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■ 「創造なき伝統は空虚であり、伝統なき創造もまた空虚である」。積み重ねられた伝統と誇りが、開成中学校・算数の入試問題に深みを与えている。
■ 問1をみてみよう。長方形のまわりを直角三角形ABCが回転していく問題で、回転する際の条件が示されるとともに、最初の形が図示されている。(1)では、その図に「この回転を通して、三角形ABCが動いた部分を斜線で示しなさい」という問いが出されている。
■ 開成中学校の算数では式や図や計算なども全て解答用紙に記入させるが、これは「思考プロセスを見る」という学校の意思表示に他ならない。では、さらに「図に書かせる」形で問題を出す意図はどこにあるのだろうか。
■ 回転する三角形ABCの軌跡を、子どもたちは示された図を使いながら想像し、実際に書いて確かめる。推論したことをアウトプットする作業が、問いに答えることによって確実になされる。子どもたちに自らの推論を確かめるプロセスそのものを与える、これも発問の意図するところだろう。しかし、それだけではない。
■ 子どもたちは、パタンパタンと回転していく三角形ABCの向きを順々に考えなければならない。さらに、その軌跡を図に示さねばならない。三角形ABCを様々な視点から捉えることと、そこに論理的なつながりを与えることが求められている。
■ 今年の開成中学校・算数の問題は、問1が回転する図形の軌跡に関する問題、問2はマスに「渦を巻くように」数字を書き込んでいく問題、問3は円周上を進む3つの点に関する問題である。大問4題のうち、実に3題が「回転」に結びつく。
■ 「回転」させるという発想から生じる多様な視点に、論理的な裏付けを求める。開成中学校の目指す「創造性のある思考力の育成」の形が、算数の入試問題に明確に表れていると言える。論理という土壌から生まれた発想こそが、新時代を切り開く。同校の確固たる意思が感じられる。
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