があるようだ。
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■ この人気もあってか地方の学校から東京への修学旅行のコースに寄席が入っていることが多くなっているとか。もっとも「アレグリア」のときに「モームスはいつ出てくるの?」みたいに「長瀬さんはいつ出てくるの?」ということもありそうだが(笑。
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■ それはさておきある友人のまわりのOLさんの反応。
「あのドラマ、頭使うから疲れちゃうんですよねー。」と返答されることもあり意外に話題共有ができなかったそうだ。なるほど。確かに、きちんと「落語」の肝を理解しないとまったく面白味がなくなる。つまり、「オチ(下げ)」が理解できない時点でアウトなのだ。そういう意味では話を集中して聞いてないと途中で振り落とされてしまう。もっとも、そうさせないようなクドカンさんの脚本と金子さんの演出があるわけだが。
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■ 最新のオリコンによる満足度調査では、学生層に限らず結局「タイガー&ドラゴン」が一位を獲得した。
文章は読み返すことはできても、ドラマはそうはいかない(もちろん、録画して見直すこともできるだろうが、最初に見て感動したほどの新鮮さはないのではないか)。ならば一つ一つのセリフをその場で理解し前後の文脈をしっかりとつなぐ。しかも時代劇場面と現代劇場面がさらっと「つなぎ」されるわけだから、これはなおさら振り落とされないように食い入るように見る。
個人的には、この脚本・演出・演技と視聴者のぶつかりあいが楽しいと感じるが。満足度一位を獲得したということは大多数の視聴者に何がしか訴えかけるものがあったのは言うまでもない。
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■ で、少し落語を聞いてみようと思い、出張時の飛行機の中で「落語」の収録番組を音声で聞いた。そのときは今年、バンコクで行われた「ANA落語 2005」で桂楽珍さんと桂文珍さんの話であった。
「ぎゃはははは」と度々、声をだして笑ってしまい、まわりの乗客の方からは「なに?この人?あやしい。。。」と思われてしまったことだろう。でも、いいのだ、そんなことは。おもしろすぎだ。特に文珍さんの演目「老婆の休日」は「なんでこんな話をつくれるんだろう?」とあらためて「噺家」さんのすごさを目の当たりにした。
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■ 「老婆の休日」のなかで電話の話題がでてきた。昔のダイヤル式の黒電話からプッシュホン、携帯と進化してきたわけだが、今の子どもたちがダイヤル式の黒電話のかけ方がわからずに各々の番号の穴をプッシュホンのように押してしまうというのだ。なるほど。確かに生まれたときからプッシュホンしかなかったら、「ジィーゴロ、ジィーゴロ」なんて擬音も連想できないだろうし、ましてや「まわす」などという行為も想像できないかもしれない。
では、未来の子ども達はどうなのだろう?携帯があたりまえになっている現在から推測して、もしかしたらタッチパネル式や音声命令だけで電話がかけられるようになって、番号ボタンを押すという行為が古くなっていることだって十分ありえる。すると「老婆の休日」で語られている日常話と同様のことが起こるわけだ。
その時々の事・物が色々なギャップを生じていることを噺家さんは鋭く捉えている。つまり、時代をどう捉えるかだ。もし、自分の時代を基準としそれが唯一無二としてしまえば面白い視点はもてないだろうし、噺家さんの話に共感を覚えることもできないかもしれない。
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■ 落語というプレゼンテーションはその共感を日常のネタに見出し、いかに聴衆に感情移入させてその世界に引き込むかという一つのテクニックの総称だ。様々な技術が必要となる。わかりやすいところでは観客との間(ま)であったり、扇子をつかった様々な形容などだろう。
すなわちプレゼンテーションという視点で考えれば、相手を自分の世界に引き込む落語は日本式プレゼンテーションの最たるものかもしれない。聴衆の反応はわかりやすく力量のない人や調子の悪い人などはすぐにそっぽを向かれかねない真剣勝負だ。
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■ 今、プレゼンテーション能力が企業や教育の世界でも重要視されているわけだが、基本的には口頭によるスピーチであったり、パワーポイントを使用したスピーチであったりと様々だ。
だが、特にパワポに関してはどうも「レジュメ」的な使用があたりまえとなっている気がする。用途と目的によるのだろうが、印刷したパワーポイントの画面とプレゼンで使用しているパワーポイントの画面がまったく同じでは、聴衆はその資料をみてればいいわけだからプレゼンテーションをする人も画面も見る必要がない。だから下を向いている人が多い。いわば世界に引き込まれないわけだ。
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■ 企業の場合、製品やサービスに対する説明的要素が多い場合もあるので、後で読み返したときに全く同様のものを使用したとしてもいいのだろう。しかし、それとは意図が違うプレゼンテーションでは、「資料は資料、プレゼンはプレゼン」と分けるほうが聴衆を自分の世界に引き込みやすいのではないだろうか。
同じものでもパワポと同時進行か後で配るという手もある。つまり、先に配ってしまっては「落語」でいうところの「オチ(下げ)」が含まれてしまってるのでネタバレ状態なわけだ。その状態で聴衆を引き込もうとするには相当の話術が必要になってくるのではないだろうか。
プレゼンテーションはやはりストーリー性が必要であり、その要となるオチをどこで仕込んでおくかがほんとの「スキル」なのかもしれない。
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■ だいぶ昔だが、桂ざこばさんと笑福亭鶴瓶さんによる「ざこば・鶴瓶らくごのご」という即興落語(三題噺)の対決の番組があった。会場の5人のお客さんからキーワードをそれぞれ言ってもらい、それらを含んだ即興の話を作ってちゃんとオチまでつけるという企画だ。
話をうまく作ろうとする姿勢とそれを一言一句「どうだ?うまくできるのか?」というわくわく感で聞き入る観客。毎回、話が上手くまとまるというわけではなかったが、臨機応変、アドリブきかせて話をオチまで持っていくところは見事としか言いようがなかった。
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■ つまり、聴衆を魅了するプレゼンテーションを成功させるためには
が重要な要素として必要なのかもしれない。いわゆる「構成力」だ。
■ それにしても放送終了は名残惜しいが、落語の世界に興味を持たせていただいた事には感謝感謝だ。先の落語は音声で聞いたわけだが、やはりこれは一度本当の寄席に行くしかないだろうと考えるこの頃だ。楽しみでしょうがない。
[参考記事・参考放送・参照URL]
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オリコン「学生にも人気の高い『タイガー&ドラゴン』『離婚弁護士2』」より
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オリコン「クドカン強し!! ドラマ中間満足度『タイガー&ドラゴン』が1位!」より
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