| §4 文字×互換×読解力!? -- フィードバック from Finland -- |
by 岡部憲治
2005/05/23
■ ではPISAでいうところの読解力(読解リテラシー)とは何なのか。これはホンマノオトでも触れられていたTVの「字幕」に関する記述にもヒントがある。
フィンランドで放送されている番組は英米からの輸入物が多く吹き替えなしで放送されている。「英語」の番組に関して「フィンランド語」の字幕がついている。小さい頃からこの環境で育てば否が応にも「文字を追う」という習慣がつくうえに英語とフィンランド語の互換認識力も高まってくるだろう。
最初は字幕を追うのに必死でついていくことになるかもしれないが、慣れてしまったらあとはその習慣化した「文字を追う」という脳の回路をたやさぬようテレビの番組を見つづければそれだけでトレーニングになってしまうのである。第二言語としての英語の習得(読み書き含)はフィンランド語の文字=英語の音声が訓練されているのだから意外にたやすいのかもしれない。そして、なんといっても「アルファベット」という互換性もあるのだから。
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■ 26文字のアルファベットで形成されている英語と29文字のアルファベットで形成されているフィンランド語で、「一単語の文字数が比較的少ない英単語」と「自国の文字数の多い一単語」をイコールで結びつけていくのだからこれは覚えやすい。余談だがフィンランドのデパートやファーストフードの店員は胸に複数の国旗のバッジをつけていて「私は(その言語を)話すことができますよ」という証となっている。4つ、5つのバッジをつけている店員の多かったことには驚かされた。このことが単純に第二言語習得率の目安になるというわけではないが、そういう人が多かったのも事実だ。
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■ 日本の場合、英米の番組の輸入量はフィンランドに比べて少ないことと字幕ではなく吹き替えが多いのでトレーニング量では比較にならない。また吹き替えなしで日本語の字幕だった場合でもフィンランド語の字幕ほどの効果はないのではなかろうか。なぜなら、単純、アルファベットでもなく音声互換もないのだから(外来語を除いて)。ホンマノオトで書かれている kissa の例でいけば、英語−フィンランド語間では
ということだ。 a というアルファベットに互換性があり「a= ア(正確にはカタカナのアではないのだが)」という音声互換もあるわけだ。しかし、英語−日本語間では
であり、なんの互換性もない。
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■ 要するに、表意文字でもなく英語と比べても一単語の文字数が多いフィンランド語は、時間単位あたりの視覚情報(文字情報)の取得量が多いことから脳内での情報処理速度が鍛えられるのかもしれない。ある意味、速読力の向上だ。加えて、異言語間での翻訳能力も同時に鍛えられているのだから速読力以外のところでも「脳力」がトレーニングされている可能性もある(もちろん素人考えだが)。
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■ さらにつっこんで考えてみたのだが、訪問したルソー高等学校のリーフレットは見開きの左ページがフィンランド語で右ページが英語であった。
"ん? 待てよ? きっちり収まっているぞ。 フィンランド語が一単語の文字数が多いのはわかったがその計算でいったら、こんなにバランスよくきっちりおさまるか?"
ふと疑問がわいた。
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■ 「ようこそ ルソー高等学校へ」と出だしの段落は左右ページとも9行できっちりおさまっている。
次の段落は「ルソー高等学校の歴史」についてで、左ページのフィンランド語では18行、右ページの英語では19行。その次の「生徒たち」についての段落では左ページのフィンランド語で18行、右ページの英語では20行。段落レベルではほぼ同じ行数だ。
さらに、最初の段落「ようこそ ルソー高等学校へ」を両ページの文字数と単語数をカウントしてみた。フィンランド語は文字数が339で単語数は37。英語は文字数が296で単語数は55だった。
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■ ヘルシンキ大学の言語センター(University of Helsinki Language Centre)
(http://donnerwetter.kielikeskus.helsinki.fi/FinnishForForeigners/parts-index.htm)が公開しているフィンランド語の会話学習サイトのページも見渡してみたが、どうやら英語と比較するとだいたい同じスペースでおさまっている。
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■ つまり、「一単語の文字数は多いのだが、文章構造というか文法でいけば単語数は少なくてすむ」ということにやっと気がついた。少し調べてみると、形容詞や数詞の「格」や動詞の人称変化という特徴から他言語(ここでは英語)に比べて単語数が少なくて済むのかもしれない(これも素人考えだが)。
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■ ということは、一単語の文字数が抜群に長くて字幕を追うにも苦労する最初の難関をのり越えてしまえば、他言語と比較した時に相対的に短い時間のなかでコミュニケーション(文字による情報方取得)ができてしまうということなのだ。言い換えれば「文字情報の多さ+端的な文章構造」ということから、
脳内の情報処理量が
では他言語より量が多く、
では他言語より少なく済むわけだから、
としては抜群に早いわけだ。
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■ PISAでのフィンランド上位に言語的特徴が少しは関係あるかもしれないと妙に納得してしまった。
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