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ホーム教育リサーチ:入試関連2008年入試問題にみる学び(1)


2008年入試特集:入試問題にみる学び(1)
女子学院:算数の問題から見えるコト
2008年3月3日
by 麻生 偉宏

■ 「こうすれば、あ、いや無理だ。でも・・・」部屋を片付けているとき、買い物に行ったとき、様々なタイミングに私たちは「物が容器に入らない」体験をする。その度に試行錯誤を重ねることは、自らの思考と体験を結び付けながら問題解決に取り組むことに通じる。女子学院中学校の算数の入試問題には、まさにそれを問う問題がある。

■ 問6がそれだ。「底面は1つの角が直角である二等辺三角形で、一番長い辺の長さは20cmである。側面のうち2つは正方形である」三角柱を、一辺が15cmの立方体の箱に入れたとき、ふたをしっかり閉めることが「できる」か「できない」かを記し、その理由を答える問題。

■ 三角形が成立する条件として、一番長い辺の長さが、その他の2辺の長さの和よりも小さくなることが挙げられる。この知識を用いて問題を解いていく場合は、さらにリード文で与えられた「一番長い辺の長さ」や、ひとつ前の問題で求めた「底面積」などの情報をもとに、解釈や推論を重ねることになる。三角柱を縦に入れるのか、横に入れるのか、あるいは斜めに入れるのか。数式や論理が空間を溶かす瞬間だ。自らの立てた仮説を検証し、さらにそれを自分の言葉を用いて示さなければならないこの問題は、ひとえに「算数」という教科の枠からのみ捉えられるものではない。

■ 三角柱を分解すれば、箱にすっきり収まるかもしれない。そう考えれば、ひとつ前の問題で求めた「底面積」に関する情報を、「体積」を導く形で活用することができる。また、固定概念に捕われずに答えを出すこともできる。例えば、リード文には「箱が何でできているか」指定されていない。箱の素材に着目すれば、何らかの方法で箱そのものを変形させることで「できる」という答えを導き出せる。子どもたちの視点を変え、芽生える発想によって全く異なる解法を生み出すことのできる問題であるといえる。

■ 子どもたちが与えられた情報をもとに、「できる」あるいは「できない」という自らの仮説を論理的に組み立てるところに、この問題を出した女子学院の狙いがあるのかもしれない。もし明確な結論に至らなかった場合でも、思考の過程を記すことができるため、子どもたち一人ひとりの考えたことは確実に採点者に通じる。「自らの責任と判断を重んじ、ひとりひとりの個性を大切にする」教育理念がうかがえるばかりでなく、ここには自らの思考を伝える大切さも示されているのだろう。入試という現実と自らの思考を結び付け、JG生として生きる自らの『未知の課題』に立ち向かう子どもたちの姿が、今年もまた女子学院の門を叩く。


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