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入試問題にみる学び(10)
武蔵中学校:社会・理科の問題から見えるコト
2007年2月6日
by 山澤 亞也

■ 入試問題には、その学校が求め、育てようとする生徒の姿が浮かび上がる。今回は「自ら調べ自ら考える力ある人物」を三理想の一つとして掲げる武蔵中学校の社会・理科の問題を見てみよう。

■ 問題はほとんどが記述式で、なぜ、どうして、と理由を説明させる問題ばかりが並ぶ。当然インプットしてきた知識をアウトプットするだけでは解答欄は埋まらない。理由を問いつづける問題文と大きな解答欄は、思考の過程を表現すること、理由付けすること、そして何よりも「自ら考える」ことを求めている。

■ それが顕著に見えたのが大問4だ。今年は受験生全員に3つの部品からなる金具が配られた。問題1は「分解してから、組み立てなおしなさい。この作業で、各部分の動きについて気がついたことを書きなさい。」というもの。問題2では問題1で気付いたことをもとに、どのようなことに使うと便利だと思うかを理由と共に答えさせる。

■ 生徒たちは試験中、手元にあるモノとひたすら向き合い、分解して組み立てるという試行錯誤の過程で、調べ、考える。それまでの人生で積み重ねてきた知識や経験を再構築し、表現することが求められる。昨今では、絵やグラフを多用する学校が増えてきたが、実際にモノを配るのはおそらく武蔵中学校だけだろう。

■ 触って、動かして。絵から想像するのと実際にモノを触るのとで何が違ってくるのか。感触や肌触り、温度や素材など、単純に情報量の問題ではない。モノと触れ合う一人ひとりの手は、一人ひとりに少しずつ違った感覚を与え、気付きをもたらすだろう。そしてまた、金具の用途を考えるとき再びモノに戻り、新しい何かを見いだすのだ。

■ モノを配り、触らせるというこの独特の試験は、武蔵中学校が、実物に触れて得た自分なりの気付きや独自の視点を何よりも重視することを示している。答えがない問いかけに対してどうアプローチするのか。同校は多様なものに興味を持ち、それについて自ら調べ自ら考えるような知的好奇心溢れる生徒を求めている。それも、インターネットや本だけでなく、自らの体や感性を全開に働かせ、自分なりの情報を得ようとする生徒を。

■ 武蔵中学校に入学した生徒には、身の回りの世界という無限の学習空間が広がっている。


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