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§2 ネオ理系 −きっかけは〜♪ なんなんでしょう?−

by 岡部憲治
2005/06/17

■ 先日の日本経済新聞で「ネオ理系」についての記事が掲載されていた。要するに日本の学生の「科学離れ」はその学習プロセスに問題があって本当に「科学」が嫌いというわけではないという内容だ(個人的解釈だが)。

◇ ◇ ◇

■ 学研の「科学(付録付き)」を毎月楽しみにし、電子ブロックで色々な回路をマニュアル本片手に組み立てていた私はまったくもってその通りだと感じる。嘘発見器や雨だれの音、お風呂の水の感知などただブロックを組みかえるだけで色々できることが楽しくて楽しくて仕方がなかった。
 最近発売されている「大人の科学」も置く場所さえ確保できれば全部取り揃えたいくらいだ。また現在発刊されている「大人の科学マガジン」シリーズ、「科学のタマゴ」やその他の「興味・好奇心」をそそる内容の刊行物などは30代の私には懐かしさとわくわく感を思い起こさせる。

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■ 物事なんでもそうだが、入り口で躓くかどうかがその後を左右する。中学時代に囲碁がおもしろそうだと思って入門書を買ってチャレンジしたがダメだった。碁会所や囲碁教室などに行けばすんなりできたのかもしれないが行かずに終わった。その後20年も時が過ぎてからゲームボーイアドバンス用ソフトの「ヒカルの碁」(コナミ)に出会った。これはとてもわかりやすくて入門ソフトとしては私にはぴったりだった。もちろん、今でも下手くそで棋力など計れないほど低いのであるがそれでもオンラインで誰とも知らぬ相手と対戦してチャットして教えてもらったりする。きっかけとしては最高だった。

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■ 先の記事のなかで

無味乾燥な理科や数学の授業を受け、理科嫌い、数学嫌いになっていた文系人間

と表現されていたような私は文系人間だ。しかし前職のシステムエンジニアのチームでは8割が文系出身者だった。色々と聞いてみるとやっぱり「サーバーをいじるのが好き。分解して組み立てるのが好き。OSをオプティマイズする(ハックする)のが好き」など行き着く先は結局「興味・好奇心」なのだ。

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■ 世界最大の科学コンテスト(オリンピック)と言われるISEF(International Science and Engineering Fair(※) )で、個人部門で八千代松陰高3年生の石川美穂さん(17)が「インテル財団優秀賞」を受賞し、団体部門でも「段差を上りやすい電動車いすの研究」「燃料電池の研究」「海洋深層水を使用した栽培法の研究」などで日本の学生団体(チーム)が受賞した。
 「科学離れ」と言われているにも関わらず、すごいなと感心してしまった。

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■ 上記の研究内容などは環境や少子高齢化などの問題に直結しているものが多く、私が高校時代にこんなことを調べたりリサーチしたりすることはとても無理だったろう。もし今、高校生だったらすごく色々なことを試してみたい。なぜならツールと情報が昔に比べてはるかに豊富だからだ。4、5年前にインテルが発売したUSB経由でPCにつなげる電子顕微鏡(確か1万5000円程度だったような)や天体望遠鏡、最近は2足歩行型ロボットの組み立てキットも発売されている。変わったところではアントクアリウムというアリの巣観察キットや手作り木綿豆腐キットなんていうのもある。自分の興味をサポートしてくれるツールや情報がどんどん道を広げてくれるのだ。

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「未来を創る学校」の執筆にあたり取材したイギリスはLondon University のアリソン教授の話やAERAの「エリート教育最前線」の記事を読んで思うに、英米でも理系の学生の確保が大変なようだ。特にアメリカはテロ以降、ビザの審査が厳しくなり大学院への外国人の出願数が激減した。また、国内の学生はビジネスや法律などの専攻に進みがちで、仮に理系分野を学んだとしても金融系の職に就いてしまったり、自分で起業してIT系の分野にいってしまうことが多い。

