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ホーム教育リサーチ:入試関連2008年入試問題にみる学び(6)


2008年入試特集:入試問題にみる学び(6)
開成:算数の問題から見えるコト
2008年4月3日
by 山澤 亞也

■ 数字の世界では1より2が大きくて、3はもっと大きい数字。では、りんご2つとみかん2つは同じだろうか。小学生は数というものをどうやって理解しているのだろう。開成中学校の算数には、計算するだけに留まらない問題が出題されていた。大問1の問いがそれである。

■ 与えられるのは面積が27 cm2,9 cm2,3 cm2,1 cm2の4個の円。「円周が,互いに触れることのないように4個すべてを並べ,その並べ方によって,次のような計算を行ないます」とあり、問題文の下には並べ方と計算例が3種類示されている。問題は以下の2つ。

(1) 並べ方によって,計算の結果はどのような値をとることができますか。値の大きい順にすべて答えなさい。
(2) 計算の結果が20になる並べ方を解答用紙の解答欄にすべてかきなさい。ただし,円と円が互いに外側にあるか内側にあるかが同じ並べ方は,1つの並べ方とします。円は大小関係がはっきりわかるようにかいてあれば,コンパスを用いなくても構いません。

解答欄には面積が27cm2の円が既にかかれている。問題文と3つの例から引き出せるルールは2つ。円周が触れることのないように4個すべての円を並べること。そして内側に入ったら引き算にすること。

■ 計算自体はかっこを含む足し算と引き算のみである。解法は大きく二種類。計算式から考える場合と、円を描いていくことで考える場合。いずれにせよ地道にパターンを考えていけば解答を導くことは十分可能。ただし、この問いのポイントはどちらか片方で考えただけでは十分な解答とならない点である。

■ 27+{9-(3+1)}=32という計算は、しっかりと基礎を勉強してきていれば解くことは容易い問題である。計算式から考えていくのであれば、式を立て、その式を大小の円で図式化することが必要になる。一方、円から考えていくならば、描いた円を計算式に置き換えなければならない。つまり、この問いにこたえるためには、数字と円(図式)と両方の思考を自由に行き来する力が必要とされているといえる。

■ これは、概念として記憶している「数字」について改めて見つめなおすことができる問いではないだろうか。この問いに触れることで、身の回りの丸いものすべてを数と結びつけて考えることができるようになるかもしれない。あるいは円でなくても、「数字」というのは数を表すために用いる記号でしかなく、数字と物とは必ずしも一対一で対応するものではない、ということを思考するきっかけとなるかもしれない。

■ 数字と円(図式)の両方を自由に行き来する力を問う、それはまさに、『学問するには記憶力と思考力とは両方とも欠くことのできない要素』とする開成中学校の教育理念の表れではないだろうか。確かな記憶力と、それらに向き合っていく思考力。子どもたちを『学問』に誘う契機が今年もやってきた。


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