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by 岩辺みどり (写真・文)
2005/05/18
■ 職人さん不足
イギリスの高等教育の進学率は、ここ20年で飛躍的に伸びました(詳しくは§1参照)。ですが、教育改革でうまく行っているように見えるイギリス教育に不満を抱いている学生も多くいるようです。
| エリザベス |
「大学に行くことと教育は大事だと人々が信じているのよね。」 |
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| ニコラス |
「政府にとっての大事な宣伝材料だろうね。でも、もしかしたら職業訓練の方が向いていたかもしれない生徒にまで、学校が学問的資格を取らせようと押している結果だと思うよ。」
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| クリス |
「職業教育が足りてないと思うよ。」
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| ギャビン |
「早くから刷り込まれてることが大事なんじゃないかな。仕事を得る為の道だと思われてるし。」 |
高等教育でも大学などアカデミックな教育への進学を重視して改革してきたイギリス。これまで労働者階級を中心に行われてきた職業訓練教育を軽視してしまったがために、あらゆる分野で慢性的な職人不足が問題になっています。水道管工、大工、修理工など、とにかく鍛錬された技と経験が必要な職業分野に就く人々が減り、「築100年以上の家が常識のイギリスになのに、修理を頼めば1ヶ月待ち!」「どうせ電話して修理を頼んでも、修理やさんは忙しくていつもいないわ。」というのが、主婦達の嘆きなのです。その結果、「職人はいまや大学卒の会社勤めより高給取り」と評判もあるくらいです。これでは、「良い給料の為のよい教育」も本末転倒です。
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学歴あっても仕事がこない
世界的にも有名なトップレベルの大学がいくつもあるイギリスですが、もちろん学歴社会はここにも存在します。就職の際に重要になるのが、卒業時に取るGrade(グレード)と呼ばれる成績で、上から1st,2-1,2-2,3と評価がつきます。在学時の定期試験の結果と卒業試験時の結果から成績が決まる為、1stを取るためには、授業への出席はもちろんのこと、課題提出、発言など授業への積極性など大学入学から卒業まで継続した努力が必要となります。これまでは、大学名以上にこのGradeが重視されてきた為、1st を取れば就職先もすぐ決まるといわれ、そのために学生達は一生懸命勉強してきました。イギリスで話を聞いた人々から「いまやもう、『誰もが大学』の時代だから。」という言葉をよく聞きました。「この『誰もが大学』になってくると、学歴だけでは就職も決まらず、それに加えて経験重視の傾向も加わってきた。」と学生達はなげきます。現実には、課題が多く出され、授業の予習復習など勉強も厳しい在学中、一生懸命1stに向けて勉強していた学生に、インターンや仕事をする余裕はありません。実際に学生や卒業生にインタビューして見えてきたのは、『失業率』にはあらわれてこない、「一時的雇用」でしのいでいる若者の多いこと。
経験重視な以上、新卒者に良い仕事はなかなか決まらず、3ヶ月から2年程度のフルタイムではあっても、雇用期間の短い一時的な給料も少なく、あまり経験も問われない日本ならばアルバイト的な仕事について、それを糧に次の仕事を探す、という若者ばかりでした。
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■ シニカルさもイギリス流
高等教育進学率アップのために万進していくイギリス社会を、こんな風に表現した若者がいました。
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クリス
「過去40年間、この国の政府は大学以外の職業教育などの高等教育を作るのに失敗してきている。技術のない十代の若者の驚くべき数に対してはなにもできずに、政府は彼らを職業安定所の行列に並ばせているだけなんだ。そうじゃなければ、とりあえず大学に4年間送ってみる。政府の今の目標は新しい世代の50%を大学に進学させること。でも、この50%って実は、GCSEの5教科でCレベルかそれ以下をとった生徒の割合と同じで、しかも『新しい世代』ってこの子達のことなんだよね〜。」 |
これから更に進学率を上げたいイギリス、国の教育改革を進める政府と当の生徒達、その思いは通じてるのでしょうか。
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