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■ つまり、科学者、研究者が絶対的に不足しているのだ。国の財産になりうる基礎研究の数が減れば打撃になることは間違いない。やはり最後は「人が財産」なのだ。だが、最近日本でも言われはじめた「ポストドクター」は財産である人をどのように活かすかというところで問題を投げかけている。
 アメリカではたしか「オーバードクター」と表現されていたような記憶がある。大学の掲示板に「チューター(家庭教師)やります」のチラシがそこらじゅうに貼ってあった。そこに理系の「マスター(修士)」や「ドクター(博士)」をもっているとアピールしている人の数が多かったことを覚えている。10年以上前でその状況なのだから、なるほど、アメリカ国内の学生で理系の「ドクター(博士)」になる人数は減っていったのかもしれない。だからこそ海外からの「ドクター(博士)」候補となる学生がそれを補う形で必要不可欠なものとなっていったとも考えられる。
 かなり前だがCBSでアメリカで医師免許をとったインド人の留学生がそのままアメリカの田舎で開業するというニュースを見た。要は国内の医師が田舎の医師になりたがらないので、そのようなことが起こり増えつつあるという話だった。
 アメリカならば移民政策を行っているので海外からの人材で容易に補うことが可能だが日本はそうはいかない。ということは、今の「ポストドクター」状態からどんどん科学者、研究者を目指す学生が減りつづけてしまうという事態が起こる可能性もある。そういう意味では受け皿となるシステムを充実させることが必要になってくるだろう。

◇ ◇ ◇

■ ただ、システムを充実させても「科学離れ」の傾向が減少しなければ意味がない。では、その成り手となる人材の裾野をどこで広げるのだろうか。
 やっぱり、「興味・好奇心」を育てるしかないのだろう。
 そしてそれを育てるには「入り口」をどのように工夫するかが最重要なのではないだろうか。今はツールも情報も充実している。そしてそれを活かせる人もいる。個人的にはでんじろう先生のサイエンスショーで科学に興味をもってその道に進んでいけたら最高に幸せだったろうなぁと今の子どもたちをうらやましくも思う。

◇ ◇ ◇

■ ツールの一つとしてマルチメディア教材のCD-ROMベースのソフトやTVの教育番組が席巻してきたが今となってはかなり慣れてしまった感がある。そんなこともあってか、最近のHMD (ヘッドマウントディスプレイ)を使用した「画面の外へ」というコンセプトで進められている次世代マルチメディア教材の取り組みは「入り口」としての入りやすさと「興味・好奇心」をいかにうまく引き出すかに重点が置かれている。
 「画面の外へ」ということは「教室の外へ」ということに繋がり、それが学校外の社会の中でのフィールドワークへと導かれるのだろう。ハードとしてのモバイルマルチデバイス、ソフトとしてのマルチメディアソフトを駆使した「社会が学びの場」という方向に向かっているのかもしれない。

 好きこそモノの上手なれ

この名言は真理だなぁとつくづく感じる。

 

参照 URLの 高校生"科学技術"チャレンジ のページでは「国際学生科学技術博覧会」と訳され、日本学生科学賞 のページでは「国際学生科学フェア」と訳されている。

 

[参考記事・参考放送・参照URL]
日本経済新聞 「はやりを読む ネオ理系」より
読売新聞「千葉の高3・石川美穂さん、世界科学コンテストで入賞」より
朝日新聞「高校生の科学五輪、日本勢が入賞 電動車いす研究など」より
Newsweek 2004 11 24 「アメリカの大学 人気凋落の理由」より
AERA 2005 5 16 「エリート教育最前線」より

大人の科学マガジン http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/magazine/index.html
科学のタマゴ http://kids.gakken.co.jp/kagaku/tamago/01/honshi01.html
高校生"科学技術"チャレンジ http://www.asahi.com/ad/clients/05jsec/top.html
日本学生科学賞 http://event.yomiuri.co.jp/2004/science_48th/top.htm
IT Media News 「マルチメディア教材は"画面の外"へ―歴史と現在をつなぐHMD」より
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0504/04/news033.html
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